Laub🍃

Laub🍃

2012.08.22
XML
カテゴリ: .1次長
気持ちいい事は大好きや。やから人にも気持ちいい想いをしてもらおうゆう話。なんかおかしいとこあるか?ないやろ。
 代わりに命だとか社会生命だとかの寿命は早まるが、それはまあその分沢山産んだり稼いだりしてもらえばそれでええやんか。
 薬を売るとか女を売るとか男を売るとか子供を売るとか色々やっとるけど、うちらは決して誘拐なんぞしとらん。気持ちよくなるお薬かて百姓さんの育てた有機農法やし女も男も子供も余っとるとこから買って行き場を融通してやっとるんや。そん中にはお薬大好きになったから育てられなくなってしもーたっちゅー場合もあるけど、親子両方手に入るんやからうちら的にはお得やな。余ってるもんをどっかに売り捌くのが悪いわけないやろ?むしろ取り合いが起こらないようにしてるうちら親切やろ。金の為にキャベツや林檎ゆう命を捨てとるうちの実の親父達よりもよっぽど真摯で紳士なお仕事や。
 やから取り締まりなんてせんで、幸せなまま皆死んでいけばええんや。下手に取り締まりなんかするから半端に地獄みたいな現実をまた見る羽目になる。絶望の中自殺すんのと希望の中殺されるのとどっちがええよ。後者に決まっとるやろ?
 やのになんでうちらが怒られるん?叱られるん?おかしいやろ。あんたらもいっぺん吸えばいっぺん味わえば絶対気持ち変わるて。ほらみんなで育てよ?産めよ殖やせよ国の為しよお?お薬があるからなあ、それがあったらどんなことがあっても笑ってられるんや。居るか居ないかも分からん神様に頼るよりも、きったない現実踏みしめて生きてくよりも、ずうっと幸せやで?人道的やろ?ほら、口汚く罵られてもこっわい顔されてもなんか汚い写真見せられても銃口向けられても全然怖ない。
 幸せ幸せ幸せ。

 ぱん、ゆう音が聞こえたか聞こえてないか。気付いたらうちは倒れとった。

 合わない焦点で狭い路地裏を見上げる。青い青い空が見えるかと思ったら、生憎の曇り空。
 どすどすとうちを撃ったそいつは去っていった。冷たいなぁ。撃たれたとこは心臓。痛覚が麻痺しとるから恨みはあらへんけど、そこから痺れが全身に広がる。薬が切れた時みたいや。寒い。

 寒いのは嫌いや。
 あの人に薬貰った時、温かいと初めて思うたんやったな。
 あの人は今、どうしとるんやろ。

「ー生きとる?」
「……」

 ぱくぱくと口を動かそうとした。けど動かへん。
 代わりに乾いていく目に神経を集中させる。

「久しぶり。遅くなってすまんな、迎えに来たでピジョン」

 そう言って、その人はうちの胸に手を当てた。

「あ…あー……あ、あんた……」

 喜びと戸惑いで胸がいっぱいになる。酒と薬とヤる事以外で気持ちよくなったのは久しぶりや。


「一緒に行こう。皆を幸せにしに」
「はいっ!!」

 その人ーーーードラヴさんの背中は、狭い路地裏を汚い空をたちまち生々しくて美しいものに変える。この人はすべてを、バカみたいな頭のいい人たちが作ったすべてを、生き物の倫理に返す。
 この人が居るなら、大丈夫。

 世界平和は、もうすぐそこや。

? 最終更新日 2017.02.17 23:45:13





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.03.20 16:17:38
コメント(0) | コメントを書く
[.1次長] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: