Laub🍃

Laub🍃

2012.01.24
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カテゴリ: .1次メモ
吾輩は大学生である。彼女はまだない。
どこでできるかとんと想像がつかぬ。
少なくともこうしてサンタの格好をしてチキンをクリスマスの売れ残り目前で売りまくってる今に出会いの芽がないことだけは分かる。

「全部売りぬいたら帰っていい」

きっと客は来ない~♪一人きりのクリスマスイブウォウォウォ~♪
そんなことを歌ってても誰も咎めない位にそこの通りは人が来なかった。
あ、きた。けど歌ってる俺を見て眉を潜めて去って行った。可愛い女子中学生だった分ちょっとショックである。いや、オッサンでも嫌だけど。
駅に近いのに誰も通らない場所。サンタに体格だけ似てる俺が白いひげサンタの扮装白いマフラー白く光る眼鏡つけて立ってることで更に人通りが少なくなる。地獄かここは。
寒い。手の中のチキンだけはレンジで温めることが許されている。

どんなブラックだちくしょう。しかしこれには俺のプライドがかかっているのだ、断れなかったのだしょうがないのだ……そう自分を誤魔化すのもそろそろ限界だ。手の中のブラックペッパーは食べたらあったまるという謳い文句だがこっちは心が冷えていく一方だ。
「クリスマス予定空いてる?」
と綺麗な姉系の同僚に聞かれて
「あ、空いてないですー」
と見栄を張れるだろうか。いや張れない。あのうるつやリップは殺人級だ。

こうして俺は「じゃあシフト代わって」の攻撃に9999のダメージを受け就任したのであった。

売れない。
まったく売れない。
仕方ないからチキンを食べる。
どうせ売れなかったら全部買い取りさせられるんだ。
バイト分パァだろうがもう知らん。


マッチ売りの少女みたいだな…
ちなみに三親等全員健全だし生き別れた彼女とかも別にいないので……
そこに居たのは放し飼いしてるうちの猫だ……お前もしかして車にはねられてしまったのか……もしかして俺も一緒に食い過ぎでお陀仏か……一緒に行こうか……

ふぁーーーと心だけ昇天しそうになってたらその幻影だと思ってたたま(オス)(彼女なし)に顔をひっかかれる。がり。いてえ。サンタ服が赤くてよかったと喧嘩づけの不良みたいなことを思った。

「にゃー!」



「……生きてたのか」

とりあえずゆっくりと抱きしめて、撫でまわす。すぐにごろごろと言う。ういやつめういやつめ。いつのまにか降り始めた雪から庇うようにしてあやす。自分の体積がでかいことに感謝した。

「……お前チキン喰いたいのか?食い気で近寄ってきたのか?……あー、飼い主と似て食欲に弱いなお前……。ブラックペッパーは体に悪いから駄目だけど、なんなら全部食い切った所だし、金引き出すついでにコンビニで猫缶でも買ってやろうか」
「にゃー」

温かいならまあ、なんでもいっか。ヌクモリティに人は飢えているものなのだ。冬にあったか~いコーンスープばかり売り切れなのも多分そういう理屈だ。
猫の腿はチキンの腿肉と触った感じが似てると思いながら俺は岐路に着いた。
因みにこたつの電源を入れた途端たまは俺なんて知ったこっちゃないと突進した。ちょっぴり心が冷たくなったがこたつは全ての思考を溶かしてくれた。たまの太腿をこたつの中でもみしだいたがとろけるチーズのようになっているこいつは無反応。あー幸せ。あったかいっていいね。

自分のなけなしの貯金から代金を払ったことがばれて怒られたのはまた別の話である。
おかげで猛烈なシフトを組まれ、俺はげっそり痩せることに成功した。
しかしやっぱりさっぱりもてなかったのも別の話である。


*****

季節外れですが。
因みに私もココアと珈琲とミルクティよりもコーンスープ派です。
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最終更新日  2016.12.15 06:49:32
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