りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年03月07日
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カテゴリ: オレとボク
今日の日記



「アイツとボク3」




「よう!明日は学校に来るのか?」
「ははは。まぁ、そのうちにな。」

「毎日何やってんだよ?」
「あ~、うん、バイトとか、友達に会ったりとか、…な。」

アイツは、のらりくらりと会話をかわしていく。

「それより、そっちはどうなんだよ?」

結局、ボクは学校での話をする。
そして、これは来ないんだろうな…と思いながら電話を切る。
ため息が出る。

大学は、…正直、新しい人間との関係に、ボクは少々疲れていた。
誰も、ボクがどんな人間なのか知らない。

でも、とりあえず、ボクが真面目なのはわかるらしくて、
そして、断れない人間なのがわかるらしくて、
ノートを貸して欲しいとか、
代返をやっといて欲しいとか、
そんな話だけは、してくる奴もいる。

ボクは自分のノートが上手くかけていないのが嫌で、
書き直しをして、
自分の家でコピーをして渡してやった。

受け取った奴は、礼だけ言って、コピー代も払わずに去って行った。
ボクって何なんだろう?
そんな自分が情けなく、悲しくもあった。

そんな中で、唯一、イグチくんだけは、信頼できる存在になった。
彼は、無口で、近寄り難いタイプだけど、
ボクはいっしょにいると、心が和んだ。
彼と友達になりたいと思い、側にいるようになった。

彼も同じように思っていてくれているらしく、
イグチくん、他数人で行動するようになっていった。
僕らはオタクと言う訳ではないけど、
地味で大人しい人間ばかりが集まっている感じだった。

でも、ボクは、この中では気ばかり使ってしまっていて、所在の無さを感じていた。

高校の頃が懐かしい。
あの頃は、何を言っても良くて、
何を話しても、自分の存在を許してくれる友達がいた。
つまらないことでも、笑って過ごせた。

そんな日々を過ごした友達は、
みんな違う大学か、違う学部、専門、就職と、バラバラになってしまった。

ボクのこんな気持ちを唯一わかってくれるのは、
赤木くんだけなんじゃないか?
そう、思っていた。

「赤木くん、来ないよな~」
ボクがポツリとつぶやく。
「何?…青山、アイツに電話、まだしてるのか?」
「うん。…毎日…ね。」

コレはイグチくんだったから、何となく打ち明けてしまっていたことだ。
彼は、考える間を置いて、
ゆっくり、口を開いた。
「う~ん。でも…さ、毎日とかって、逆に嫌がったりしないか?」

ボクは、まさにその通りだと思ったので、ちょっと笑ってしまった。
「はは…。そうかもなぁ。」

彼はまた何かを思うように、ゆっくり自分の意見を言った。
「そんなに、来させたいのか…?」

ボクはちょっと考えた。
アイツが来れば、今のボクの状況がどうなるって訳じゃないんだけど、
ボクは、アイツに助けてもらった恩がある。
それに、アイツは、ボクのことを知っている人間だ。

ボクこそ、学校に行きたくないんだよ!

「ボクが高校入学の時に…一人ですごく心細くてさ。
赤木くんが、…赤木くんだけが声をかけてくれたんだよ。」

「…ふーん。そっか…」
イグチくんは、それ以上、何も聞かなかった。

「だから、来るといいな~って、思っただけ!」
ボクは、重い空気を壊したくて、おどけて言った。

「…来ると、いいな。」
と、イグチくんが言った。
ボクを励ます感じで…。
ボクは、ちょっと、勇気をもらった感じになった。

その晩も、繰り返されるだろう会話を想定して、気分が重くなりつつも、
ボクは赤木くんに電話をした。
彼の拒絶が、ちょっと、空しくなりつつあった。

「こんばんは。青山ですけど…」
赤木くんいますか?と言う前におばさんが、
「はーい!ちょっと待っててね。」
と、電話を代わってくれた。

後ろの方で、「毎日がんばるな~」と、おじさんの声が聞こえた。

「よう。」
今日も聞き慣れた赤木くんの声がする。
ボクは、自分を奮い立たせた。

「よう!明日は学校に来る?」
「…行くよ。明日から。」

ボクは、アイツには悪いけど、耳を疑った。
ボクの願望や、希望が、声になって、空耳が聞こえたんじゃないか?
と思ってしまって。

「何?どうしたんだよ?」
アイツは不機嫌そうな声で聞いてきた。

「いや…、聞こえた!うん。うん!…来るんだな?わかった!待ってるからな!」
ボクの興奮具合には、
遠目から見ていた家族も驚いていた位だった。

電話を切ると、ボクは、驚きと興奮で、
しばらくの間、ぼ~っと立ちつくしていた。

「どうしたの?」
母親が聞いてきた。
「うん…。あのさ!赤木くんが学校くるってさ!」
ボクは嬉しくて、つい母親に報告した。
「そう。良かったわねぇ。」
母親は、穏やかに微笑んで、ボクと喜びを分かち合ってくれていた。



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最終更新日  2010年03月27日 15時35分00秒
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