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2004.08.18

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テーマ：レンタル映画(833)

カテゴリ：その他の映画

深い愛情というものは

いつまでも側にいて欲しい。
振り向いてほしい。
認めてほしい。
だが愛情を確実に確かめる術はない。
心は途方にくれ
どうやって生きてゆけばいいか見失う。
だが彼の指はラフマニノフの方へ向かう。

デヴィッド・ヘルフゴッド
実在のピアニストの半生を３人の俳優が演じる。
子供時代はさることながら、
１０代を演じたノア・テイラー
大人になったからのジェフリー・ラッシュには
大いなる賛辞を贈らなければならないだろう。
父親役はアーミン・ミューラー＝スタール
彼の演技はデヴィットだけでなく、
映画全体に重くのしかかっている。
「私は父親だ」
そう言い切る台詞と存在感は

父から一度は離れ、イギリスへ。
だが彼がコンクールで選んだ曲は
ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番
幼い頃より父から
弾きこなすように言われていた曲。

彼は精神を病んでゆく。

言葉は空の向こうへ。
彼の言葉は
音符になってしまったようだ。
心も全て。
緻密な映像である。
デヴィッドの精神の移ろいを
ストーリーではなく映像で描いている。
そして音楽である。
時に逞しく、雄々しく。
時に繊細に。

父はデヴィッドを愛し、
音楽はデヴィッドを愛し
デビットも音楽を愛し、
そして父を愛していた。
幾重にも幾重にもがんじがらめだ。
だが愛情を確かめる術はない。
不安は心を支配し、
やがて行き場を見失う。
それでも指は父の方へ。
指は音楽の方へ。

未だ精神は病んだまま、
再び音楽のもとへ彼は舞い戻ってくる。
おそらく人は戻るべき場所へ
戻ってゆくようなのである。

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