▽れいん



ハッピーレイン

雨の匂い恋の香り

ワーワー「・・・え?貴美ちゃん来れないの?」ワーワー
「なぁんで?」

携帯で話す翼。
会場はバスケットの大会会場。

『だってあたし熱38度もあるんだもん
ゲホ ゲホッ
悪いけど翼1人で頑張ってきて』

「無理だよ~~~っ」
「あ あたし帰ろうかな・・・」

たじたじする翼。

アホ!! 今日告るってあんたが決めたんでしょっ!!』
『告らなかったら 絶交 だからね!!』

Σガチャッ
ツ――――――。

「・・・・・・」
たかみちゃん・・・

携帯を見つめる翼。

「はふーーー」

立ち往生していると問題の相手が出てきた。
キャー

≪杉田くん!!≫

杉田くんお疲れ様ー
・・・と周りにいる女子達。


はじめて彼を見たのは半年前
友達に誘われて見に行った他行のバスケの試合
ただのファンから脱するために
告白しようと決心した
したんだけど――――


ドキドキ
ドキドキドキドキ
 ドキ ドキ 

≪や≫
≪やっぱりできないよ~~~っ!!≫

だーーーーーーーーっ
「?」という顔をする杉田。

□□□□□□□

ぽ つ ん


結局告れなかった・・・・・・


≪せめてこのプレゼントだけでもチームの人に頼んで渡してもらえばよかったかな≫

えーーーっもう帰るの?
ごめんっじゃーねっ

「あれ?」
「先帰ったなあいつら 待っとけっつったのに杉田の奴―――」

≪―――――あ≫
≪杉田くんのチームの人?!≫

ガタッと立ち上がる翼。
そしてそれに気づくその男の人。

「・・・・・・・・」
えーっと・・・。
「?」

「?」
くりっと向こうを向いて行ってしまおうとするその人。

≪あっ 待って!!≫
「あっ」
「あのっ」

「はい?」
「こっ これをっ・・・」

プレゼントを渡す翼。

「ああサンキュー」
「ちっ ちがうんですちがうんです」

「杉田くんに・・・」

ちっ
むっとする男の人。

「・・・なんだ杉田?」
「すみません・・・・・・」

困った顔で男の人は。
「でもそーゆーのは本人に―――・・・」

カタカタと震える翼。
そっと手を伸ばすその人。

「・・・名前は?」
「は?」
「野々原 翼ですけど・・・」
「オッケ翼ちゃんね 渡しとく」
じゃーねー

スマイルで手を振りながら去っていった。

≪何か軽そうな人だなぁ・・・≫
だいじょーぶかな…

≪でも告れなかったしなぁ・・・≫
≪貴美ちゃんになんて言おう・・・≫

そこに建物の影から杉田が見えた。

≪す 杉田くん!!≫
キャ―――!!
≪まだ帰ってなかったの?≫
≪うわ~~~どうしよ~!!≫

慌てふためく翼。

≪どうしよ・・・≫

女の子と肩を組んでいる杉田。
立ちすくむ翼。

とぼとぼと帰路を歩く翼。


彼女・・・いたんだ・・・
いやいないほうがおかしいよ
人気あんだもん
うん


プルルルル
突然かかってきた電話。
それに渋々でる翼。

「はい・・・」
『翼ぁ?』
ケホッ

「―――あっ貴美ちゃん!!」
うるるっとする翼。

『あんたちゃんと告った?』
「え?や・・・それが・・・」
『してないでしょ』
『どーせそんなこったろうと思ったからさぁ』
『あのプレゼントの中にラブレター入れといたから』
代筆して。

!!

『渡したんでしょーね?』


うそ



うそ


『ちょっと翼?聞いてるー?』

さ―っと青くなる翼。
そんな声聞こえやしない。


うそでしょ?


ゴロ ゴロ ゴロ
ポツ
ポツ
ポツポツ
ドシャ―――ッ

「・・・・・・」
≪なんなのもぉ~~~っ!≫

雨宿りできる場所へと走る翼。
バシャッ

バシャバシャ

――――――――――続(ぇw

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