Laub🍃

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2013.04.06
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カテゴリ: .1次メモ
 世界の為になることをしたかった。

 私はいつも弱くて何もできなくて、それでもそんな私に優しい世界が好きだった。

 醜い世界はすぐに忘れた。綺麗な世界の為に、その世界に住むみんなのために頑張ることが私の夢だった。


 お兄ちゃんはそんな私に力を与えてくれた。
 不死身。

 これで、すぐに疲れる腕も、人に助けてもらわなければならないふがいなさも、私からはなくなると思ってた。
 これで、私はありがとうと言う側から、言われる側になると思っていた。


 現実は違った。

「なにそれ」



「こわい」

「ちかづかないで」

「いやだ」


何、それ?



私はずっと、世界の為に、みんなのために頑張ったのに。
 お兄ちゃんのしてくれた手術が痛くてもそれを想って耐えたのに。
 じゅわじゅわと治る時に痛くても辛い顔とか見せないようにしたのに。


 なんで?



 ……ああ、そうか。

 この世界は、私が望んだような理想のお伽噺の世界じゃなかったんだ。


 これが、「現実」。






 なら。


「私がこの世界を変えることも、この世界の為になることだよね」



そうだ。


私が、この世界を助けてあげよう。

醜いものを浄化してあげよう。



私のような頑張りが。私の頑張りが。

認められて、幸せに笑えるそんな未来を世界に与えてあげよう。








少女は微笑んだ。





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最終更新日  2015.07.12 21:00:35
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