”名も知れぬ人たちへ”【承37】

・・・頭がすごく重い・・・

さらに頭が重い・・・内辞の日。

単身赴任地で内辞を受ける日,私の胸の中では,ドキドキものだった
転勤してから約1年になろうとしている。
妻の病気が発覚してから2ヶ月。
我が家に帰りたかった。
帰れるかも,という微かな思いもあった。

午後3時,内辞の時間だ。
「○○さん,▲▲さん・・・」って呼ばれる。
その中に私はいない。がっかりだった。本当にがっかり・・・。
また,半年。妻にも娘にも申訳けない。

妻にメールを打つ。
”今日,内辞だったけど転勤はなしだった。また,半年間がまんしてくれ”と,最後にがっかりの絵文字を入れて。
”私は大丈夫だよ。まだ転勤して1年だからなー,でも残念”
”今度は必ず,戻るからね”
携帯を持つ手が震えた。

遠隔地での仕事は,辛いものがあった。家族3人しかいないのにそれぞれが
バラバラだった。

・・・傍に,気持ちだけでも・・・
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