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そんな訳で、路上労働者には異常に辛い夏になっております。
しかも、忙しいならまだしも。
普通に考えたって、炎天下の中ですよ、庭いじりをしようという酔狂な人はそんなにいないわけです。
そんな、花屋モンタの罰ゲームにも似た、安月給炎天下耐久一人我慢大会は果てしなく続くのです。
ロマンチックな秋の夜を祈りつつの第三夜。でわでわ、お暇なら!
受け取った鍵を手の中で遊ばせながら、僕は部室へと向かう。
この大学は都会の真ん中にあって、いわゆるキャンパスというものがない。
だから、綺麗に刈り込まれた芝生に寝転んだり、爽やかな風の吹くベンチで愛を囁いたり、静かな木陰で思索に耽ったりというキャンパスライフを夢見てしまうと、かなりがっかりしてしまうことになる。
悲しいくらいに特徴のないビルは、大学の名前が彫り込まれたプレートを見過ごしてしまうと、鳥の頭を持たずとも3歩目で忘れ去られるだろう。
どちらかというと、入り口にタイムカードがないのが不思議なくらいだ。
部室はこの悲哀に満ちた学舎 の屋上にあった。
お盆の時期もあって部室には人影もなく、備え付けのアップライトピアノだけが僕を歓迎してくれた。
所狭しと置いてある楽譜や譜面台、アンプなどを掻き分けて窓を開けると屋上らしい涼しい風が入ってきた。
さほど思い入れもないサークルだったけれど、誰もいない音に溢れた空間は悪くなかった。
退部届を机に置いてピアノに腰をかける。
キザっぽくて照れくさかったけれど、僕なりの「さようなら」をしようと思った。
何を弾こうかとしばらく鍵盤の上に何も考えずに指を遊ばせる。
しばらくして 自然と浮かんできたメロディはセロニアス・モンクの「ブルー・モンク」だった。
カーテンを揺らす夏の風がピアノに合わせてハミングしてるみたいで心地よかった。
ふと、頬を撫でる風の流れが変わった。
風の行方に目をやると、いつのまにか部室のドアが開いていて、そこにハードケースに抱えられるように立っている見知らぬ女の子がいた。
その時、とっさに花を思ったのは、彼女の着ていたワンピースの柄のせいもあるが、短めの髪に大きな瞳でハードケースを背に凛と立つ彼女は確かに美しい花を連想させた。
驚いた僕が腰を浮かせると、彼女は形の良い唇に右手の人差し指をあて、左手で”そのまま”と僕を制した。
彼女は「タンタンタン」と、ピアノに合わせてリズミカルにつぶやき、近くのパイプ椅子に腰を掛けると慎重すぎるくらいの丁寧さでベースを取り出し、アンプを引き寄せてコードのプラグとヘッドフォンを差し込んだ。
磨き上げられたサンバーストのフェンダー・ジャズベースは夏の空を美しく映し出し、彼女の膝の上で楽しそうに笑っている。
どうみてもアンバランスな組み合わせも、まるで仲の良い双子のように見えた。
相変わらず「タンタンタン」とリズミカルにチューニングを合わせると、今度は瞳を閉じて僕の音と自分の音の距離感を確かめるように細い指を太い弦に走らせる。
そして、僕のピアノが佳境に入りかけた瞬間、首を左右に激しく振ってヘッドフォンを外すと同時に右足でコードを蹴り上げた。
柔らかなワンピースの花が揺れると部屋の空気が重低音に弾けた。
彼女は「良し!」と大きな声を出すと、僕を見て微笑んだ。
その微笑みはハードな音色が一層引き立てる、美しい花そのものだった。
・・・・・まだ、続く。
ということで、もう少し続くのですが・・・・・勘弁・・・・。
今夜はパット・マルティアーノ「EXIT」から「COME SUNDAY」です。
初めて「COME SUNDAY」を聴いたときに
「40才くらいで、この演奏が似合う男になってればいいなぁ!」と真剣に、そりゃ真剣に思ったものです。
数あるギタリストの名演の中でも、この演奏は特別なのです。
聴いていると、あらゆる感情が波のようにやってくるみたいな。
果たして、この演奏が似合う男になれる日は来るのか!!!
う~~ん、まだ難しいね。
と言うことで、秋の到来を期待しつつ眠るのです。
まだまだ、罰ゲームは続きそうだけれど。
それでは、続きはまた近々!
読んで下さる方にはホントに感謝です。
おやすみなさい。