☆たー☆のヒトリゴト

March 11, 2015
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テーマ: ココロ(1383)
カテゴリ: その他ね☆



弔いの雪が降っていた。



式典の最後は献花だった。
舞台上のスクリーンに流れる物故者の名前
忘れないでと、記憶の中で生き続けてと、流れていた。

ボクはそれをただ見つめていた。
どんなキモチだったか…たった数時間前の事なのに思い出せないや

映画のエンド・ロールのように流れていく名前たち
4年前、そこに生きていた人の名前たち


どんなキモチだったのか思い出せなくて何だか情けない気持ちになる

仕事だと割り切って、まるで他人事のように
舞台作りのプロだと言い聞かせて、まるで他人事のように過ごしていたのかな

思い出せないや


唯一、頭を過ったのはアイツの笑顔だった。
あの時の津波で友は命を落とした。
世話になった彼の父も母も一緒にだ。



ずっと思っている。

弔いたい。
手を合わせたい。


だけど、この日は仕事だから出来ないまま時間だけが流れていく






そう、ただ単に受け入れられないだけ。
手を合わせたら受け入れる事になるから

ただ、ただ、ガキみたいな考えだと言われても
薄情者と言われても
この考えを否定されたとしても



海に哭いて大地に哭いて
海を恨んで大地を恨んで

ドコにも吐き出せない悲しみと怒りを押さえ込んでボクは仕事をしていた。



部屋の外からサイレンの音が聞こえる
あの日と同じ音だ

窓を開けてみた。
雪がうっすらと積もっていて3月とは思えないほどの寒い夜
あの日の夜に似ている。



今夜は夜が早い
寝静まった街



妻も娘も眠っている。


「この手を離すなよ」

愛している人達に声に出して伝えよう
そして今まで通りの生活を続けよう

それがソラヘ登った彼らへの餞になるのだろうから





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Last updated  March 11, 2015 11:59:46 PM
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