NO24 ゆうの 25年間の記録



急な痙攣発作が起こりました。

直ぐに、酸素吸入をして 救急車を要請・・・久留米の聖マリアまでは、福岡市内の救急車を使うには、色々な手続きが必要で・・・

時間は、覚えていませんが・・・長く、待たされていました。

そして、救急車で久留米に着いたのが午後の4時になっていました。

その間、ゆうは 痙攣を繰り返し・・・顔色も悪く とても不安で・・・

聖マリアに着くと、早速CT検査・・・痙攣止めの注射!

救急センターから、脳外科の観察室に移り
 (今まで、主治医だった先生が開業されていて、主治医が変わっていました・・・が、部長先生は、聖マリアの副院長になられていたので、辞められる事は無く 少しは安心でした。ホッ(-。-;))

どんな、治療をしてもゆうの 容態は一向に改善せず・・・3日が経ちました。

そして、脳波の検査を受け 先生からのお話しがありました。

「ゆう君は、頭からの症状じゃありません・・・脳波で、精神的なものだと言う事が分かりました。  昨夜、生理食塩水を、これは効くから眠れるよ・・・と、話して、注射をしましたら 痙攣も治まりましたから・・・これからは、精神科の先生に診ていただきます」・・・って

頭痛を訴え吐いているゆうに

「ゆう・・・あのね、今具合が悪いのはね 頭からの症状じゃ無いんだって・・・ゆうの心が 病気に成っていて・・・だから、もう大丈夫だからね!」と

説明をしましたら、それまでの 苦しみがピタッ と、止まりました・・・

それから・・・今まで 声を出して泣いた事が無いゆうが 号泣しました。

まるで、ダムが決壊したかのような 切なくも 苦しい泣き声・・・

今まで19年間 苦しんできた、自分の病気の不安

(いつ死ぬか分からない不安や 私の病気で、母親を無くすかも知れないと思った 不安・・・それから、障害児と、健常児との はざ間で、普通の子供に成りたいと言う想い)

親の私にも、創造のつかない いろんな想いが ゆうの心を ずたずたに 傷付けていました。

涙が止まった時・・・ゆうの顔は まるで別人のように 変わっていました・・・

変わったのは、顔だけではなく 話し方や 態度が赤ちゃんに 成っていました。
私は、その様子に・・・

「あ~~良かった・・・赤ちゃんで良い・・・これで、ゆうがやっと楽に成れるから・・・中途半端な、障害で誰よりも苦しんで来たんだから、もう 何も分からなくなった方が良い・・・」と、

真剣に思いながら、ゆうを抱きしめていました。

**************

赤ちゃんに戻った ゆうは、歩く事も出来ず・・・車椅子で、少し散歩をしていましたら、看護助士の方や たくさんの顔見知りの 看護師さんに会っても、何の反応も見せず・・・その姿に 皆さんが戸惑われて いました。

いつもの、ゆうでしたら ちゃんと挨拶をしているものですから・・・

赤ちゃんの状態の時に、私には よく話しました・・・ゆっくりと3歳児と同じような 話し方で・・・
「ぼく・・・小学校のときにね・・・いじめられていたの・・・」と言うと また泣き出して、
「T作業所の先生が心配されているから、お休みをするって行ってくるね」と言ったら
「いや! 誰にも会いたくない・・・「しいのみ学園」のM先生には、会いたいな~」と

私は、小学校でのいじめの事など、何も知らないでいましたし とてもショックでした。
私に、心配を掛けまいと・・・していたのかな・・・

いじめをしていた子は、ゆうの一番のお友達と、思っていた子だったので・・・言葉も出ませんでした。


そして・・・小学校の高学年から、頭が痛くなってお休みが多くなったのは、そういった事も 原因していたのかなと・・・そればかりでは 無いにしても、少しは引き金に、なっていた様な 気がしていました。


「誰にも、会いたくない!」 と言う ゆうが、しいのみのM先生にだけには会いたいと言ったので、連絡をしました。


M先生も、その2年前から うつ病に成っていらっしゃったのですが・・・

直ぐに、飛んで来て下さいました。


そしたら、赤ちゃんだった ゆうが先生に抱きついて 長い間 抱きしめてもらっていましたら、顔が だんだんと 変わって 赤ちゃんじゃ無くなって来ました・・・先生も、精神的な病気の苦しみを知っていらっしゃったから、何か通じ合うものが あったんでしょうね。

先生は・・・

「お前が、本当に 重度の知的障害者で 何も分からなかったら こんなに苦しむ事も無かっただろうに・・・お前も、普通の子になりたいと いっぱい鎧を着てしまっていたから・・・耐え切れなくなってしまったんだな~」と、涙を流して、ゆうに語りかけて いらっしゃいました。

その頃は、IQも48ぐらいで、学力も小学生レベルだったのですが、人とのコミニュケーションはとれていましたので 一見 誰もが 普通の子として見てあったから・・・それが、ゆうの性格でもあり その為に無理をする事が、欠点でもありました・・・

聖マリアの精神科の先生は

「心因反応から来る、適応障害、躁鬱状態、パニック障害 神経症 緊張性痙攣と・・・その他 たくさんの思いも掛けない症状が出るでしょう」と・・・

その時には、これから起こる 悲惨な状態など 夢にも思っていませんでした。



明日へとつづく




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