旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

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マルセル.カミユの≪黒いオルフエ


激しいリズムは死のリズム?≪黒いオルフエ≫ (2) 6月14日(土)

昔、レストランで何度か楽器を弾いたことがある。
友人のピンチヒッターーでした.

ボサノバって聴く分には気軽なんだけど
弾くのは、結構差が出るのだ.

つまり垢抜けた弾き方というか難しい。
それでも敢えてボサノバに挑戦したことがある.
今思えばなんと気恥ずかしいと身が縮まる思いだが.

そのボサノバというジャンルの音楽。
ご存知のようにサンバとジャズが合体して出来たものだ。

サンバは2ビート、ボサノバは4ビートで
サンバはホント乗りが難しいや。


その強烈なサンバが全編に流れ、
そしてカーニバルの夜を徹しての踊り
ーーリオのカーニバルを舞台に
ギリシャ神話の悲劇が展開される
ユニークな映画   ≪黒いオルフエ≫ を取り上げてみます。

この映画の魅力はカーニバルの夜を踊り狂うリオの
黒人市民たちの生命力であり、それを象徴する
サンバ゙の打楽器の強烈なリズムである。

これだけの強烈さ、盛りあがりは徳島の阿波踊りでもかなわない。

南米はブラジルの大西洋に向かって開けた美しい港町リオ。
表は近代的な高層ビルがそびえ、高い緑の丘がそばだっているが
その断崖の斜面には小さな掘建て小屋がびっしりと密集している。
その小屋はみんな黒人たちの住居なのだ。

黒人たちは肌の色は真っ黒だがその生活振りは結構西欧風で
服装も話し方も原始の匂いなど全く残っていないが、
それは表面のことだけで、
その肌の中には深く原始の血が脈々と打っているのか
サンバ゙の太鼓のリズムはそれを物語っている。

美しいカーニバルの仮装に彩られて
若者はオルフエに女はユーデイリオスに、
ギリシャ神話の物語は始まる。

ストーリー

リオの街。港が眼下に広がる坂の斜面に、黒人の部落が
密集している。
カーニバルを前に、若者たちは仮装の衣裳作りに余念が無い。

若者オルフエもこの丘に住んでいて、彼が歌うと
鳥も動物も静かになり、近所の人々もうっとりと聞きほれて
しまう。
ギリシャ神話に出てくるオルフエと同じだ。
オルフエは市内電車の運転手で
たまたま運転していた電車に乗り込んだ若い娘がいた.

リオのカーニバルを見に田舎から出てきた
ユーリオデイスという娘だった。

丘の上に住む従姉を訪ねて来たのだ.

夜になって、隣から聞こえてくる美しい歌声に外へ出てみると
昼間出遭った電車の運転手だった.

彼には婚約者がいてミラと言う.彼と彼女は
街へ行き、質屋からギターを請けだして来て奏でていたのだ.

ミラはスタイルも良い美人だがすぐに小言をいう気の強い
娘であった。
それに比べてユーリオデイスは慎ましやかで地味な美しさの
持ち主でオルフエは彼女と眼があうだけで心に
温かいものが染みてくるのでした。

夜が来て、明日のカーニバルの練習や準備にみんなは酔ったように
サンバを踊った.

ユーリオデイスもオルフエと一緒に楽しく踊った。

そこへ死の仮面をつけた無気味な男が現れた。
その仮面男はユーリオデイスを追い詰め、
すんでのところでオルフエに救われ、気を失った。

ミラは当然嫉妬に狂う。

翌日、カーニバル本番。
街は熱狂的なむせ返るような群集のパレード、
熱狂的なサンバのリズムは頂点に達する。

ユーリオデイスも従姉の衣装を借りて街に出て、オルフエの
組みに加わって恋の喜びと激しい踊りに炎のように燃え滾った。

そんな彼女に嫉妬に狂ったミラは彼女に掴みかかった。
必死で逃げる彼女に気がつくと追い詰めたのは
あの死の仮面をつけた男であった。

駆け付けたオルフエは彼女を助けようと高圧線のスイッチを
押し、却ってスパークさせて
彼女は焼死してしまう。

思いもかけぬ悲劇が二人を覆い、
その上ミラは正気を失い、丘の上の小屋に火を放った。
そして死んだユーリオデイスを抱きかかえているオルフエに
石つぶてを投げて断崖まで追い詰めた.

オルフエはついに断崖から転落、二人は屍を重ねて海の底に
沈んでいった。
呪われた夜は白々と明け、何も知らぬ子供たちは
オルフエのギターをかき鳴らし、踊り狂っていた....
1960年度のカンヌ国際映画祭グランプリ作品である.
確かアメリカのアカデミーの最優秀外国映画賞も獲得している?

主題曲はもちろんボサノバの名曲 ♪黒いオルフエ♪ です.

制作  仏  1960年度作品
監督  マルセル.カミユ
音楽  アンドレ.カルロス.ジョビン   






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