旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

゙≪自殺への契約書≫



1959年に封切られた映画ですが、日本公開が
≪十二人の怒れる男≫とぶつかってしまった為に
さほどの評価を受けず仕舞いに終わり損をした映画がある.

フランスの名匠ジュリアン.デヴィヴュエが敢えてサスペンスに
挑戦した作品である。
戦前に比べ戦後は低調だった監督が言っている。
”私は単にスリラー映画を撮りたかっただけである。”

     ≪自殺への契約書≫

フランスの名優11人が競うデヴィヴュエの世界!

前に紹介したように、彼は戦前、
”にんじん”、”我等の仲間”、”望郷”、”舞踏会の手帖”
”旅路の果て”、”埋もれた青春”などなど
素晴らしい作品を世に送ったーーフランスの最高の監督だーー

その彼がスリラーに挑戦した。
”十二人の怒れる男”と同じく
純粋なデイスカッションドラマである。

ただ十二人..はヒューマンドラマとしても最高であったが、
こちらは単にミステリードラマであったから軽視されたようにも
思うのである。

ーーーーーー第2次大戦後、15年経った.
レジスタンス運動に加わっていた過去を持つ美人のマリー。

その彼女が知った事実。
当時のレジスタンスの首領が密告者の手によって
独軍に売られ、そして死んだことが分かった。
彼女は自分の邸の晩餐会に当時の仲間を招待する。
裏切りものは仲間内にいると思ったからだ。

お互いに、切迫した緊張感の中で、デイスカッションにより
裏切り者を見つけ出そう!とする.

消去法により追い詰めていく場面のサスペンスは見事である!
デヴィヴュエの創作欲が溢れ戯曲的な一室での
デイスカッションドラマとして十二人...に勝るとも
劣らないほどであるが、
悲しいかな、
ヒューマンドラマとして爽やかなラストシーンで終えた
十二人....に比べ
この作品では、裏切り者を罠にかけ、
射殺するという結末が大分劣っているのではないかと
思うのであるが...?

しかし、畳み込むような会話の運びといいスピードのある
サスペンス感は一級作品であると思う。

主演女優はーーーー戦前、世界一の美人と言われた
ダニエル.ダリューである.
ある人が言っていた---”美人と言っても
美人の中の麗人だ!”と。

まさに1世紀に一人か二人しかという麗人である。

製作  仏  1959年度作。
監督  ジュリアン.デヴィヴュエ
出演  ダニエル.ダリュー/ポール.フランクール
    ベルナール.ブリエ/ロベール.ダルバン
    ポール.ムーリッス/リノ.バンチェラ..他



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