まだまだ続くし~付点の足音~

句と首 ~その1~

緑陰





句と首  ~その1~




言の葉が持つ意味 言霊の発する力 そんなものを微かながらにも考え感じ

るようになったのはいつ頃からだったでしょうか。


もっと言葉を知りたい 磨きたい 向き合いたい 。。。


自然と湧き上がってきた気持ちは大切にすることに決めましたから。


どうやら今年のテーマは「言の葉」のようです。





漠然とした思いをもう少し形あるものにするために 昨年から書き連ねた句と

首をまとめてみるところから始めます。(2008年 1月)





*2007年 2月*


2月4日
昨夜の鬼がまだ町角に残っていそうな朝でした。






   春立つ日



   鬼と連れだち


   出かける子





み








2月18日
一日延ばしにしていたのですが。
不便にはとうとう勝てず。。。

おてもと






   冠を頂くごとく


   かけ初むる





   のぞく鏡に


   母の顔あり




み












*2007年 3月*


お江戸の空は

 3月7日
ひょんなことから娘と神田界隈を散策することになりました。
風はまだ冷たかったけれど そこここに春の気配がありました。





   若桜


   お江戸の空は


   四角いか



み







あまざけ

3月17日
甘酒を作りました。
温かいカップからたちのぼる湯気の向こうには
故郷の黄砂の空。





   あまざけの

   湯気の向こうに

   見えしもの




   黄色にけむる

   春待ちの空


み








3月22日
お彼岸のぼたもち。
あちらからこちらへ。こちらからあちらへ。
お使いは子供の仕事でした。






    春 かすむ


    口上忘れし



    使いの子


み







*2007年 4月*


  4月8日
選挙戦が終わり 町には静けさが戻りました。
投票所は坂道の上にあります。





同行の蝶と


   坂道ふりかえる




   静寂もどり

   うらうらの午後




み









4月11日
夜半という言葉が気象用語からなくなると聞きました。






 妖しさを


   花にこめたる


   夜半かな




み








 4月12日
筍の頃となりました。
この季節は抑制がききません。







 大なべも


 晴れの舞台と心得て




   朝な夕なと


   筍ゆでる





み







4月17日
蘇芳が咲く季節。
この春からは祖父の思い出と重なります。



蘇芳





 亡き祖父を


   叔父ちゃんと呼ぶ


優しき叔母のブログにて




   蘇芳の花 知る




み






4月22日
娘の路上練習に付き合いました。
怖いのは曲がり角。。。


4/22








   曲がる角


   名もなき花も


   目をつむる  






み












  4月28日
出先で降られました。
日傘とサンダルではたちうちできませんでした。







    雨宿り


    思い出すこと



    溢れ出る








み







4月29日
昭和の日。早朝の空はぬけてました。

昭和の日








   眩しきは


あか あお みどり



   朝七時






み







4月30日
毎年連休に催される六郷土手のハタ揚げ大会。
亡くなった父はハタ揚げの名人でした。







    亡き人と


    空を見上げて


    飲む日和



    六郷土手に 


    ハタの 舞う舞う




み










*2007年 5月*


5月14日
日毎に新緑の香りが増す頃になりました。
香りと共に色も浅く深く 濃く薄く。








    朝ごとに


    新緑の香の


    濃くなりて





    道行く人を


    包みて 染むる





み








5月24日
義父の受診の帰り道です。
病院を出る時の重たさを田園風景は無言で漉してくれます。







    鳥も来て



    田おこし助く



    日和かな



み









*2007年 6月*


6月3日
筋肉痛の原因は庭仕事でした。
花疲れ 本来は桜の頃の季語ですが。
無手勝手流ということで。。。








    夏木 病み


    思い出せずは


    花疲れ





み








6月17日
・・・・・。






   父 逝きて


三度 みたび 巡りし この季節





   まだなかなかに


   なかなかな 吾




み








   6月19日
午睡の窓は開けていて ちょうどよい季節になりました。








    午睡の耳に


    遠く聞こゆる


    ピアノの音



    尚もまどろみ


    夢 続かせる







み









6月26日
ぷっくりと肥ったミョウガが手に入りました。
薬味によし。さっと煮てよし。
食べる理由も忘れる訳も。。。
みょうが







    朱き衣


  まといしミョウガに




    罪 着せる






み









*2007年 7月*


7月1日
余らせてばかり。。。







   モーリタニア


   タコの産地と



   知る 半夏生







み









7月4日
友人のお母さまの訃報が届きました。
大正 昭和 平成をきっちりと生き抜かれた方でした。






   香を焚き


  声知る人を偲ぶ朝




  りんとした声


  忘れえぬ声





み






7月8日
ペース配分が出来ない娘です。
とことん走ってエネルギーが切れます。






   熱の子の


   梅粥ととのう



   昼下がり




み







7月16日
体調と気力のバランスが難しくなる年頃です。
老いも若きも時々「喝」が必要なのでしょうか。


らん♪





  捨てられし


  鉢より咲ける


  花もある



  大正生まれの


  気骨を見せよ






み






7月28日
待望の夕顔が咲きました。
数日不在だった子も無事に帰宅しました。






   初咲きも


   合宿の子を


   出迎える




み







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