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長押綴

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2012.11.30

　改造人間になってから、俺の友達は改造してきた医者だけになった。
　友達がいなくても、こいつがいれば、まあ、いいか。
　いなければ、耐えられない。
　毎日ぶくぶくと泡を吐き出しながら、あいつの服の白が見えるのを待っている。
　あいつの嬉しそうな笑顔が見えるのを待っている。
　しかたない、付き合ってやろうと思うのを、待っている。

＊

　秘密組織の医者になってから、誰も彼もが改造対象になった。
　駄目なボスの命すら私の手のひらの上。けれど殺すことは許されない。

＊

　家族が反抗期ついでに組織を飛び出した。
　そのままでいたらもう一人のトップにしてやったのに、馬鹿なやつ。わらわのお気に入り、マッドサイエンティストに諭されたことだし今なら帰ってくれば素直に許してやろう。しかたないな。
　ああ、けれどそのマッドサイエンティストはわらわとあいつの仲違いを最後まで面倒見る気はないとのこと。ああ、いらいらする。爪を気付いたら噛んでいる。あのマッドサイエンティストに苛苛した時の為の消化する術…サンドバッグか、相談相手を今度マッドサイエンティストに用意してもらうか。

＊

　ヒーローは誰にも依存しなかった。
　だから、誰かに縋ったりも恨んだりもしなかった。
　その代わり一切の頓着がなく、誰かのぼそりという声が聞こえればそれに従った。強い者にも従った。
　死にたくない。それだけがヒーローの全てだった。
　それ以外は全て、ヒーローが殺されない為の努力に過ぎなかった。
　どんなにつらいことがあっても、誰も信じなければ、何も望まなければ、それほど楽なことはないのに、何故彼らはくだらないことに拘るのだろう。

　ボスと呼ばれた人の死体を踏みつけ、医者と呼ばれた人の首を引きずりながら、最後に残った改造人間にそう問いかけたが、答えはただの絶叫と暴力で。
　しかたがないから、殺した。

　どんなにつらいことがあっても。
　しかたがないんだと思えば楽になれるのだ。

友達いない→あいつがいればいい！あいついない→たえられない先生にひどく怒られた→あいつが励ましてくれたら次も頑張れる！あいつの塩対応→むり家族と仲たがい→あいつに諭されたら素直に許せる！あいつにいらる→消化するすべも相談相手もいない TURATAN!

最終更新日 2015.11.27 12:02:26

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