気になる作家  は行

気になる作家 は行 

橋本治

「桃尻娘」「生きる歓び」

 「桃尻娘」を最初に読んだ時は一見軽い文章だけれど、なんて女心がわかっているのかと感激した。
 この人女心のみならず、なにかにつけて、びしっと鋭い。ほにゃほにゃとひきこまれてしまう。独特な見解のようでもすごくわかりやすいし、しっくりくる。頭がきれすぎる人なのでおいていかれる時も多々あるが。
 読もうと思ってまだあまり読んでいないので、古典についてやさまざまなことについての論評が出ているので読んでいきたい。 


林あまり 

 「マース エンジェル」「ベットサイド」  

 デビュー当時、脚光を浴びていた頃は、大胆な雰囲気にのまれ、引き気味だった私。再会は去年、朝日新聞に連載していた「大人のための童話読本」だった。
 そうこの人も私と同世代で、子どもの頃、同じような読書の原体験をした人だったのだ。
 少女向けのシリーズに入っていた「君よ知るや南の国」(ゲーテ原作)で、薄幸の少女ミニヨンの卵踊りのシーンが強い印象で残っているというところ。青年ウィルヘルムに思慕を寄せるミニヨンのいじらしい愛情表現。それが切なく響き、少女時代にこの作品に出会えてよかったと語る…まさに私もそうだったの!おこがましいが、この人と語り合えそう…とまで思ってしまった。
 「青い鳥」「トムは真夜中の庭の中で」の読みにも実に奥深いものを感じた。不精な私が新聞を切り抜いておいたくらい…
 そうして感動したので、短歌も読み始めた。あとがきによっても、この人は素朴でおくてな人であるようで、まさにだからこそ逆に大胆にまで思われる表現に爆発したようだ。


林芙美子 

 「放浪記」「浮雲」

 学生時代読んでいた。この人は極貧でおよそ文学などと縁のない状況の中、天性の本好きで本を読み漁り、高等女学校へ行ったそうである。
 本好き好き!という感じが好きだ。
 やがて上京して、恋愛に詩作に励むエネルギッシュで情熱的な生きかたに惹かれた。そして体当たりの骨太でダイナミックな文学表現にも。尾道という原風景も素敵だ。


林真理子 

 「今夜も思い出し笑い」シリーズ 「美女入門」シリーズ 「本を読む女」「白蓮れんれん」「さくらさくら」「チャンネルの5番」「ロストワールド」「不機嫌な果実」

 いつの頃からか、もうずっとはまっている。「今夜も思い出し笑い」「美女入門」シリーズ大好きで愛読している。的確でヴィヴィットでおもしろい。
この人自身、いつも客観的な目を持ちながらも現役だ。
 人間の野心、恋愛の微妙なかけひきをめぐる男女のありさま、心のうつりかわりなど核心を包むところから核心に触れていく描き方が繊細である。大切なことではないかも…と思うことを克明に描いても決して空虚におちいらない、力量を感じる。
 異性へのわくわく感、おしゃれ、きれいになることに余念がなく、文章化しているのも、知的だからこそしらけないのだと思う。自分の子どもを絶対に仕事に持ち込まない姿勢もすばらしいと思う。









© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: