●●●グッド・ウィル・ハンティング／旅立ち

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2004.12.23

テーマ：映画館で観た映画(8796)

カテゴリ：アメリカ映画

ゆっくりと深呼吸をして、
自分の見える世界を見渡してみる。

難解そうな数式が羅列する黒板の前で、
清掃員のつなぎを着た青年がチョークを持っている。
バラバラの記号が彼の頭の中で即座につながり、
思わず、正解を書き記してしまっていた。
青年の名はウィル・ハンティング。
マサチューセッツ工科大学の
数学のランボー教授の出題した問題を、

普段のウィルは、チャッキーたち仲間たちと、
飲んだり騒いだり警察の世話になったりである。
ランボー教授はウィルの才能を惜しみ、
研究室での勉強とセラピーを条件に身柄を預かる。
だがウィルは大人の小手先のロジックを遥かに凌ぎ、
どのセラピストも逃げ出してしまう始末だった。
孤児で、虐待を受けてきたウィルはなかなか心を開かない。
ならば心の傷をわかりあえるようにと、
ランボー教授はショーン・マグガイアを連れてくる。
最愛の妻を亡くして立ち直れない、
有能だったセラピストを。

自分だけで抱えた悩みを解き放つ。
中身の見えなかった自分の心が他人に映し出されて、
やっと見えてくるものがある。
誰が、悪いわけでもない。
誰が、間違っているわけでもない。

ショーンもまた、立ち直る手がかりをウィルに見出す。
ベンチに座り言葉を交わす二人は、
自分が世界のどの場所にいるかを
やっとのことで確認する。
混乱しながら、
挫折しながら、
今いる場所を確認する。

マット・デイモンとベン・アフレック
ウィルとチャッキーを演じた俳優の共同脚本。
多弁を得意とするロビン・ウィリアムスが、
語らずともショーンの過去が見える演技である。

ウィルの才能は「宝くじ」に当たったようなもの。
チャッキーの例えには、説得力がある。
自分自身しか見ていなかったウィルが、
友人の目に映る自分を見ていた。
“あの、ウィル・ハンティングって
若いときはオレ達とツルンでいたんだぜ”
この街にいれば、労働者として暮らす一生だ。
だが、ウィル・ハンティングは
街を出て有名人になり、彼の自慢となる。
親友だからこそ、
ウィルの輝かしい未来を
願ってやまない。

ランボー教授もまた、
ウィルの才能が自分を凌駕していることを知る。
努力の学者にとっては皮肉な事実。
彼の世界でのウィルは、エリートになるウィルだ。

ゆっくり見渡す世界。
それが希望に溢れているとは言えない。
むしろ不安と言う霧が充満し、進む道に迷うもの。
だとしてもやることは一つだ。
いつまでも悩みを抱えてはいられない。
ウィルもまた進み始める。
大いなる才能を捨てて、
自分の選んだ、新しい世界へ。

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