旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

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≪マドモアゼル≫



昨日は女は怖い...と書きましたが、
良く考えると怖い事をする男がいるから、
女が怖い行動を起こしたのですよね。

でも今夜は本当に怖い女の話.  ≪マドモアゼル≫

ジャンヌ.モローはこういった役ははまり役ですね。
清張の≪疑惑≫に登場したええっと鬼熊虎子ですか?
あの女性も怖かったが、無知による非常識さの怖さでした。

しかしこのマドモアゼルは聖職という教師としての教養もあり、
村のみんなから女神、聖母のような扱いを受けていながら
その裏に潜む魔性を描いている。

無表情のマドモアゼル(役の名前である)がただ一度だけ
笑うシーンはゾーッとする.

彼女の性格を象徴する小道具が実にこまやかに描かれ
これも当時評判となった映画であるが、一見の価値はあり・

女神、日本では観音様のような女御、淑女、貞女、女性、
といろいろあるが、ここに登場するマドモアゼルは
女神の仮面を被った汚れた(精神)怖い オ.ン.ナ である.

  ストーリー

フランスの片田舎・・村か里といった方が良いか・・

オンナは今日もオシゴトに出かける。
黒いレースの手袋をはめ、クローゼットの中の仕事用のパンプスを
履いて..。

村の水門のハンドルをゆるめている。
靴についたわらを手袋で拭い、近くにある樹の花を嗅ぎ、
うっすらと不敵な笑みを浮かべる。
開かれた水門からは水が溢れ出し、近くの一軒の農家は
水浸しである。

村人全員で溺れる家畜を助け、後始末をする.
オンナはさも何事かという風に立って見ている。

”マドモアゼル、こんなところに来てはいけないよ!”と
村人は言う。

そこに流れ者のイタリア人のきこりがいて手伝っている。
その男を人に気づかれないように舐めまわすように見ている
マドモアゼル。

きこりの息子は教師であるオンナの生徒のひとりであるが
ことごとくいじめられる。
だが男の子はこのマドモアゼルが好きだ。憧れている。
しかし、教師としてのそんなオンナをだれも咎めない。
何故なら、きこりはイタリア人でよそ者だからである。

この水門事件の前に2度の放火事件が起きていて、
村人たちはこのきこりの仕業だと思っている。

なんとか追い出そうとしているが、
きこりはまだ出ていく気も無い。
男らしい体格のやもめで、村の亭主持ちのおんなの共有物ともなっている。そんな事を亭主たちは知ってか知らいでか...

3度目の放火が起こる。手袋をして.。
しかし、彼女は着火に自分のノートを切り裂いた紙片を使った。

鎮火した現場で男の子はそれを見つけポッケにしまい、誰にも
言わない。オンナが犯人である事を知ったのに。
好きなんですねえ.

ここでマドモアゼルの紹介を.
32.3歳の昔の言葉で言うとオールド.ミス.
聖女のように村人に思われているため、
男に媚びを売る事も出来ない。
男を見て
自分の性に火がつくとどうしてもたまらなくなって
こんなことをしでかすという一種の
陰にこもったヒステリーですね.

さて、
きこりも息子自身もいよいよ疑われ、駐在さんも村人と
つるんでなんとかこのよそ者を追い出そうとする。
そのうち、オンナは森へ出かけるようになり、
出かける時にちょっと向かいの農家の水槽に毒薬をたらす。

牛馬やブタは次々と倒れて死んでいく。
村人たちも必死である。だれが犯人か?いやきこりを捕まえろ!
と  必死である。

日参する森の中でとうとうきこりと口を利いたマドモアゼル。

ちょっと下心を見せたきこりにあんたなんか!という目つきで
最初はそのまま帰っていっていた。

が、とうとうオンナは自分から誘惑していってしまった。
きこりは笑った。あの聖女がオンナ、、ただの、それ以上の
淫乱なオンナだったと.。

一番中、森を歩き、聖女もこれを機に普通の女になるのが
普通のドラマでしょうが.

村人たちは夜を徹して森をきこりを探して歩き回った。
夜が明け、きこりはオンナに言った。

”明日、この村を出ていくよ!”
さあーーオンナの逆鱗に触れました。
夜の大雨で衣服はずぶぬれ、引き千切れたままでオンナは村へ
踵を返す。

村の老婆たちは聖女のその姿を見て、
”まあーどうしたの、”何があったかを予想して、
”相手はあのイタリア人のきこりだね?!と強姦されたと
思ったらしい.

”ウイー”と応えて戸を閉める。
窓から外を覗う。

こちらへ向かってきたイタリア人は村人たちに鍬や鋤で
嬲り殺された。

トランクに荷物をまとめるマドモアゼル。

きこりの息子ときこりの友人はきこりが帰ってこないと
駐在署で事情を話すが”もう出ていったんだろう”と
口裏を合わせていて取りつく島も無い。
諦めて息子をつれて出ていく事にした。

折りしも、まるで新婚旅行にでも行くようないでたちで、
逃げるように、”転校しますわ!”とランクを持って,車に乗り込むマドモアゼル。
みんな惜しがりました。

どこか次ぎの町でまた、悪事を働くだけだろう..。
そして、向こうから見ている息子と目が合った。
子供はつばをペッと吐きかけた.

子供はそれでもとうとう真犯人がマドモアゼルだと
明かさなかった。まだマドモアゼルが好きだったのですね。

父親からも可愛がられず、好きな先生からも汚いなどと
疎んじられ、それでも先生を庇って、
泣きながらひとり池のほとりで、生意気にも
ちびた煙草に火をつけ、
証拠の紙片を燃やしながら、孤独な少年は
泣き続けた..。ここはちょっとウルンとくる描写でしたね。
綺麗な池の背景と哀しさがアンバランスで良いカットでした.

そして目のあったマドモアゼルは微塵も表情を変えることなく
村人たちににっこり笑って、村を去っていった..

感想は避けます。
皆様感想を下さりませ.

ただ、映画としては上の部類です。
モノクロの良さは言わずもがな。
デテイールに神経を使い、話しの流れだけではなく
モローの表情と演技につり込まれていきます。
やはり素晴らしい女優さんですねえ。大好きです。

制作  仏 
監督  トニー.リチャードソン(?)
出演  ジャンヌ.モロー  





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