Laub🍃

Laub🍃

2011.10.16
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カテゴリ: .1次メモ
 きっと俺は現実なんて本当はどうでもいい。

勉強なんぞするものか。
友情なんて欲しくない。
未来なんてくそなんだ。


 駄目になった色々なことをやっているゲームのせいにして、そうしてよりそのゲームしか縋るものがなくて没頭してそんな自分を自嘲して笑っていた。
 学校だってしばらく行っていないし、そんな自分に対して完全に両親は諦めていた。

 そんな俺に相応しいのかもしれない、ゲームの中に閉じ込められるだなんてこと。

「うらぁっ!!!」
「ひっ」



 童顔美少女風(俺がそう設定した)の勇者から繰り出される攻撃は、敵対した気持ち悪いクリーチャーと同じくらいえげつないもので。いや、俺が悪ふざけで変な技ばかり覚えさせたんだけど。

「……あ、気持ち悪い…ですよね、こんな…」
「い、いやそんなことねえって!」

 美少年の腕から生えている巨大な何本もある触手はクリーチャーをどんどん締め上げていく。ばきばきと骨が折れる音、吹き出る血、クリーチャーの口らしき部分から吐き出される緑色の液体(胃液?)ともとは人間だったらしきもの。

「おぼろろろっ」
「守!」

 これで意識暗転しなかっただけまだマシになったのかもしれない。

「だ……大丈夫…だから」

 相変わらず何の能力も持たないままの俺が、こいつに守られ続けて3日、経ってしまった。




「だ…大丈夫か?ごめんな、守は多分荒事に向いてないのに…こんなところまで連れてきちゃって」



「いや…いいよ」

 はじめはこの世界が怖かったけど、大分馴染んできたし。……それに、この勇者……「ああああ」が、ずっと勇者じゃない奴扱いされているのも嫌だった。
 俺があのゲームをプレイしなくなった後、どうやらこいつはそれでも頑張って魔王を倒しに行こうと頑張っていたらしい。どういうメカニズムか知らないが。
 しかし、プレイヤーの手が介在していないとああああの手は聖なる証にはなりえないらしく、そのせいかは知らないが俺がこの世界に巻き込まれたと。
 ……まあ、ランク落として行った高校ヤンキーばっかりだったし、血腥さだけでいえばこの世界とそう変わりはないが…


「ゲームしてえなあ…」
「?クイズでもするか!」
「いや、そういうんじゃなく…」

 早くも俺はブルーライトが恋しくなっていた。
 親が高望みを俺に押し付けたせいで、俺はセーフティネットなしに高レベルのクエスト、受験に挑むことになり、そして魔王クラスになんてかなうわけがなく敗退。残ったのは親の部下のコネで入れたあそこしかなくて、あそこでは学校にゲーム持ち込み禁止で(壊されるから)……ああ、そういえばあそこでは周囲の馬鹿たちは何をやっていたっけ。喧嘩。却下。

「……女遊び…」
「…え……!?」

 目の前の女みたいな顔が赤面して俯く。

「あ、いや、ごめ、そうじゃなくてな」

 答えるもっさりとしたオタクルックの俺。はたから見たら女子高生に迫る変態みたいだ。

「あ…あの……その…………もし…たまってるんだったら……」
「……え!?」

 ぎゅっと股間を握られる。
 はたから見たら美少女に股間を握られるオタク。二次元か。いや、ここ二次元だった。

「……ぼ、僕も……よく分かんないけど…自分のしかやったことないし……」
「え、いや、あの」

 ここでろくな返答を出来なかった俺は、後にそれを最大級に後悔するのであった。




*****


 こきあいっこに発展。
 勇者×プレイヤー。
 因みに黄泉竈食ひ(性的な意味で)。





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最終更新日  2016.09.24 18:47:31
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