”名も知れぬ人たちへ”・【転12】

・・・”来年の合唱祭一緒に行こうな”って言えなかった・・・

次の日,娘の文化祭・・・。

昨年は妻と一緒に,もちろんカメラとビデオを持参して,並んで学校へ行った。
妻の笑顔は今でも忘れられない。娘の教室に入り,娘の名前をくまなく探す。
見つけたときの顔,"おと吉。あったよ,ここに。"
私もその場所に駆けつける。二人で我が娘の成長ぶりを確かめる。
体育館からは,恒例の合唱祭で最優秀賞受賞したクラスの歌声が聞こえてくる。
娘もこの恒例の歌声の一員(ピアノ伴奏だったけど)となりたかったそうだが・・・。
だけど優秀賞だったからダメだった。
妻が,『また来年があるよ』って,このとき言ったような気がする。

私一人の文化祭・・・寂しい。ビテオしかもってこれないけど,我が家で待っている
妻に,せめてビデオで娘のこの一年をみてほしい,と思った。
娘は,『幻想』というグランドピアノの絵を描いていた。
点の集合だけで絵を描く,すごーく手間のかかる作業だ。

・・・『幻想』という名の絵・・・
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