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2004.07.09

(6)

テーマ：レンタル映画(833)

カテゴリ：カテゴリ未分類

微妙な間が全てを物語る。

ワイガンドを無言で見るバーグマン。
怯え、苦しみ、もがいている。
内部告発者は皆そうなのだと知っていても
自分はマスコミの側の人間で、
いかにして”60ミニッツ”に出演させるかという
仕事の一部として彼に近づいたとしても
それだけで割り切れるものではない。

ワイガンドを見るバーグマン。

アル・パチーノは包み込むように見ている。
マスコミの側の人間ではある.
テレビ局に送られてきた極秘ファイルの意味を
ワイガンドなら説明できるのは臭覚でわかる。
だが彼が会社の守秘義務とともに、
家族を守ろうとしているのもわかっている。
ワイガンドを見るバーグマン。
かつての精悍さを失った俳優は
まるめた背で目を細めながら
ワイガンドの全てを包み込むように見ている。

ワイガンドはバーグマンを覗き見ていた。

諦めずに彼を勇気づけ励ますバーグマンが
どんな男かどうか。
ラッセル・クロウは度重ねる会社の嫌がらせと
自身の苦悩とで疲れ果てた男を
容姿にも気を遣い熱演している。

ジッと壁の隅から上目遣いに
ローウェル・バーグマンというテレビマンを
人間として観察している。
怯えてはいる。
だが裏腹に彼は救われることを願っている。

お互いがお互いを見ている。
セリフの裏腹にある相手の本性を。
信用に足る相手かどうかを。
映画は会社の嫌がらせやテレビ側の弱点も暴き出し
ダイナミックに展開してゆく。
それ以上に
壮絶な二人の俳優の演技。
言葉だけなら
演技だけなら
相手を動かすことは出来ない。
ワイガンドもバーグマンも
内部告発という行為で
安易に人生を犠牲にするとは思えない。
お互いがお互いを見て、
信用に足る相手と見通したとき
やっと大きな賭けにでることが出来るのだ。
微妙な間が全てを物語る。
二人はずっと見ていたのだ相手を。
見られている限り俳優は息もつけない。

実話をベースにした映画である。
タバコ会社もマスコミも
二人の俳優に引っ張られているようだ。
信用に足るかどうか。
言葉や演技だけではない。
微妙な間が全てを物語っているのである。

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