もりのいえ 菜の花日記

もりのいえ 菜の花日記

その2


9時過ぎに、タイミングが合えば立ち会う事になっていた妊娠3ヶ月の妹到着。
でも夫以外の身内は陣痛中部屋に居ない方が集中して、自分を解放できると思ったので、
産まれる直前まで隣室で待機してもらう。

痛みと、いきみ感を逃すのが大変で、
この先更にそれが強くなるかと思うと弱音を吐いてしまいます。
「ああ、まだかなあ。」「一番のピークでこれくらいの痛みだと思ったのに。。」
すると夫に、「男には体験できないんだから。僕はうらやましいぞ。」と言われ、
「分かってるよ!」と声を荒げてしまうように、余裕が無くなりました。

昼前くらいからもう一人の助産婦、Wさんも加わり、三陰交のツボを押さえてくれます。
陣痛の合間にホメオパシーのレメディーを随時採る。
当初の予想よりも、お産の進みはゆっくり。
赤ちゃんがその方がいいのだからいきまずに、赤ちゃんのペースに合わせて、と言われる。
でもそれは大変。思わず力が入ってしまい、
「ああっ、いきんじゃだめ~」と自分でうなりながら呼吸を整え必死で逃す。

子宮口が全開してから、Hさんが
「赤ちゃん、なかなか下りて来れないみたいだから、
 少しいきんで手助けしてあげてもいいけど、どうする?」と聞かれ、
赤ちゃんのペースを待ちたいけど、早く産みたくなっていたので、いきんでみる事に。
何度かううーん、と力を入れる。四つん這いだと力が入りやすかったです。
赤ちゃんがある程度下りてきたところで一旦いきみストップがかかる。
今まで以上の押し出るいきみ感と痛みに耐える。
そんな私の横で、夫はしばし熟睡。陣痛のときの私の声も気にならない様子。
何処でもすぐ寝れるのは、夫の自慢。

その頃の事はもう必死で記憶はうろ覚え。
気づくとそろそろお産のようで、二人の助産婦さんが準備を始める。
妹を呼び、吉村先生と研修中の助産婦さんも(事前に見学を受け入れたので。)入室。
雨戸も閉めて、照明も極力落として行灯一つに。
暗い6畳の室内でいよいよ、お産のクライマックスを迎えます。

お産クライマックス。
クッションを背に、仰向けになっていきみます。
陣痛の度にプルンとした羊膜が出たり引っ込んだりするようになる。(触らせてもらう。)
何度か陣痛が来ていきんでもなかなか破水しない。
手足はしびれて力を入れるのもしんどい。体力も限界。
次第に羊膜は出たまま引っ込まなくなるが、自然破水しないのではさみを入れる。
この破水瞬間の事は私は全く気づきませんでした。

お産の家には天井から『力綱』というわら縄がぶら下がっていて、
最初は立ってそれにしがみついて産む事も考えたけど、
手足はしびれてだるく、立ち上がるどころか体勢を変えるのも難しい。
残った全身の力を振り絞っていきむ。
しばらくして赤ちゃんの頭が見え隠れ。
夫は大興奮。
いきみはストップ。
でも内側からすごい力がかかってきて、いきまずにいられない。
頭がぐっと出てくると会陰が引きつって裂けそうに痛い。そしてかーっと熱い。
「ああっ、だめ。いきんじゃう。痛い。切れちゃうよお。」
とにかく最後は辛かった。
そして。。

16時17分、「あっ、頭が出たぞ。」と言う声に意識を向けると、
「ウエッ、フニャフニャ。。」と声が。。
(夫はしゃべってたと言ってます。)

そして16時20分。次の陣痛で全身がツルッと出てきました。
首にはへそのおが巻き付いていました。
「産まれた!」
取り上げてすぐに赤ちゃんを手渡してくれます。
そのとき私はパジャマを上だけ着ていました。
「脱ぐ!」と言って裸になって仰向けに寝たまま赤ちゃんを抱きました。
赤ちゃんは青くも白っぽくも、赤くもなく、(よく赤いから赤ちゃん、と言われるけど)
きれいな血もほとんど付いていないピンク、肌色で全く泣きませんでした。
胸に置いても一瞬もがいてたけど、
私の心臓の音を聞くと落ち着いて、目を開きうっとりと神秘的な表情をします。
少しすると、さっそく私の肌に口を付け吸い始めます。
おっぱいだ、と思いくわえさせると結構な力強さで吸い始め、ちょっと痛い。


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