Laub🍃

Laub🍃

2012.11.03
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カテゴリ: .1次メモ
「……というわけで、僕が居ない事でお母様が御苦労なさっているのは重々承知なのですが、正直言って少しこちらに匿っていただけた方が僕としては心が楽というか……」
「はいもいっちょ練習!ファイト!首領」

 うぜえ。

 最近気合を入れる為の口癖がチム、苛立ちを発散する為の口癖が目の前のクソ参謀レボになっているくらいにはうぜえぞレボてめえこの野郎他人事だと思いやがって。

 ……取り敢えずセッティーニになり切る為の訓練とかいうやつをやってみたがこれがなかなかに難しい。
 あいつ性格はクッソ悪かったがやつはやつで、生い立ち結構苦労してる奴だったらしく、ついこの間御貴族様の息子っつーことで誘拐してみたところ
「どうして…どうしておればっかこんな目にあうんだよ……っ!!」
「えっ」
などと奴の中で何かが切れたらしくそこから怒涛の愚痴が始まった。

 取り敢えずめんどくなってきた所で本拠地の島に到着して聖母のようなうちの妹(11歳)を紹介した所あいつ妹のほうを神様と崇めて俺の事を興味ない話題にはすげえどうでも良さそうに相槌打つとかほざきやがったけど。

 ……いやいやいや、俺の頭の中が愚痴で占領されてどうする。今はどうにかしてあいつになり切るんだ。そしてできるだけ、俺の時もあった交渉&交渉決裂を少しでも先延ばしし……「交渉決裂~セッティーニお前奴隷確定な★」あわわわわわわわわイケメンやめろその引きずり方やめいたいいたいいたたたたたたたちょっと待てレボお前なんで止めるどころかその持ち方どこ触ってんだてめえ離せこのやろやめあわわわわわわわわ



***



「……ま、奴隷っつーのは冗談だ」
「……あなた方の冗談は分かりづらい…」
「お前ら御貴族様の嫌味よりは分かりやすいだろ」

 知らねえよ貴族じゃねえもん俺。
 つうか怖いよ畜生、冗談っつーならなんなんだよ、俺の処遇について色々思う所あるんなら最後まで喋れよ……!
 ニースは口が達者な癖に、こういう時ばかり静かだ。
 黒眼鏡の奥の細められた目に肩を震わせる俺。

 しかし次の瞬間、優しい声が響く。


「……」

 チム……!
 チム本当に優しいな……くそ…………!!

 まあそれでも他の奴らが黙ったままなんだけどな……!!!

 チムありがとうごめんなお前本当その優しさがいつかお前の首絞めるぞでも好き…その優しささえあればもう俺奴隷でいいやじゃないこれから俺どうなるんだ助けてくれ見逃してくれという目線を涙目ながらボス猿軍団に送ると、



 リシカが折れた。

 強面で威圧的だけど意外と優しいんだよなこいつということはここ数日でなんとなく分かっているので、なんとなく折れてくれるなら彼だろうと思っていたけれど、やっぱり嬉しい。
 チムは最初から俺に対して同情的ではあるが、同情的であるがゆえに立場が弱い。

 ぱっと見つっけんどんなリシカが、俺に対して棘棘しつつも存在を認めてくれるなら俺はここに居やすくなる。

「……あ、ありがと「ただし、働けよ。御貴族様だからって容赦しねえからな」

 ……居やすくなる……というのは間違いだ。訂正する。

「使えなかったら甲板から叩き落すからな、覚悟しとけよ」

 奴隷とどう違うのか分からない身分を手に入れた、だった。




 ……まあ、一応これでも逃げ出すチャンスはあるだろ「暫くは船の奥で料理係な」あわわわわわわわわ





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最終更新日  2015.12.27 05:54:14
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