七夜式のやりたい放題なブログ

第三十三話 死




―――G0ベルト、防衛部隊


『ここは一時撤退だ』


ルルーシュの声が通信で響いた。


「そうか・・・錬は戻って来ているのか?」


シードがルルーシュに尋ねた。


『少し時間をくれ。確認する』


そのやり取りの後、レーヴェとスザクが戻ってきた。


「帰ってきたか。セシリアとミリアルドはどうした?」


シードが二人に尋ねた。


「・・・ミリアルドが敵に討たれ、セシリアが戦闘圏外へ連れて行った」


レーヴェが淡々と答えた。


『確認を取った。錬は帰ってきていない』


「そうか・・・エースが3人も不在とは・・・」


―――同空域、錬


「くっ、はあっ・・・何をやってるんだろうな・・・俺は」


自分のライフル型デバイスの照準をサーシェスの背中に合わせながら錬は呟いた。


ライフルは敵を一撃で仕留められる様巨大且つ高出力に設定してある。


「けどな・・・こいつをやらなきゃ・・・仇を、とらなきゃ・・・俺は俺を許せねぇ・・・自分の罪とも、向き合えない」


サーシェスの機体がこちらを向き、迫ってくる。ギリギリまで引き付けなければ避けられる。


「だからさ・・・」


息が荒くなる。


もう少し。


もう少し。


あと少し。


あと少し。


射程圏内。


ターゲット・ロックオン。


「狙い打つぜぇ!!」


残った最後の力で引き金を引く。放った魔力砲はサーシェスに当たったが、向こうもビームライフルで錬のライフルを貫いた。


錬が無重力の空域に投げ出される。


「REASON」 推奨


―――重力圏内、セシリア、ミリアルド


「しっかりしてミリアルド!!」


ミリアルドを地面に寝かせ、声をかける。


「くっ・・・ここ・・・は?」


ミリアルドが目を開いて呟いた。


「重力圏内。貴方が右肩と胸をやられたからスザクに言われてここに来たの」


「そうか・・・俺は、アスランに討たれたのか・・・」


「ねぇ、何であの時討たなかったの?」


セシリアはミリアルドに尋ねた。


「まだ・・・心は鬼になれなかったらしい。『友達』っていう概念が邪魔をして・・・止めを刺せなかった。駄目だな、俺。こんなんで・・・死ぬなんて」


「ううん」


セシリアは涙を浮かべながらも首を横に振った。


「やっぱりミリアルドは心の奥は優しい子なんだよ。私が好きになったのは、そんなミリアルドなんだよ」


「はは・・・そりゃ良かった・・・あ、雪が降ってるじゃないか」


空を見上げると、灰色の雲から白い雪が降っていた。


「最後に・・・大好きな、人と、叔母さんが・・・好き、だった雪・・・見れて良かっ・・・」


その言葉を最後に、ミリアルドの目は閉じられた。


「ミリアル・・・ド?」


セシリアが呼んでも、もうミリアルドは返事をしない。


「くっ・・・!!ミリアルドーーーーーー!!」


さっきまで堪えていた涙も、限界だった。


―――G0ベルト、錬


「父さん・・・母さん・・・アイリィ・・・」


サーシェスのテロで死んでいった家族たちを思い出す。


錬の苗字は実は遠坂ではない。


本来は『錬』とさえ書かない。


レン・エンハンス。


これが彼の本当の名前。


「解ってるさ・・・こんな事をしても、元には戻らない。あの頃の様には、戻れないって・・・」


錬の家はメガロポリスの中の国『モデオヘイム』で平凡に暮らしていた。


サーシェスとも親友だった。学校でも1、2を争う成績優秀者で、二人は良きライバルであり、友達だった。


だが、そんな関係も錬が23歳のときに脆くも崩れ去る。


サーシェスの住まいはルーアンで、モデオヘイムと一緒に統合軍の科学力に頼る国だった。


そのルーアンがモデオヘイムにテロ行為を行った。


理由はモデオヘイムの魔力発電。


魔力発電とは、ミッド地中に無限に生成される魔力を特殊な魔導機械で吸い上げ、生活の糧にするシステムだ。


当時は使用国は少なく、危険性もあったが、モデオヘイムはあえてこの星の繁栄の為にとこのシステムを採用した。


隣だったルーアンは激昂。


今まで統合軍に頼っていたモデオヘイムが、管理局の下につくのだ。


仲間が減っては怒るのも頷ける。


そこで、テロは起きた。


モデオヘイムの首都は爆破され、辺り一面火の海だった。


錬はそれを管理局内で見ていた。その時に一瞬だけサーシェスが映った気がした。


その真偽を確かめる為、錬はサーシェスをずっと探していた。


「探していた末にあった物は・・・『死』か・・・」


そう遠くない場所で爆発が起きた。恐らく距離と方向からしてサーシェスのスローネが爆発したのだろう。


「俺の復讐は終わった。だから世界も俺を生かしておいてはくれない、か・・・」


そろそろこちらのライフルも爆発しておかしくない頃だ。


「・・・ったく、ここで終わりかよ・・・つまらない人生だったぜ」


錬の視界の隅にアルセイユが小さく映った。


「・・・いや、ミリアルド、お前に会えて良かったよ。あの、憧れの・・・マレーネさん、ルイード・・・さん」


錬のライフルが、至近距離で爆発し、錬はそれに巻き込まれた。


―――重力圏内、セシリア


「・・・おやすみなさい、ミリアルド」


一しきり泣いた後、セシリアは立ち上がり、ミリアルドに別れを告げた。


「・・・忘れないから。大好きだった事」


セシリアは歩き出す。


この戦争を終わらせる為。


ミリアルドの敵を討つため。


この先に待つ運命を、今はまだ、誰も知らない・・・


              To Be Continued...


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