マルスの遺言

マルスの遺言

フェミニンの力!


 まず第一、近代の仕事は昔のようにガテン系の男らしい肉体労働的な仕事より、きめの細かいサービス業、あるいは繊細さを要求されるクリエイテブな仕事が多くなっている。
 これはある程度年齢がいった方なら誰でも知っている「第三の波」というベストセラー本にも語られていた通りの現象である。つまり、産業革命後の次の波は細分化されたサービス業だということである。男の子がフェミニンになり、繊細になることは時代の仕事のニーズに合っているのだと思う。
 第二に、世界は男社会が通してきた白黒つけるやり方ではもう効かなくなってきたという事である。白黒つけるために男らしさを誇示して戦争を起こし、自分の家族だけ、自分の国だけを守るんだというカウボーイ的観念では世界に通用しなくなってきているのだ。
 なにかに取り付かれたように他者を非難し、罵声して、誰かを悪者に仕立て上げてそれでオッケイという世界ではなくなっている。それでは世界全体を救うことはできない。世界全体が救われなければ、もはや我々は、自分勝手に一人では生きられない世界になってしまっている。こちらは、マクルーハンのグローバリゼイションでご存知のはず。

 はっきりいって本来「愛」という考え方をできるのは女性であり、それは母性から発祥するものなのだ。男性的考え方が競争を作り、封建社会を築き上げてきた。今でも歳を取った人たちの物言いはかなり封建的だ。それは教育の結果でもある。
 男性的考え方の社会が破錠をきたし、行きづまり感をむかえている今、いまこそ「愛」の考え方が世界の制度に必要なのだ。
 それを発信するのは別に女である必要はない。男でもいいのだ。男が弱いのではなく、本当の強さを身につけ、優しさを身につけて発言し、世界を変えていくこと。それが今、この局面に少ないことであるが故に必要なことなのだ。
 中東の局面やあらゆる世界の情勢が、一言では、あるいは一方向からのみでは決め付けることのできないかなりデリケートな状態に陥っている。
 そのほつれた糸をほぐすには、力ではなく、優しい母性の知恵がうってつけなのであると、私は強く思う。



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