マルスの遺言

マルスの遺言

ジョーゼフ・キャンベルの「神話の力」

「神話の力」 が都内、青山ブックセンターなど比較的大きな書店の棚に飾られているのが最近目に付く。

この本はビル・モイヤーズのインタビューからなっている。私はこの本が大好きで、NHKの特番で生前の彼がインタビューに答える姿を見て心踊ったものだ。

多分書店と卸をつなぐ「中継ぎ」の業者が最近注目し直し始めたのだろう。と言うことは読者の目もこの本に向き始めていると言うことだ。

「神話の力」 は、表紙の絵も力強く魅力的だが、内容も言わずもがな最高の本だ。

ジョーゼフ・キャンベルは、世界各国に存在していた「神話」を研究し、その共通項を導き出した。それによって、人類の普遍の、生まれつき誰もが持っている無意識の中の、 ユングの言う「原型」 を探り当てることを目的とした。

人類の原風景。それはとてつもなく重大な価値がある!

なぜなら、今、世の中で争いや戦争が起こっていることの 解決の一つの糸口 になるかもしれないからだ。

国によって民族によって皆「宗教」や「生活習慣」や「資本主義や共産主義であるという政治」や「文化」「利害関係」が違う。世界平和のためにはその違いを受け入れ、違いを楽しむことがお互いに必要になってくる。しかし現実は、 その違いによって争いや、戦争が未だに起きている

ジョーゼフ・キャンベルは、 は、国によって、民族によって色んな違いがあって、いろんな顔を持っている。どこの国でも、どこの民族でも同じ、神は神、神はひとつなのに、と言っている。 神は千の顔を持っている だけだという。

どんな捕らえ方をしようとどんな解釈をしようと、どんな姿をしていようと神は人類にとって同じ神なのだ。「神話」がそれを教えてくれている。世界各地のどこの神話であろうと必ず共通点があり、同じ目的を持っているのだ。 神話は上手に現世を生きる道しるべなのだ

かの 「スター・ウォーズ」 を作り出したジョージ・ルーカスはUCLAで彼に直接教わった生徒の一人である。ルーカスは、彼の見つけ出した神話の共通項から「スター・ウォーズ」という現代の普遍的な神話を生み出した。 現代には現代の神話が必要だ 。受け入れがたい人もいるだろうが「マトリックス」も現代の神話になっていると私は思う。

宗教の違いで戦争が起き、生き方(資本主義や共産主義の政治)の食い違いで戦争が起きかねない状態になっている現代、そこからもう一歩前に進むことができる可能性を秘めているのは、神話の力なのかもしれない。

いずれにしろ、人間が、人間である理由である、人間の原型、人類共通の原風景にまで立ち返り、お互いを再確認するまでは、この世に平和は来ないのかもしれない。

人種や宗教、国境を超えた人類共通の心の奥のなにかが世界を再び平和にする。それは一人一人の中にすでにあり、世界にすでに満ちているものかもしれない。我々が気づかないでないがしろにしているものかもしれない。私たちはすでにもう気づき始めているのかもしれない。

世界中の宗教学や心理学、超自然主義を研究されている方にこうした目的意識を持ってがんばって欲しい。





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