Laub🍃

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2012.09.25
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カテゴリ: .1次メモ
 はじめはただ、誰かを笑わせたかった。
 大事な誰かの笑顔が見たかった。

 僕の場合はその相手が母だった。父だった。
 ヒステリックな母と、厳格な父が唯一笑ってくれるのは、僕が良い成績を上げた時だった。僕が彼女彼らの言う通りの良い子になった時だった。

 けれど、彼女彼らの言う「良い子」になろうとすればするほど、いつのまにか学友からは嫌煙されて、ますます僕は母と父にしがみつくしかなくなった。

 やがて、妹が生まれた。

 生まれた妹は可愛がられた。

 そう、その存在だけで母と父を笑顔にするほどに。

 僕の存在価値は、ますます勉学だけになっていった。





努力。努力。努力努力努力努力努力

頑張っても頑張っても頑張れば頑張るだけ学友に嫌われることを言ったらお前の努力は正しいのだと学友たちが間違っているのだと言われしかし教師や学友からは僕の家がおかしいのだと言われ僕は僕は僕は僕はそれでも家の為に頑張るしかなくてそれでも家に帰れば妹が笑わせる家庭が待っている、僕に対しては成績を見せなければ笑顔を見せてくれない二人が笑っている僕と相対して妹が笑わせた片鱗がこびりついている



僕は。



僕は、



僕は僕は僕は僕は、



「頑張らなくていいよ」


え?



「もう十分に頑張っているよ」



いいのか



「ねえ、あなた」



本当に頑張らなくていいのか







必死に頑張らなくても、誰かは笑ってくれるのか
僕に笑顔を向けてくれるのか


僕は笑顔になることが許されるのか



「そうか」

「そうだよ」



「ほんとに、ほんと」


大好きだ


「ほんとうなのか」


君さえいればこんな世界どうだっていいくらい
君の隣にいられることが僕の存在意義であるくらいに


「……好き、って言ってもいいか」
「こっちこそ……す……う、言葉にすると、やっぱり、照れるね」


愛しい。


「す…」

愛おしい、


「「好き」」


同時に言葉を発した。


家族にさえ感じたことの無い気持ちで涙が止まらない。


「ふふ」

彼女の照れた笑い声が耳に頭に響いて幸福感で頭がどろどろになる、視界が曇る、
視界が歪む、伸ばした手が、ゆがんで紫に膨れてどろどろになってぽこぽこと細かい泡があれあれれ?



「主」



『やっと』



え?



『やっと君に会いに行ける』



なんだこれ



『アリス』



おれのくちがなんでかってに



「お誕生日、おめでとうございます」



ぼくは







ぼく











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最終更新日  2015.12.26 23:21:19
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