月のひかり★の部屋

月のひかり★の部屋

うぐいす 百首


うぐいす 百首



1) 歌なんか歌へない日のわが窓辺うぐいす歌ふやさしき声で

                         2005.5.25記 

2) 遠足の小学生徒ら地下口よりガヤガヤとまるで希望の噴出

                         2005.5.27記

3)  カフェのBGM心臓の鼓動とテンポ同じ。だからいつしか気分爽快

4) 牡丹色のシャツ着て森の小径ゆく花になったつもりの私

                         2005.5.28記

5) 鈴らんの花ゆれる径イヤリングゆらせて朝を駅まで急ぐ

                         2005.5.29記

6) 私の寝てゐる地球の裏っ側ただ一りんの花風にゆれ・・

                         2005.5.31記

7) うぐいすのあんまり鳴かないその理由(わけ)はもしかすると
   わが耳の所為?

                         2005.6.01記

8) 「何故?」なんて思ふかわりに唄ひたいいつも心で唄ふあの歌

9)  「悲しみは幸ひなり」との聖句想ふ紫にじむ雨の紫陽花

                         2005.6.03記

10) てんとう虫さん!いっしょについて来たんだね。ビンに飾った
   薔薇の葉のうら
                         2005.6.04記    

11) うぐいすの声に暫らく立ちどまる緑の風吹く水無月の丘

12) 私をそんなにじっと見ないでね。首を傾げる可愛いスミレ

                         2005.6.05記

13) 空よりもきれいな藍(あお)って何かしら?空を見ながら眠っ
   てしまった

14) 手鏡に空を写して遠き日を懐かしむのもときには良いもの・・

                         2005.6.06記

15) 世界一周成し遂げ手を振る堀江さん 白きヨットで髪もま白く

16) 29階の窓より大阪の街を見る 多義的理解つねに重要

                         2005.6.07記

17) 私の今すぐあなたに出来ること心を込めて祈ることです(ーー)

18) 思いやり持てない日には出逢はずに花咲く公園一人
   で歩こう

                         2005.6.08記

19) ほうほうと鳩鳴く朝を何ごともなかったかのような表情をして

20) 卯の花の坂道をひとり下るとき初不如帰わたしも聞いた

21) 自転車で出掛けるわが子をいつまでも見送る母在り水無月の朝

22) グミの実を4,5粒頬張りムシャムシャと食べて 
                  ペッペッと種吐き捨てる

23) 沢山な活字にまじる「一途」と言ふ一語になぜか心惹かれる

                         2005.6.09記

24) 七色のアジサイを描くアヤ、バアバ梅雨入りとなり本日留守番

                         2005.6.12記

25) 自然公園歩いて行ったら長き蛇驚いて逃げる アタシはおばさん

26) ホトトギス鳴く山道を二人より程々に遅れて私も歩く

27)「ねえ、ゴロー」と呼べば「なあに」とふり返り一見何もなく
   静寂な朝

                         2005.6.13記

28) 一陣の風にたちまち帽子飛びあわてゝ追ひつき笑ってしまふ

29) 服を売るお店一軒店じまい売り場の娘さんとも今日でお別れ・・

                         2005.6.15記

30) そりゃぁそうね、感謝してゐてあたり前 神さまがすべてご存知
   だから・・

                         2005.6.17記

31)  あの角を曲がれば始まるファンタジー 風に木の葉と黒猫そろり・・

                         2005.6.18記

32) 暗やみに蛍見て佇つ現代人も幽(かそ)けきものに思ひを寄せる

                         2005.6.19記 

33) ヤマモモの甘く熟してゐる処(ところ)知ってゐるから教えてあげるね

34) 本ばかり積み上げてあっても無意味じゃない いつか必ず読むのだ
   からね

                         2005.6.20記

35)  爽やかな夏の風受け急な坂のぼる途中にうぐいす「ホケキョ!」

36) 雨降らぬことも話題になるよって降らないといふのもまんざらでない

                         2005.6.21記

37)  暗き路地一人で駅まで歩くのでお月さまそこからじっと見てゐて・・

38) おや、素敵!銀粉キラキラ顔にふり、やっぱりあんたもおばさんなんやね

39) にん偏と夢で《はかない》と読むとはね!しかしそう言ふあんたは意地悪

40) アマガエルあわててピョンピョン逃げてゆく
                  「いいから!いいから!去る者追はず」

41) 「自治会費集めに来ました!」と門の前、応答無くて紫陽花ゆれる

42) (私にも考えあるよ・・)と思ってもどうにもならずただ感謝する

                         2005.6.22記

43) 友達の残して行った国語辞典ひもどく度に面影うかぶ

                         2005.6.24記

44) 道ばたを大きな荷を曳く蟻一匹右往左往して誰かに似てゐる

                         2005.6.26記

45) 朝早くわざわざ電話をくれた意図何だったのか?空しさ続く

46) 言ひたいこと少しあるけど眠りたい猛暑となりし真昼静まり

47) 水無月の森の小径を萌黄色羽織って歩く妖精みたいに

                         2005.6.27記

48) 仰向けにもがいてゐる虫うつ伏せに戻してあげてそれって親切?

                         2005.6.28記

49) 王子待ち姫は百年眠ってた 私も眠って何かを待ちたい・・

50) 梅雨空を斜めに横切る鉄骨と電線の織り成す幾何学模様

                         2005.6.30記

51) 窓を開け雨降る音を聴きながら煮物をすれば夕闇迫る

                         2005.7.1記

52)  久々の雨の響きに包まれてCD聴かず近づく睡魔・・

                         2005.7.4記

53)  柵の上とまってカラスと黒き蝶お喋りするのをこっそり聞いた

                         2005.7.6記

54) 空と山、家々の屋根、葉桜の窓辺より見つゝモーニングティー飲む

                         2005.7.7記

55) 「くつがえす」と会話でしばしば遣ふ人何かの変革望んでるのかも・・

                         2005.7.10記

56)  木下蔭(こしたかげ)涼しき風に吹かれつゝ何想ふでもなく飛ぶ
   蜻蛉(あきづ)見る

57) 急な坂老犬ボクと登りゆく時々顔を見つめ合ひつゝ

                         2005.7.12記

58) 梅雨晴れの真昼野をチラチラ飛ぶ黄蝶追ひゆけばすでに目くるめく夏

59) 炎天に弱ってゐた蝉木の蔭に移動をさせて再び歩く

60) ネコジャラシ群がる野原をすいすいとトンボ飛び交ひ新しき夏

                         2005.7.14記

61) ガラス器に氷の触れる音を聞き素麺食べる夏になりけり

62) 一枚の暑中見舞ひの絵葉書も単純に喜ぶ高温多湿

63) 図書館で短篇一つ読み終える自分の小説ちっとも書けず・・

64) 亡骸となりて転がる蝉一匹すでにあまたの蟻の群がる

                         2005.7.15記

65) 谷川の流るゝ音を聞きながら歌ふ讃美歌「イエスわが命」

66) 十字架に似てゐる白きドクダミの花見れば想ふイエスの優しさ

                         2005.7.16記

67) 暑いので頭ぼゃ~とするからか悲しいことまで喜んでゐる(^・^)

                         2005.7.18記

68) 街路樹の葉擦れと私の靴の音別れの予感すれど泣かずに

69) 引き出しにドングリ一つあの頃は平凡を嫌って退屈してゐた・・

70) きらきらと木漏れ日光り風流れ美しきもの皆さり気なし

                         2005.7.20記

71) 171(いないち)を神戸に向かふ夏の午後晴れでも空はいつものグレー

                         2005.7.21記

72) どこかではテロありどこかでお祭りが・・どっちも爆発の音響かせて

73) 百日紅白き路地裏犬連れた人擦れ違ふ無声映画みたい・・

                         2005.7.22記

74) 暑過ぎて思考力ゼロ窓いっぱい広がる空と蝉しぐれのみ

                         2005.7.28記

75) 飼ひ主はあっち向いて立ちワンちゃんはこっち見て笑って私も笑ふ

76) 「水の音爽やかですね」と傍に居ない誰かに向かって話す我が癖

                         2005.7.29記

77) 接骨院で首と腰骨「ギクリッ」って言わせて貰って心も矯正?

78) 人の批判すれば途端に暗くなる だから心よ 忘れて笑って

                         2005.7.30記

79) 横断歩道両手ひろげて走ってく幼き少女風の子みたいに

80) ボランティア音楽家の演奏夕風に吹かれて聴くなり子供にまじり

                         2005.8.1記

81) 鈴虫の鳴く声是非とも聴きたくて眠さ堪えて頬杖ついて

82) 白い蝶車窓を過ぎりさりげなく過ぎにし一つのわが恋想ふ

                         2005.8.5記

83) 夏祭り反省会でも聞くよりか話すの好きな人多かった

                         2005.8.8記

84) 水少し蛇口より垂らしお茶冷やす それも素敵な夏の音です

85) 夏の雨激しき車道を走りつゝ生きる意味何かと・・再び想ふ

86) 生きる意味考えるなんて無意味だと、君は本気で思ってない   
   よね・・

87) 晴れなのに大粒の雨 どこかでね、狐の嫁入りしてゐるらしい

88) 馬鹿だね!と言うから馬鹿!と言ひ返す それでも切れない二人の関係

89) とことんになったらホントのこと判る 死ぬときだったら遅すぎる
   よね・・
                         2005.8.9記

90) 引越しのようやく済んだ夜空にはレモンの半月祝福祈る

                         2005.8.15記

91) 十字架の道は即ち血の色の犠牲 それでも「ゆく」と言ふのか

                         2005.8.16記

92) 痛む肩そっと撫でつゝ雨の中傘も差さずに平気で歩く

93) 美しく哀しく可笑しくおどけてる いっそピエロの人形で良い・・

94) 捨てられし猫の子二匹ミーミーと空き地さ迷ふ蒸し暑き夜

                         2005.8.18記

95) 雷の音轟き渡り雨も降り夏も終わりを告げて候ふ

96)  わたしより草よ,お前は背も伸びて風吹く野原で出逢へて嬉しい・・

97)  背伸びして街路樹の葉っぱ手に触れて平常心戻って再び歩く

                         2005.8.23記

98) 夕暮れを真白き韮の花咲きて何はなくとも心に感謝 

                            2005.8.25記

99)  夕暮れの海辺で波と戯れる 幸せなんてささやかなこと

100) とりあえず子供ら元気でゐるならば何より・・と喜ぶ平凡な母

                         2005.8.28記




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