さまるわたりコイツの部屋

さまるわたりコイツの部屋

最近の医療関連報道を知ってもらうために…

【はじめに】
ここからのページは「さまるわたりコイツの部屋」の中では異色ですが、 一小児科医の私から見た最近の医療関連の事件に対する意見 を書いています。
私は時々日記の中にもそういうことを書いています。
こんなブログの中にこういう記事を書いているのは、医療の現場とあまり近くない方に少しでも実態を知ってもらおうと思っているからです。


マスコミの報道は、センセーショナルな内容を、「こう言えばみんなこう受け取るだろうな」ということを想定してから作られているフシがあります。
一般の方が実態を知らずに、テレビで画面に出てくるテロップと、派手に演出されたアナウンサーやコメンテーターの意見だけを鵜呑みにすれば、それは現実とほど遠い理解になることも多いと思います。
これは何も医療関連のニュースに限りませんが、それだけ今の報道の姿勢は偏っていると思いながら、テレビニュースや新聞を見る必要があると思います。


実際の例ですが、以下の新聞記事を読んでみてください。

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◎◎病院で起きた帝王切開手術中の医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、○○被告の第2回公判が23日、福島地裁( 大沢広裁判長)であり、証人尋問が行われた。争点である「胎盤のはく離を中止すべきだったか」について、○○被告が急変時の応援を依頼していた産科医は「はく離を始めたら 完了しなければならない」とはく離継続の妥当性を指摘した。

××厚生病院(双葉町)の産婦人科医は、自身が帝王切開手術中に癒着胎盤であることを認識した際、はく離を継続し、胎盤をはがし終えた後も出血が止まらなかったため、子宮 を全摘出した経験を明らかにした上で、すぐに子宮全摘出に移行しなかった理由を「はく離が完了すれば子宮が収縮し、止血できると考えた」と述べた。
また、争点の一つの手術用はさみ(クーパー)の使用の妥当性について、はがす部分が見えない手によるはく離に比べ「歯を閉じた状態で、(はがす部分を)視野に入れながらや るのであれば、優れているかもしれない」と証言した。
一方、事故当日の手術に立ち会った◎◎病院の外科医は、子宮の全摘出に移行する際、自身と院長が計3回、◎◎病院の外科部長に応援を要請するか尋ねたが、○○被告はい ずれも「大丈夫」と断ったことを明らかにした。

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どうでしょう?
私には、この新聞記事には「読み手を誘導する意図」が見え隠れしている気がします。

はじめの3段落で述べられているのは、被告の産婦人科医にとって有利な証言であることは、専門知識のない方でも何となく分かっていただけるでしょうか?
ところが、最後の段落の一文は、何となく読むと大きな誤解を生む原因となります。
無意識のうちに、「ああ、この被告の産婦人科医は危険に対する認識が足りなかったんだな」って思ってしまいませんか?
ここが記事を書く側の、悪意とも言える誘導なのです。

この記事には、手術場に何科の医師が何人いたとか、看護師が何人いたとか全く書いてないですよね。
また、この手術を行うにあたり、外科部長の応援を受けないと危険を回避できなかった、なんてことは書いてないですよね。
この産婦人科の先生は、手術に対してその時点では十分と考えられる人員を配置していた上で、1人医者が増えても同じだと考えたのかもしれない。
それでも、現場についてや専門的な知識のない一般の方がこの記事を読むと、多くの方が産婦人科の先生に対して否定的な印象を無意識に感じてしまいます。

テレビでも同じ事です。
最近はバラエティー番組だけでなく、ニュースでも、誰かのコメントで制作者が強調したい部分は、太字になったり色が変わっていたりします。
何となく観ている視聴者には、これが無意識のうちに強い印象となって残るわけです。
そうやって制作者は視聴者を誘導していくことが可能ですし、制作段階で道筋ができているのではと疑いたくなります。


長い前置きになりましたが、最近の医療関連報道は、とにかく医師側を悪者に仕立て上げようという前提で進んでいる部分が多すぎるように思います。
警察・警官、学校・教師などもそうですが、一般の方から見てある種アンタッチャブルな世界の人間のネタでは、批判的な記事の方が「読者受け」「視聴者受け」するからでしょう。
しかし、そうやって世論を偏らせている結果、今の医療荒廃、医療崩壊の片棒を担いでいるという部分がマスコミにはあると思うのです。
そしてその結果、世論のみならず、最近警察や検察にも一方的な見解での医師叩きが飛び火している感があります。
次のページからは、そういう具体的な事例について書いてみたいと思います。(現在制作中です)


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