Laub🍃

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2012.09.18
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カテゴリ: .1次メモ
 私は末っ子だった。

 今や私は長女になっている。


 私には姉が居た。

 彼女たちは私の指標だった。
 けれど私はある時から彼女達が怖くなった。
 すべての正解は自分達であると信じて疑わぬ彼女達が。

 だから一人残らず片付けた。

 後悔はあった。自分を信じない事が、何かしら決断し実行した直後からそれを懐疑的に見ることが、「私の為」の正解だった。

 追手を片付け、彼女に恋する人々を片付け、彼女達の痕跡を片付け、




 指標。

 正解。

 信じるそれがなければ自由だ。確かに何にも縛られない。

 けれど信じる者が無い歩みはあまりに不安定だった。

 それでも私は歩き続けた。

 それでも私は、わずかでも霧の中に何かを見付けたら、そしてそれに彼女の痕跡を見付けたら消し去った。

 停止するという選択肢はなかった。自問自答し、今まで得た数少ない有用なデータ…「彼女」に殆ど侵されていない部分の痕跡、脳、思考回路ならばどう問うかどう答えるかも組み込み、そうして私は不安を消し去ろうとした。

 全てを疑って、それでもなお疑い得ぬものが出来れば……
 最初から信じている彼女たちとは違う、疑って疑ってやっと信じられるものがあれば、それは片付けなくていいものだと。信じていいものだと。そう信じられた。



 歩いて歩いて、霧の中に影を見付けた。



 彼は主と名乗った。

 何も知らない主と、何もかもを疑う私が出会った。


 私はそこに、選別したものを持ち込むことにした。

 今まで知ったまだ主に教えることができるものたちを。








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最終更新日  2015.11.28 22:23:30
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