ギター講師をやりつつ自らのバンド結成も目論んでいたポールは、いい関係が続いていたマイク・ヴァーニーにバンド結成に相談すると、ジェフ・マーティン(Vo.)、ジョン・アルデレッティ(b)、ハリー・ショエッサー(dr)を紹介される。これが光よりも速いギタリストを擁するバンド、レーサーXの始まりである。 1986年3月レーサーX、ファースト・アルバム、ストリート・リーサ - Street Lethalをリリース。世界中のヘヴィ・メタル・マニアの間で世界一速いギタリストとポール・ギルバートの名は知れ渡った。同年11月にはG.I.T.の教え子(と言ってもポールより年上。)ブルース・ブレ(Gr)と後のジューダス・プリーストなどの活躍で知られるスコット・トラヴィス(dr)を加入させたセカンド・アルバム、セカンド・ヒート - Second Heatを完成させる。(何故か実際のリリースはこの1年後。)
よりグローバルな活動を求めたポールと地元でのLAでの活動を望んだ他メンバー間でズレが生じ、これが発端となりメンバーが相次いで脱退。結局バンドは解散の道を歩む事になる。契約の都合上2枚のオリジナル・アルバムの他にライヴ・アルバム、ライヴ・エクストリーム - Live Extremeがリリースされている。(後年Vol.2もリリースされた。)
それぞれの凄腕を活かしたプレイもさることながら、ソング・オリエンテッドな歌モノ・ナンバーを重視したミスター・ビッグは日本の市場を切っ掛けに世界中でブレイクを果たす。このメンバーでは5枚のオリジナル・アルバム残すが、ベスト・アルバム、ビッグ・ビガー・ビッゲスト - Big Bigger Biggest - The Best Ofを最後にバンドは活動を一時停止する。
この間ポールはソロとしてキング・オブ・クラブス - King Of Clubsをリリース。ミスター・ビッグでのセカンド・アルバム、ラーン・イントゥ・イット収録の“60’sマインド”(Green-Tinted Sixties Mind)に代表されるポールの作曲能力の高さとパワーポップ趣味(余談だがポールはコレを書いているHMV本社ビル近辺でチープ・トリックのTシャツを着用しているところを目撃されている。)が如何なく発揮された本作はハードロック/ヘヴィ・メタル・ファンのみならずパワーポップ愛好家にこそ聴いて貰いたい一枚である。
また同年サード・ソロ・アルバム、アリゲーター・ファーム - Alligator Farmをリリース。こちらはこれまでのソロ同様、ポップ路線。さらにポールは休む事無くレーサーXでの活動も並行し、レーサーXとしての復活第2弾、スーパーヒーローズ - Super Heroes - Adventure Of Racer X Menをリリース。2年弱の間に4枚ものアルバムを作りあげる。
2001年レーサーXとして13年振り(!)となるライヴをアメリカ、ハリウッドにあるライブハウス「The Whisky」にて敢行。この時の模様はライヴ・アルバム、ライヴ・アット・ザ・ウィスキー - Snow Ball Of Doom - Live At The Whiskyで聴く事が出来る。また同タイトルのDVDもリリースされている。
2001年暮れには実の叔父であり、ブルース・ギタリストのジミ・キッドとのコラボレイト作、ロウ・ブルース・パワー - Raw Blues Powerをリリース。タイトル通りのブルース・アルバムで才能の豊かさと創作意欲の強さを再確認させられる。
もともと日本びいきで知られるポールだが、キンキ・キッズが出演するバラエティ番組「ラブラブ愛してる」に出演するなどして日本のファンを喜ばせた(困らせた?)。同番組終了後した現在も同じくキンキ・キッズ出演の「堂本兄弟」でギターを持たずに(!)いち外国人タレントとして出演している。意外とギタリストとしてのポールをご存知ない方も多いのではないだろうか? ポールには誰にも真似の出来ない素晴らしいギター・テクニックだけでなく、優れた作曲能力も携えておりそれがポールの個性を支えているのではないだろうか。実際彼のファースト・ソロ・アルバムであるキング・オブ・クラブス - King Of Clubsはとあるパワーポップ本で紹介されているほどなのだ。
1991 「Lean into it」、「A Tribute to Jimi Hendrix 」をリリース 。
1992 「Live! Raw Like Sushi2」、「San Francisco Live」、「Live Extreme Volume2」をリリース。 アメリカ、ビルボード誌で「To Be With You」が3週連続1位になる。
1993 「Bump Ahead」をリリース。
1994 「Live! Raw Like Sushi3」をリリース。
1996 「HEY MAN」、「The best of MR.BIG」をリリース 。
1997 「Hard Rock Cafe」、「 Live At 武道館」、「King of Club」をリリース。 Mr.Bigの活動停止。
1998 ソロ初来日公演を行う。ソロセカンドアルバム「Flying Dog」をリリース 。
1999 「Beehive Live」リリース。ソロ2度目の来日。
2000 「Deep Cuts: Best Of Ballads」リリース。 Mr.Big活動再開にも参加することなくそのまま脱退する(後任はリッチー・コッツェン)。
2001 「Alligator Farm」リリース。「Raw Blues Power」Jimm Kiddコラボ。
2002 「Buming Organ」リリース。
2003 「Paul The Young Dude」リリース。「Paul The Young Dude Japan Tour 2003」来日。 六本木HRCライブアルバム「アコースティック侍」リリース。 MIの姉妹校、MI JAPANの校長に就任する。
2004 ポール・ギルバート、ヌーノ・ベッテンコート、スティーヴ・ハケット、ジョン・ポール・ジョーンズの4人が熱い火花を散らすジャム・セッション・バトル「Guitar Wars Special Edition 」(CD + DVD)発売。
2005 4月アルバム「Space Ship One」発売&4度目の来日公演。
2006 7月初のインストアルバム「Get Out Of My Yard」発売。
2007 1月教則DVD「Terrifying Guitar Trip 」発売、2006年8月にHard Rock Cafeにて行われたシークレット・ライヴの模様も完全収録した「Get Out Of My Yard: Instruction」発売。来日公演で事前リクエストによるステージを演目。3月ジョー・サトリアーニのG3アメリカツアーのメインアクトに選ばれる。
2008 1月23日、約2ヶ月という短期間で一気に完成させた特急アルバム「咆哮!Silence Followed By A Deafening Roar 」発売。6月には大咆哮!!「咆哮!!」奏法解説DVDなる教則DVD発売10月23日、ポール・ギルバートの出身地、ペンシルヴァニアの同じ町で育ったヴォーカリスト、フレディー・ネルソンとの運命的な出会いが生んだ、まったく新らしいポール・ギルバート・サウンド完成!共作「United States」発売。
2009 フレディー・ネルソンとのユニットの来日4公演すべてを個別にオフィシャル・ブートレッグとして発売。オーヴァー・ダブ、トラック差し替え等のポスト・プロダクション一切無しの真剣勝負。そっくりそのまま作品化。THE WHOの「LIVE AT LEEDS」風ホルダー・タイプのペーパー・スリーヴ仕様。ポールがドラムを演奏したものと、マイク・ズーターVOのCHEAP TRICKカバーはカット? Official Bootleg 1 Tokyo (2009年) …2/1初日東京公演の模様を全曲収録したライヴアルバム発売。 Official Bootleg 2 Tokyo (2009年) …2/2第2夜目の東京公演の模様を全曲収録したライヴアルバム発売。 Official Bootleg 3 Nagoya (2009年) …2/3名古屋公演の模様を全曲収録したライヴアルバム発売。 Official Bootleg 4 Osaka (2009年) …2/4最終日大阪公演の模様を収録したライヴアルバム発売。 Mr.Big再結成に参加。再結成ベスト「Back To Budokan」CD&DVD発売。 「NEXT TIME AROUND: BEST OF MR.BIG」をリリース。
2010 6月30日「Get Out Of My Yard」、「咆哮!Silence Followed By A Deafening Roar 」に続くギター・インスト・アルバム第3弾!「Fuzz Universe」リリース!7月23日「Fuzz Universe教則DVD」発売。 12月オリジナル・メンバーで、スタジオ録音のオリジナル・アルバムとしては「Hey Man」以来の実に14年ぶりとなる新作、完全新曲レコーディング「What If... 」をリリース。
2011 「What If... 」ジャパンツアー全国11都市を回る。
2012 2月2011年1月28日に東京の東宝スタジオ第7ステージにて行われたアコースティック・スペシャル・ライブの模様を収録したライブ作品、「Live From The Living Room」を発売。 3月DVDにはツアーのドキュメンタリーや2011年1月に東宝撮影所で行われた「Live From The Living Room」公演を収録、震災直後の来日となった波乱の2011年ジャパン・ツアーの舞台裏を記録したドキュメンタリーDVDも追加収録されたボックスセット、「Raw Like Sushi 100」を5000セット完全生産限定発売。9月6月録音のスタジオ・レコーディング8曲に、2010年「ファズ・ユニバース」ヨーロッパ・ツアー時にレコーディングされたライヴ3曲を合体させた作品「VIBRATO」をリリース。
2015 「I Can Destroy」発売。ロック・プロデューサー界の王様、ケヴィン・シャーリーをプロデュースに迎え、ギター・パートナーに親友、トニー・スピナーを指名し、ヴォーカリストには再びフレディー・ネルソンを招集!ギター・アルバムとしてもヴォーカル・アルバムとしてもポール・ギルバート名義の全作品の頂点に立つ最高傑作!との前評判だったけど、ちょっとポップ過ぎるかな?
2016 「PG-30~Best Of Paul Gilbert」発売。ポール・ギルバートの30周年記念ベスト・アルバム。
2017 「PG-30 Zepp Tokyo 2016.9.26」発売。 2016年9月、Zepp Tokyoで行われた記念ライヴの完全音源パッケージ。ポール・ギルバートの全キャリアを総括した35分にも及ぶギター・シンフォニー「マッシヴ・メドレー」の初演を含む記念ライヴ。楽曲は直近のスタジオ作『ブッこわせるぜ!』からの楽曲を中心に最近のポール作品からのベスト・セレクション。
2019 「Behold Electric Guitar」発売。全曲オーヴァーダブ無しの一発録りという緊張感が生々しいのは、ポール自身がヴォーカル用に書き上げたメロディ・ラインを、ギターで表現しているんだそうだ。