りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年04月16日
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カテゴリ: オレとボク
今日の日記


「アイツとオレ19」



一瞬、サキと目が合った気がした。

視線をすぐに下に逸らして、深く息を吸い込み、
一気に曲紹介をして、トモヤに目線を移す。

ドラムのスティックがリズムを刻み、曲が始まる。

オレだけのライヴじゃないんだ。
落ち着け…。
深く吸った息を吐いて、大きく声を出す。

良かった。
オレは大丈夫だ!

歌いながら、会場を確認して行く。
やっぱりサキがいる。

なんで?

でも、オレは歌うことに集中した。

子供の頃に、母親が授業参観に来たのを、みつけた感覚に似てる。

照れ臭くて、でも、いいとこ見せたいような…。

シュウと絡む。声を重ねる。
上手くいった嬉しさが、お互いの目と表情でわかる。

オレは観客に声をかけ、山場でいっしょにフリを参加できるようにする。
みんなが立ち上がって、オレの合図で隣の人間と手を叩く。

この一体感がライヴは好きだ!

みんなの楽しむ笑顔。

このノリが好きで、オレはバンドを続けてるんだ。

今日は、声が伸びる。

すっげー、気持ちいい!


終わった後は、満足感でいっぱいになり、
シュウやみんなと、手を叩いたり、こづきあって喜んだ。

「オマエ、今日、すげぇ声出てたよ。やっぱ本番つえぇな!」

キーボードのウエちゃんが笑顔でオレの肩を叩く。

「ウエちゃんもすげーバッチリだった!
今日は、マジで、すげぇ満足だよ!またやろうな!」

オレは、チラッと、サキのいるテーブルを見る。
サキがこっちを見ていた気がしたけど、
次のバンドが始まる前で、
暗くてよくわからなかった。

とりあえず、片付け。

アオヤンたちのテーブルに行き、これからどうするのか聞きに言ったら、
適当に近くで飲んでから帰るらしい。

バイトのフリーターが声をかけに来てくれた。
こっちも、近くで飲んで行くらしい。
飲み屋の名前を言って去って行った。

オレは、ライヴの打ち上げに行く。
でも、気持ちは、サキのことばかり考えていた。

「ごめん、まだいるよな?
ちょっと、来てくれたやつらが近くで飲んでるから、顔だけ出してくるわ。」

フリーターの言っていた、店に走る。
「あ!来てくれたんだ?」
「お疲れ~!」

アネゴやフリーターがイイ気持ちに酔っ払っている。
「ゴメン、顔だけ出しに来た。オレすぐに戻らなきゃいけないんだけど。」
「いーよ!いーよ!一杯だけ飲んできな~!」

フリーターが、店員からコップをもらい、ピッチャーからビールをついでくれる。
それをグッと飲む。
サキは、奥の方に座っている。
声をかけられるような距離でもない。

みんなが、オレのことや、ライヴのことを褒めてくれて、こづいた。
すごい嬉しくて、
オレは、みんなに礼を言う。

「ごめん、んじゃ戻るわ。」

「あ!赤木さ、初日の出、みんなで見にいかねぇ?」
ヤスさんが声をかけてきた。

「あ、いいっすね!ぜひ!」

「じゃあ、このメンバーで行くからさ。また連絡するわ!」

オレは頷き、ビールを飲んで行こうとした。

「ねぇ!今赤木くん戻るなら、サキちゃん駅まで送ってってくんない?」
真っ赤な顔したアネゴが言った。

え?

「大丈夫よ、一人で大丈夫だから。」

「そうなの?でも、また迷うんじゃない?
ごめん、赤木くん、サキちゃん、寮の門限があるのよ。迷うとマズいから~」

オレはビールを飲み干した。

「いいですよ。」

サキが出てくるまで、店の外で待つ。

アイツ…寮だったんだ。
オレはサキのこと、何にも知らないんだな。と思った。

サキが出てきたので、オレは歩き出した。
サキがついてくる。

どうしよう。
何か聞いた方がいいんだろうか?

でも、オレの頭は、何を言えばいいか、全く浮かばなかった。
早く、何か言わないと、駅に着いてしまうのに…。

「待って、赤木くん、歩くの早い!」
サキがオレの腕を引っ張った。

「あ…、ごめん。」

「もう…、急いでるなら、ここで戻っていいよ。帰れるから。
避けてるみたいだし…」

「…違う。違うって。
それに避けてるのはオマエだろ?
ただ、ちょっと…、何言っていいか、わからなかったから。」

「…」

「何で来たんだよ。オレ…、誤解するだろ。」

「…」

「何で、何も言わないんだよ?」

「…だって、アンタが悪いんだもん。」

「は?何でオレが悪いんだよ?」

「もう!赤木くんがあんなことするから、悪いんじゃない!」

オレは、いきなりのサキの剣幕にたじろいだ。
何だよ、怒ってるのを文句言いに来たのかよ?

「ごめん、…悪かったよ。」

サキは目を逸らす。

「そうだよ。
…お陰で、私、頭の中、赤木くんのことでいっぱいになっちゃって。
赤木くんのことばっか、考えるようになっちゃって…。」

え?

オレは、サキをジッと見る。

「別れた。
もう、サイテーでしょ?
私なんて、すごいサイテー!」

サキはうつむいたままだった。
が、
いきなり、オレをまっすぐにニラミつけた。

「でも、ちゃんと言うよ?
赤木くんが好き。すごい好き!
どうしてくれんの?
もう、アレで気が済んだとか、言わないでよね!」

オレは呆然としていた。

頭の中が真っ白になったけど、
思いきりサキを抱き締めたことだけは覚えている。



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最終更新日  2010年03月27日 16時13分34秒
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