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2004.06.08

(6)

テーマ：レンタル映画(833)

カテゴリ：カテゴリ未分類

それでは皆さん、

逆らわないで。
逆らわないで。
ヴァーチャル・リアリティＲＰＧ＜eXistenZ＞
脊髄につなぐゲームの端末は
両生類の有精卵。
ポッカリ空いた穴の中へ
信号が中枢神経に潜り込んでゆく。

肉体とゲームは一体となる。
信号であるはずが全て実体化する。
映像として現れる。
グロテスク。
デビッド・クローネンバーグ監督作品。

初めてテッド・ピケルは脊髄に穴を空ける。
穴はいつもゲームを欲しがっている。
逆らわないで。
逆らわないで。
＜eXistenZ＞の考案者アレグラ・ゲラーは言う。
美貌の天才ゲーム・デザイナー

ピケルとゲラーは現実とゲームを往来する。

曖昧な現実との境界線に
自己を見つける暇をこの映画は与えない。
ウィレム・デフォーがいる。
イアン・ホルムがいる。

それらはどことなく肉体の内部に似ている。
肉体の内部が露出する。
肉体の表と裏が反転する。
生体ポッドはどこか「胎盤」のようだ。

恍惚の表情。
ゲームをダウンロードした者たちは
愉悦にひたっている。
だがそれだけではない。
人が殺したくなる。
無性に殺したくなる。
中華料理店では両生類が料理となり、
ニジマスの養殖場はゲーム端末の工場となっている。
人が殺したくなる。
人が死んでゆく。

＜eXistenZ＞一時停止！
ピケルを演じるジュード・ロウが叫ぶ。
ゲームの創造主は常に妖しく自分の作品を愛撫する。
ジェニファー・ジェイソン・リーは
＜eXistenZ＞を愛撫する。

逆らわないで。
逆らわないで。
その先にある世界はグロテスク。
肉体と異物の融合。

現実に混入されたのは自我なのか。
自我が混入された現実では肉体の内部が溢れでるのか。
リバース。

グロテスクな世界が現実なのか、
大団円が現実かに意味を見いだす必要はない。
誰が味方で誰が敵なのか、
ピケルとゲラーはどうなるのかなどにも。

作り込まれた映像は
現実とゲームその双方を内包している。
現実とゲームその双方を混濁している。

ダウンロード。

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