”名も知れぬ人たちへ”・【承22】

・・・私は布団をかぶって大声で泣いていた・・・

なぜ,こんな思いを私が・・・と言えば,妻に申訳けがない。
妻はもっと泣いただろう。これからもいっぱい泣くだろう。
私は,そんなとき,本当に支えていけるだろうか?
次にくるであろう,その試練に。

次の土曜日,娘のバレエの練習の間,私は妻のところへ向かった。
"治療の方針"を聞くために。

放射線治療と抗がん剤の併用で一ヶ月実施するとのことであった。
放射線は1日に"2グレイ"だと思った。最初は外から下腹部へ照射し,腫瘍が縮小したのちに内部の腫瘍へ直接照射,さらに縮小すれば手術という具合に。
(たぶん最後の部分は,私の憶測かな)

この話を聞き,未来が少し明るくなった。あとは,妻ががんばるしかない。
私は,仕事と家事を一生懸命やるしかない。
いつでも妻が復帰できるように。

妻が少し明るくなった。それは同室のみんなと友達になっていたこと。
同じ病気で戦っている人たちといろいろ語っているらしい。
でも,私はその内容を知らない。いつかその友達と話ができれはいいなと思っている。

妻の"笑顔"本当にすばらしい"笑顔",私は絶対に克服してほしいと心から思う。

・・・妻へファイトだー・・・
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