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旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

デートリッヒとガルボ

≪モロッコ≫、≪椿姫≫と
デートリッヒ作品、ガルボ作品が続きましたので、
今日はデートリッヒとガルボについて
ちょっと触れてみましょう。

ハリウッドでは、
リリアン.ギッシュや.クララ.ボウといった
サイレンと時代の女優が活躍した後、
グロリア.スワンソンという生粋のアメリカの女優が
一時期活躍したが、その時代これといったアメリカ女優は
いなかった。

スワンソンといえば陰りが見え始めて二十数年後に
あのサンセット大通りで，
あたかも、本人をモデルにしたかのような
落ちぶれた往年の名女優を演じてすさまじい怖さを
訴えてきましたよね。

欧州から招かれたグレタ.ガルボとマレーネ.デートリッヒは
グロリアの後を継いだトーキー最初の双璧のスターである。

キャサリン.ヘップバーンやイングリッドバーグマンが
登場する前にこの欧州出身の二人の、
それも個性の相反するスターが活躍する事になる。

デートリッヒの嘆きの天使はスタンバーグが
ドイツに招かれて撮った作品で、その後すぐに
デートリッヒはハリウッドに招かれたようである。

同じスタンバーグのメガホンで
モロッコはすぐにクランクイン.した。

否が応でもデートリッヒはガルボと比較された。

それまでのアメリカ女優にはない個性の二人は
アメリカの観客にとって新鮮に映り、
北欧系の美女はアメリカ人の理想像でもあり、
こぞって二人の映画はもてはやされた。

神秘的な威厳に満ちたガルボはスクリーンで
その笑い顔を見ることもあまりない上に
私生活はまったくと言ってよいほどわからず、
その神秘性は益々増し，ベールに包まれた。

ガルボは情熱的に見えてすぐに冷静になる。
だからまたつかみ所がないのである。

造形的なその顔と雰囲気、
彼女には貴族や高貴な役どころがはまり役であったが
謎に満ちた美女であった。

片やデートリッヒは
毛皮、宝石、絹の手袋、タバコといったものが似合い、
その脚線美が素晴らしく、
娼婦や夜のおんながはまり役であるが、
頽廃美という個性はインテリジェンスを感じさせる
骨格の太いものである。

第一次大戦から第二次大戦さなかに活躍した二人に比べて、

面白いなと思ったのは第二次大戦後に登場した、
二人の女優、
オードリー，ヘップバーンとマリリン.モンローも彼女達と同様に
アメリカの大変動期に登場したという点において
何か似通ったものを感じないか。

デートリッヒとガルボの時代は大不況時代。
ヘップバーンとモンローの時代は好景気時代、ともに
アメリカの大変動期である。
そして四人とも生活臭のない、いわばシテイ.ギャルであること。
つまり我々に夢を与えてくれた女優たちなのである。

そして、３６歳で美しさを人々の心に焼き付けたまま
さっさと引退した日本でいえば原　節子のようなガルボが
若くして亡くなったモンローの私生活の神秘さを感じさせ、

ヘップバーンが見た目正反対のデートリッヒのように
その生き様を亡くなるまで信念を貫き通した生き方をしたという点である。

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