”名も知れぬ人たちへ”・【転24】

・・・検査の結果,『敗血症』とのこと。血液にばい菌が混入して引き起こす病気・・・

 腎臓と膀胱を結ぶクダがもうよくない,以前は,背中からクダを入れてオシッコを出していた。
 (途中から,妻の要望で自分でオシッコがしたいとステントを入れたようだった。)

 まずは,緊急的にカリウムが多いから,人口透析が必要とのことであった。
 妻の太ももに太い針かな,動脈かな,静脈かな,わからないけど鮮血が飛び散りながらも人口透析の機械につながれた。そんな中でも,妻はぐっと差し込まれるような,圧迫されるような感じで頭を抱えていた。私は何もできずただ妻の体に手を置くことだけ。
 妻の赤い血液が透析の機械に送り込まれ,ろ過されていく。妻は次第に意識が薄れて,眠る。

 先生に呼ばれた。
『今が山場です。覚悟しておいてください。奥さんは,四期の子宮頸癌ですね。とりあえず緊急の処置はしました。カリウムを6以下に下げないと。また.明日人口透析します。』数字は確か6と聞こえた。

 娘は,お母さんが入院したことを知らない。一生懸命,勉学に励んでいるはず。
 連絡をとらなければならない。咄嗟に思い浮かんだのは,保険会社の人,親戚でもある。
『すいません,お願いがあります。妻が入院したので娘を一緒に連れてきてほしい。』
あまりよくない状態であることを話し,お願いした。

・・・三日間の睡魔・・・
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