Ｆ．ラング．≪死刑執行人もまた死す≫
本日はその題も
≪死刑執行人もまた死す≫
サスペンスに入れるかどうか迷いましたが、
この作品は二重底、三重底になっており、
ゲシュタポとプラハの一市民との知恵比べのサスペンスで、
難しい内容を非常に分かり易く面白く描いた秀作なので、
紹介することにしました。
うんうんと頷きながらやったあーと声を
出しながらヒロインを
応援しているわたしがそこにおりました．
これはレンタルショップでも置いてあると思いますので
ぜひ楽しんでください。
ナチ占領下のチェコ．
横暴を極め“死刑執行人”と恐れられているハイドリッヒが
暗殺される。
ヒロイン マーシャは街で買物をしていて
ゲシュタポに追われている男を庇った。
マーシャの父は学者であった。
ゲシュタポは躍起になって犯人を追うがその顔も名前も知らない。午後七時以降の外出禁止、出れば射殺。
また住人は全員、名前と住所を登録せよとの
お達しが出たため、犯人は行くところがなく
学者一家の元へ潜り込む。マーシャが庇った男であった。
父は15年前に政治活動を止めているが活動に理解はある。
黙って何も聞かずにかくまうが
魔の手はこの学者一家に狙いをつけ
あの手この手で接触してくる．
父は捕らえられ、マーシャは婚約者のヤンに、
男との仲や、秘密の匂いを探られる．
チェコ市民の結束の固さにゲシュタポは報復の為、
無差別に市民を捕らえ処刑していく。
父の命も危ない。執行される前に助けねばならない。
暗殺者の運命も思いがけない方向へと転換していく。
ここにゲシュタポの配下の警察官が登場。
悪いやつだが笑えてくる。
その手先として、彼に多額の賄賂もつかい、
ビール醸造の経営者でもあるチャカという人物が登場する。
地下組織の首謀者を探すため、組織に潜り込んで
運動を煽動して首謀者を煽り出そうとするが
暗殺者（実は外科医）と首領の工作で
面白い結末へと導かれていく。
マーシャと暗殺者と恋人ヤン 対 この面白い警察官とチャカの
知恵比べが始まるというもの。
チャカを暗殺者にし立てようという試みは一筋縄では行かないが、
ここにマーシャと恋人ヤンと焼き餅を焼かれる暗殺者との
恋模様も散りばめ、
警察官に一泡吹かせ、殺してその罪をチャカに着せ．．．．
と話しは進むが、．。
さてゲシュタポは最後どのような解釈、決断を
下すのでありましょうか．．．．一巻の終わり！
ヒトラーの責めから逃れる為アメリカへ亡命した
フリッツ．ラング（サスペンス好きにはちょっと知られた監督です）
が、
反ドイツプロパガンダ（政治的宣伝映画）として
作った映画である。
宣伝映画であっても優れたシナリオの為、笑えて、
且つ皮肉、ユーモアもあって面白い作品となった．
ヒューマニズムが皮肉とユーモアの衣服を
着ているような出演者達．
サスペンスものとしては、話しがニ重、三重となっており、かなり複雑な仕掛けなのだが
脚本が良くて、女性でも分かり易く巧いな‐と感嘆しました。
１９４３年度の作品ですが、封切られたのはなんと
１９８７年なのですぞ．
ハリウッドで撮ったこの作品は
四十数年後に初めて日の目を見たわけですが、
今観ても新鮮で古びた感じは全然ありません。
明らかに反ナチの戦闘意識の煽動というか
昂揚映画であるのは見え見えなのに、
プロパガンダに屈せず、殺人犯を追って
ナチの捜査の網の目がじわじわ且つ
急速に絞られてくる過程でサスペンスは盛りあがり、
対レジスタンス側はそれを受けて
こちらではドラマが進行するという上手い組み立てに唸りながら、
満足度１００パーセントで ＴＨＥ END でした．
製作 米国 １９４３年度作 １９８７封切
監督 フリッツ．ラング
出演 アンナ．リー／ウヲルター．ブレナン／
ブライアン．ドンレヴィー
© Rakuten Group, Inc.
