”名も知れぬ人たちへ”・【転3】

・・・退院おめでとう・・・

我が家・・・,妻のデザインした家に到着。
心の中で”妻を連れてきたよ,本当の主だよ”と。
庭やレンガを敷き詰めた短いロードや白い家をゆっくりと目で追いながら。
妻が「おかえりー・・・」
私と娘が「ただいまー・・・」と。
いつも反対の挨拶する。クレヨンしんちゃんのまねだった。

我が家の玄関を私が開け,妻と娘が中に入る。
ちょっと暑いのでエアコンをかける。
「お疲れさーん・・・お母さん,ゆっくり休むんだよ」
「うん,久しぶりだなー・・・やっぱり我が家はいいねー」
と天井から隅々まで見回しそう言った。幸せそうだった。

妻はとりあえず普通の生活ができそう。長い時間は歩けないけど・・・。
今日は,私が夕食を作る。
肉じゃが・味噌汁・サラダ・ご飯・漬物・・・ごく一般的な料理だった。
でも妻は美味しそうに食べてくれた。
「美味しい,いつの間にこんな料理できるようになったの?すごいね,おと吉」
「そう言われると,恥ずかしいじゃーないか,んーん,美味いか。良かったよ」
頭をポリポリとかく。

「ホント,我が家はいいな・・・」
この言葉の後に・・・家族水入らずで幸せー・・・と付け加えてくれた。

・・・幸せー・・・
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