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the Fourth Avenue Cafё
EP3:Pieces,2
共和国ソー、議長室。静かなこの部屋でただミドナカの苛立ち動く指の音だけが響いていた。そして彼を囲むように右にリード、左にウォーミアム、そしてカイト、リードの横には映像のメサド、その横にサビージ、そして残りの2席に映像のフィルスティーヌとルサーズ。
ミドナカが一同に報告し終えると、その場は凍ったように誰も身動きもしなかった。それから数分経ったか経たないか、いや実際その場に居た者にしてみれば、数時間も経ってしまったかのように長い時間が過ぎ、ようやくミドナカの指の音が聞こえてきたのだ。
それから咳払いの音、鼻を啜る音が聞こえ、間もなく『失礼しました』とだけ伝え、映像が切れていった。そしてミドナカ議長とリード副議長、ウォーミアムとカイトとサビージだけが議長室に残った。
リードとミドナカは長い沈黙の間、目を合わせた。2人とも考えていることは同じことだった。ピサラルドが滅ぼされ、奴等帝国の者は着実に共和国を飲み込む準備を進めている。そしてソロを新たな地へ開拓した理由も明確である。つまり減った人材を人間以外で補おうとしているのだ。
リードがミドナカの代わりにその場のいる者に注意するよう、用心するよう言った。「お主等も重々承知しているだろうが、気をつけろ。今、この国にいない者は警戒態勢に既に入ったからな」「はい」ウォーミアム、カイト、サビージは合唱するように返事した――もちろん3人は合わせるつもりはなかったが、3人の中に生まれた決意は同じものだと思わせるものであったのは言うまでもない――。
十一、
共和国クルタウロン。女王のだだっ広い部屋を給仕のような型の機械が忙しなく歩いていた。どうもクロスの世話を1人でやっているのだ。赤ん坊1人では物足りないそのベッドで彼は泣きわめいていた。母ニーナの、父メサドの手を求めているように。赤ん坊が一大事のときに当の2人は何をしているのか。世間から見れば無責任は両親だとクロスは同情されるかもしれないほど彼は泣きわめいていた。しかもメサドがその部屋にいるのだから、尚更だ。
彼はソファに寄りかかり、何か考え込んでいた。人差し指を軽く噛み、頭を垂れた。しばらく彼はそうして身を任せていた。するとしばらくして給仕型ロボットは仕事を終え、クロスは泣きやんだ。それでもメサドは動かなかった。
しかし、そのメサドが通信の音で我に返ったように顔を上げ、通信機のあるところまで走った。そしてクルタウロンの軍事長からの通信と分かり、応対せず、また来た道を戻った。しかし、ついには足も止まり、その場で立ちつくしてしまった。どうしたものか。彼は何を考え、何を悩んでいるのか。少なくとも彼は会議に出掛けたニーナのことを考えているのは確かだったが。
彼は開けた窓の方へ歩いていき、ベランダへ出た。涼しい乾いた風が彼の髪を吹き抜けた。彼はベランダの縁に手を置き、身を乗り出し、遠い空を眺めた。肉眼では見えないほど遠くの空を透視でもするかのように目を細めたり、大きく見開いたり。しかし彼が実際に見据えていたのは、昨夜の悪夢だった。彼女の悲痛に歪む顔が巨大な黒い嵐が過ぎ去るように彼の前を通り過ぎ、取り残された彼は嵐の過ぎ去った荒野を独り佇み、果てしなき地を言葉に出来ない何かを吠えるように叫び、無我夢中で走り続けるのだった。何処までも続く、力が尽きるまで続くその荒野をいつまで走るのか、その結果が見えない走行は思わぬ所で止まった。しかし彼は予測できなかったわけでもなかった。心の奥、何処か片隅で気づいている自分も居た。彼は急に現れた暗黒の穴へ――落とし穴へ――引きずり込まれていった。
彼がベランダの縁を力の限り握り、それでも気が紛れず、硬い拳を縁にぶちまけた。彼の顔には今までの笑顔が偽りだと思わせるほどの憤怒のものであった。
その中で唯一の幸福というのだろうか、悪夢の中にクロスが出てこなかった。
クロス。クロスは――
コーヒー粉がグラスの水に溶け込むようにして、メサドの頭の中が一瞬にしてクロスでいっぱいになった。そのときメサドの手に先程のロボットの手が触れた。彼は瞬時に手を引いたが、それがエンジェルのものだと知り、顔が和んだ。「エンジェルか」メサドはエンジェルの平たい頭を優しく撫でた。その手の優しさと先程の握り締めた拳との違いには正直驚いていたのはメサド本人だった。尤もそれを知っているのがメサドだけだというのも彼自身分かっているのだが。
すると空気をつんざくようにクロスの泣き叫ぶ声が再び響いた。「あ~ぁ」メサドは彼を慰めに部屋へ戻った。
十二、
彼は暗黒の煙に包まれた渦の中を必死に光を求めて、泳いでいた。五里霧中な状態にメサドは気が狂いそうなほど叫んでいた。前にも見たことのある風景だ。彼は周りを取り巻く煤のような漆黒の粉に涙で濡れた頬は真っ黒に染まっていた。
そして彼は狂乱のさなか、嵐の天辺に光の穴を見た。彼は我を忘れ、無我夢中に両腕を仰いで天辺を目指して泳いだ。しかし彼を取り巻く暗黒は簡単にそうさせてくれない。
メサドは光の中央にニーナを見、瞳に光を宿した。「ニーナ、ニーナ!」
そのとき、メサドの足に暗黒の煙が巻き付き、彼の進行を妨げた。彼は引き込まれそうになりながらも、上へ行こうと必死だった。それでも暗黒は一向に離れないので、彼は初めて足下を見た。そして彼は顔を引きつらせ、悲鳴を上げた。そこにいたのは皮が剥がれ、目をむき出しにし――今にも飛び出しそうに――、肉がタダレたリードが吠えていたのだ。「メサドぉっぇ」
メサドは悲鳴とも分からぬ声で発狂し、足を蹴り上げ、すでにリードではなくなっていたそいつを引きはがした。そいつは渦巻く煙に飲み込まれ、風に吹かれてどことなく消えていった。
メサドはすぐに天辺を見上げ、光の穴が小さくなっているのを見た。「ニーナ!」彼は再び泳ぎ初めた。
しかし、それをまた妨げる物が再び彼の周りに現れた。煙の中に時々姿を現す物は悲痛に引きつった顔だった。見たことのある顔で溢れていた。ピサラルド――
メサドはアリアヌ・キイドの顔を見た。そしてメサドの頭の中に周りの顔をしている人々が殺される情景が無理矢理入ってきた。頭が裂けるほどの情報量に彼は頭を抱え、悲鳴を上げた。
彼は自分が何処を向いているのか、上は何処か下は何処か、右は何処か左は何処か、前は何処か後ろは何処か、わからなくなりながらも必死に腕を振り回し、周りに渦巻く幻影を振り払おうとしたが、彼の力では何も変わらなかった。
彼が完全に狂うその直前だった。彼の目の前に細く真っ白で綺麗な手が差しのべられた。狂乱の中、彼はその手の主がニーナであることに気づき、すぐその手を取った。そして自分の所へ引っ張り、抱きしめようとしたが、彼女の身体は彼を通り抜け――幽霊のようだった――、そのまま笑顔を見せ、暗黒の嵐へ巻き込まれていった。
「ニーナぁー!!!!!!!」
彼は暗黒の嵐から飛び出され、何もない宙に浮いた身体を浮遊させながら、嵐が過ぎ去るのを見た。嵐から抜け出す瞬間、ニーナの苦しむ顔が先程のように頭の中に割り込んできた。
そしてメサドは何もない荒野に降り立った。
今までの荒れ狂った景色から一変した荒野――何もない殺風景――となった。身体を振り回され、三半規管が麻痺していたため、地に足がついたそのとき、激しい、これまでに経験したことのない様な目眩に襲われ、吐き気を催した。それでも今は倒れてはならないと、先程見たものが信じられないといった感じで足を踏ん張り、膝に手を置いた。頭の中が爆発し、眼球が炸裂したような、風景がパチパチと瞬いているように感じ、彼は耐えられず、戻した。何を食べたのか、食べた記憶などないのに、それは止まらず、崖から垂れた滝のように胃から逆流し、食道を通って口から流れ出た。彼は今の自分が信じられなくなり、今の状況が見てられず、目を瞑り、髪を千切れんばかりに引っ張り、掻き、それでも耐えられず、ふらつく足で未来のない荒野を走った。先に光が見えるわけでもなく。
不思議と身体は疲れなかった。足も自分の足とは思えないほどパンパンに膨れているというのに、一向に動きを止めない。まるで本当に自分の足ではなくなっているように。彼は機械の足をただ前後に動かし、果てしない荒野を走っていた。体中の水分も完全になくなったというのに汗は止め処なく流れている。汗ばんだ背中に張り付いた服が気味悪い。しかし彼の頭にはそんなことなど性欲処理後の仕事のようにどうでも良かった。彼の頭には先程の嵐の中で無理矢理見せられた地獄が広がっていた。彼の頭の中を今現実に現すことができるのなら、それは文字通り地獄絵図だった。ニーナの笑顔が消え、悲痛に歪む顔へと変貌するまでを目を背けられず、ありのまま見せつけられた彼の感情は完全に狂っていた。自らの師匠リードを人間ではない身体にし、それを救うことも出来ず、地獄へ突き落とした。彼は自分が何をしているのか瞬時に分かった、が彼にはああするしか自分が救われる手段がなかったのだ。
彼はいつしか叫んでいた。何処へ向かって走っているのかわからないでいるのに、何故か身体は知っていた。
嵐の中、一瞬だった。両親、育て親を見た。ジョージ、サティー、そしてガンダス。彼らはメサドが目を向ける瞬間に闇によって奥へと追いやられていった。つまりメサドは彼らを目の端で捉えるしかできなかったのだ。
彼の精神は崩壊した。笑えるモノだった。そこまで崩壊すると逆に笑えるものなのだろう。彼は唇を引きつらせた。
その瞬間、地が抜け、大きな穴となった。彼は宙を舞い、下に突如現れた穴を見た。彼は地獄を見たのだ。抜けた彼の足下から真っ黒な人影がうごめき、彼に手を伸ばしているのだった。我に返ったメサドは必死にそこから這い上がろうとしたが、もがけばもがくほど沈む暗い海のように彼の身体は地獄へ導かれていった。どうすることも出来ないメサドはついに足首を掴まれた。人影が笑い始めた。そしてその笑いが伝染していき、斉唱するように笑い声が木霊していく。次に彼のもう片方の足をもう1人の人影が掴み、闇へ引きずり込んでいく。その間も彼はずっと休むことなく這い上がろうとしているのだ。しかしその努力も虚しく、彼はついに人影にのし掛かられ、そのまま埋もれていった。彼の悲鳴が闇の中で木霊し、穴は消え、荒野だけが残った。
十三、
彼は勢いよく起きあがった。
体中から汗がにじみ出ていた。彼の下に敷いていたシーツも水を掛けたように見えるほど汗で濡れていた。メサドは汗で張り付いた前髪を後ろへ流し、横で何事もなく寝ているニーナと乳母車ですやすや寝ているクロスを見て、一安心した。しかし気持ちは落ち着かなかった。いつまでも興奮状態で心臓は今にも飛び出しそうなほど鼓動している。
時計を見るとまだ4時過ぎだった。夏の始めだったため、もう真っ暗な空に日がのぼり始めていた。それでも見ようと彼はベッドから降り、広い部屋を縦断し、ベランダに出た。カーテンが蒸し暑い風に吹かれ、なびいている。まずは大きく深呼吸。そして昇り始めた朝日を見据えた。しかし一向に気持ちは晴れなかった。悪夢は頭から全く離れなかった。
それどころか起きているのに勝手に頭の中で夢の続きが展開されていた。荒野に1人立っているのだ。誰とも分からぬ男が。そしてメサドはその男がクロスと気づくには十数年かかる。
メサドは後ろに人の気配を感じた。振り向かずともそれがニーナと彼には分かった。この全宇宙で彼女を最も愛しているのは自分だとわかっているからだった。
「大丈夫?」ニーナは彼の手を優しく包み、同じように朝日を眺めた。彼はその手を握り返した。「変な夢でも見たの?」彼女が彼の様子がおかしいことに気づき――多分合っているだろうと思って――尋ねた。「あぁ」
彼は言葉数少なく答えた。それ以上は彼女に何も言いたくなかった。彼女に余計な心配はかけたくなかった。
「悪夢?貴方やクロスに何か起こるの」「いや。クロスは大丈夫だった」彼は答えた直後、唇を噛み締め耐えたが、ついに堪えきれず彼女を抱きしめた。「ニーナは僕が守る」小刻みに震える彼の身体をニーナは優しく両腕で包み込んだ。彼女はこれ以上問わなかったし、彼もこれ以上言うつもりはなかった。
「夢は夢よ。現実じゃない」彼女はメサドを放し、目を見つめて言った。「そうだ」メサドも目を見つめ返して言った。
2人は寄り合い、一緒に朝日を見た。
そして見てはならない物を見た。いや、帝国軍にとって見られてはならない物で、共和国軍にとっては見てよかった――が、結論を言うと結局見ても見なくても変わらなかったのだが――。朝日に機体を反射させている帝国大型船が共和国クルタウロンの空を飛んでいたのだ。
「あの船――帝国船だ!」メサドはすぐさま上着を羽織り、本国ソーに通信した。
十四、
2日前、帝国ソロ。1機の帝国大型船が降りた。そこに乗っていたのはスターキーだった。収容所で荒れ狂っていたスターキーだった。無精髭も限度を超え、血まみれだった手は包帯を巻いている。長い黒髪も先端は縮れてきている。
どうやらサルファードは収容所へ行き、「1ヶ月後、お前が必要となるため釈放してやる」という言葉を実現させたのだろう。
茂った熱帯林で巨大で狂暴な生物が競争し合っていた。壊れたソロ国立研究室も凶暴になり、光を求めて伸びることを忘れた植物によって侵食されていた。
スターキーの乗った巨大船は生い茂るその木々を薙ぎ倒し、へし折り、無理矢理割り込むように降り立ち、設置された大きな倉庫の扉を開いた。そこには人が鼻を抑えてもへし折れるほどの悪臭を放つ肉が準備されていた。そしてもちろんその肉は狂暴な生物を誘き出すためのものだった。
1分も経たない内に性格が狂暴と推測されている口の長い生物が爪の音を鳴らしながら、倉庫内に入ってきた。そして悪臭のする腐肉に食らいつき、首を振りながら、貪りついた。そいつの仲間が後から入ってきて、肉を横取り、口回りを血まみれにしながら食べた。それからしばらくしてその音と臭いに気づいた大型生物が吠えながら倉庫に飛び込んできた。先程まで貪っていた生物は瞬時に倉庫から逃げ出そうと散ったが、2匹が大型生物の長い腕に掴まれ、口の中に放り込まれた。ボリボリと骨が砕かれ、青い血をまき散らして肉が引き裂かれていった。すると大型生物の仲間が先程逃げることに成功した生物を両手に握って現れた。そして同じように口の中にそれらを放り込んでおいしそうに食べた。残りカスを狙って新たな生物が現れ、倉庫の中が得体の知れない生物で満たされていく。
同じ事が他の帝国大型船で行われ、他でも同じ事が起きていた。
結局倉庫内に入った生物は倉庫に閉じこめられ、13機の大型船によってクルタウロンまで運ばれていった。
十五、
共和国クルタウロン。メサドは泣きじゃくるクロスを抱き、ニーナの手を引いて寝室を飛び出し、地下隔離室に移動した。彼はそこに彼女と息子を入れ、厳重に扉を閉めるところだった。
彼が扉を閉めようとしたとき、ニーナが彼の手を取り、それを止めた。「ニーナ?」メサドは彼女の手を握り返し、目を見つめて言った。「大丈夫、怖くないから。泣かないで」彼はニーナを抱きしめ、彼女は唇を噛み締め、涙を堪えながらメサドの胸に顔を埋めた。
「返ってくる?」こもった声で尋ねた。メサドは悪夢が頭を過ぎったため遠くを見るように放心していたが、我に返り微笑んだ。しかしその笑顔が自身に満ちたものではなく、運命を認めた諦めのものだと彼女は気づくことはないだろう。
彼は彼女と再び見つめ合い、真剣な眼差し彼女を見た。「わからない。こればかりは僕もこの星もどうなるか、どちらに転ぶか考えられない」「お願い、返ってきて!」
彼は背を曲げ、彼女と目線を同じにしてなだめるように言った。「いいかい、1日経ってもあのコンピュータに僕からの交信がなかったら、ソー本国に連絡してここへ来て貰ってくれ。それから鍵を外して――自分でできるね?――外へ出て共和国船に乗るんだ」彼女は止まらない涙を拭おうともせず、首を横に振り続けた。後ろではクロスが彼女の気持ちを分かってか、いつまでも泣き続けていた。「嫌!嫌!嫌!返ってきて」
「君はここの王女であり、僕の妻なんだ!お願いだ。自分勝手な行動だけは慎んでくれ」君にもしものことがあったら――。彼の頭には再び悪夢が甦った。彼は腰から小刀――ジョージからリードへ、そしてリードからメサドへ渡った宝剣――を取り出し、ニーナへ手渡した。これでメサドからニーナへ渡ったことになり、小刀の意味が明らかになり始めていた。
それを見てか、彼女にメサドの意志が伝わった。「じゃ」彼女は泣くのを我慢し、顎に皺をつくって小刀を胸に握り締めながら、言った。「女王命令です。必ず返ってきなさい」メサドは笑って敬礼した。「それじゃ行ってきます」メサドは彼女を突き放し扉を閉めた。扉は自動ロックがかかり、開かなくなった。メサドを呼ぶニーナの声が扉が閉まると同時に途中で途切れた。
彼は扉が閉まるのを静かに見守り、憤怒の顔で振り向いた。そしてメサドは無言でスロープを上がり、戦場へ身を投じた。
今やクルタウロンは13機の帝国大型船とそこから駆り出された狂暴な変格生物によって炎の立ち込める荒らされた戦場となっていたのだ。
十六、
共和国ソー。ミドナカの元にリードとフィルスティーヌ、ルサーズ、カイトが駆けつけた。早急なことでミドナカもいつもと違って椅子に座っていなかった。
「どうしたのですか」とカイト。
「皆、落ち着いて聞いてくれ。八方議員の中で今、出動できるのはお前達だけだと聞いた」集まった4人が顔を合わせた。「それで何を」リードが胸騒ぎしながらも平静を装い、ミドナカに聞いた。もちろん皆も悪い予感がすると胸騒ぎしてならないのだが。ミドナカが間髪入れずに事実を的確に短く伝えた。「本日明朝にクルタウロンに帝国船が13機降りた。それでお前達に他の何人か通常議員を連れてクルタウロンへ行って欲しい」「了解」
故意に声をそろえたわけではないのは分かっているのだが、それでも全くずれることなく皆は了解したのは、やはり意思の表れなのだろうか。
間もなく4人は通常議員とソー国軍を連れ、クルタウロンへゴールデンシップに乗り、飛び立った。
十七、
共和国クルタウロン。
象のように鼻が長く、サーベルタイガーのように牙が大きな、獅子のようにたてがみの生えそろった50メートルの高さがある巨大な生物が議会棟に突進した。棟は虚しくも下から崩れていき、生物を覆い被さるように土埃を上げ、中で爆発が起き炎上していった。人間くらいの大きさの血の気の多い野獣が人の暮らす街へ群れで襲いかかっていた。
逃げる人々の首を噛みちぎった後、血で染まった口をはらわたに潜り込ませ、ゼリーを吸うように中から食らいつくす。そして新たな獲物を見つけると、またそれを襲いに跳びかかっていく。ショッピングモール(従業員、客は既に逃げ出たか、食べられたか)へ突入したモノは置かれてある食べ物を根こそぎ食べ尽くし、千切れた布を巻き付けながら、また外へ出てきた。しかしそこにはもう人が住んでいたと思えるものは完全に消滅していた。はらわたと首が無くなった人間(もう形は成していない)も鼠ほどの小動物が残り肉を食べ、骨までしゃぶられていた。
ニーナの居なくなった寝室からエンジェルが足を器用に動かし出てきた。彼女を探しに出てきたのだろうか。柔らかい人間味のある機械音で彼女の名前を呼び続けながら、階下へ降りていった。「ニーナ女王、ニーナ女王」
壊れた街へ出ると、そこは埃が舞い、炎が広がる荒野となっていた。それに今は空を縦横無尽に戦闘機が飛び交い、嵐のように風が吹き荒れていた。エンジェルは風を受けても転倒しないように3本足を踏ん張り、風が直撃するたび、その場で止まって堪えている。そしてまた歩き出す。端から見ればどうもへんてこりんな滑稽な状況だった。
エンジェルは彼女の臭いを感知していた。彼女は人と違って漂う悪臭に影響されることがないため、難なく彼女の居る場所を探し当てることが出来るだろう。と思っていたが、風が吹く所為で臭いの元を割り出すことが出来ないで居た。その為、彼女がいるところから大分離れて下町にまで来てしまっていた。「ニーナ女王、ニーナ」
そして丁度今、人間くらいの大きさの血の気が多い小型動物が食事中の場所に来てしまった。が、奴等も臭いに反応する性質らしい、エンジェルの無臭には全く気づかないで居る。その間エンジェルはなるべく足音を立てず、その場をやり過ごそうと静かに歩いていた。彼女を呼ぶのもやめ、首を振り回して彼女の臭いを探している。しかしそこにはもう全く彼女の臭いがしなくなっているのにエンジェルは気付かない。そしてエンジェルの真横をその動物が歩いていった。身体が少し触れ、気付かれたと機械ながら直感しエンジェルは動きを止めた。小型動物は牙をむき出しにエンジェルの目を睨んだ。エンジェルは表情を現す性能は備わっていないはずなのに、今の彼女を見ると汗を拭きだし、焦りながらも平静を保とうと必死にしているのが読みとれた。その小型動物は仲間が先に歩いていっているのを気にせず、ずっと彼女の目を見つめていた。というより睨んでいる。そして図太い声で吠えた。それに驚いたエンジェルは目を真っ赤に光らせ、クルクルと頭を回して隙間から燃料水を噴き出し、3本足で高く跳び、目をやられて燃料水でずぶ濡れの動物に火を噴いた。その小型動物は悲鳴を上げ、暴れ回って必死に火を消そうとしたが、そのときにはもう毛皮は灰となって火傷で死んでいた。一発かましたエンジェルはその場に落ち、ひっくり返って立てなくなった。
悲鳴を聞いた仲間の狂暴な小型動物が彼女を囲むように集まった。ただすぐに襲わずに注意深く観察し、危険がないか脳のない頭で考えていた。目を交わし合い、安全だと判断し奴等は一斉にエンジェルに跳びかかった。
しかしそれよりも早くメサドが間に飛び込み、光の刃で跳んできた野獣を一瞬で斬り殺した。彼は手首を柔軟に回し、隙を与えず華麗に舞いながら小型動物を切断したのだ。そして最後にしゃがんで構えた。がしかし、もう野獣はその場から走って逃げていた。彼はスクッと立ち上がり光の刃を納めた。
「大丈夫か、エンジェル」彼はエンジェルを簡単に起こし、埃を払ってやった。彼女は丁寧に謝礼し、また歩き出した。メサドはその後ろ姿を見つめていたが、あることを思いつき、彼女を止めて振り向かせた。「エンジェル、ニーナの居る場所を教える。そこへ行き、彼女を守ってくれ」エンジェルは直ぐさま彼の言ったことを解析し、了解した。メサドはエンジェルの腹に設置された地図パネルを開き、彼女の居る場所を打ちこみ、暗証番号を入力した。
「ありがとうございます。ニーナ女王をお守りします」エンジェルは彼女の居る場所に向き直り、その場へ早足で歩いていった。
取り残されたメサドは戦闘機が飛び交う空を見上げた。また1機共和国機が撃ち落とされた。メサドは歯を食いしばり、またある物を見つけた。それは新たな帝国大型船だった。それが地上に降り立ち、狂暴な生物を放出した。これで5機から生物が放出されたことになる。メサドはその場へ走っていった。
そして遂に――<救世主>と呼べるのだろうか――ゴールデンシップがクルタウロンに到着し空から新たな空軍戦闘機を発車させ、着陸した後に戦闘議員を発進させた。リードとカイト、フィルスティーヌとルサーズが飛び出し、各地に分かれた。
フィルスティーヌとルサーズは東へ走った。議会棟のある丘から下った場所だった。彼ら2人は突撃してくる針鼠のような中型動物にライトセイバーをもって立ち向かっていった。フィルスティーヌはその3階建物くらいの高さの中型動物の頭を踏み台に跳びこえ、背中から刺そうと試みたが、その針鼠は得意の背の針を奮い立たせ、発射したため、ライトセイバーを振り、防御に入った。針(よりは棘)を全て振り払い、丸腰になった鼠を刺した。ルサーズの方は屈んで皮の柔らかい腹に入り、弱いところを的確に攻撃し、1発で薙ぎ倒した。たかが1匹でここまで手こずるなんて、やはり腕が鈍くなったか。フィルスティーヌは遊んできた自分に反省した。2匹を倒し、群れが一気に突進してくるのが見えた。「フィル!かましてやれ!」ルサーズが叫んだ。フィルスティーヌは懐から小型爆弾を取り出し、それに軽くキスしてから群れに向けて豪速球で投げた。小型爆弾は一直線で飛んでいき、針鼠の口に入り、噛み割られた直後に大煙幕を上げ、爆発した。その時には2人は被害に遭わないように丘を登っていった。
リードは倒れた議会棟へ入っていき、メサドとニーナ、そしてクロスが何処に隠れているのか探した。しかしそこにはもう3人は(当たり前だが)居なかった。彼はいざというときの隠れ場所を聞いていなかったため、3人を探すのをやめ、外へ出た。外は変わらず荒れていた。いや先程よりも共和国に不利な状況に変わっている。
大通りを暴走動物を引き連れて走っているカイトがいた。ガラスが粉々に割られ、柱もへし折られた店の建ち並ぶ商店街のような道を、散った破片を踏みしめ、彼は息を切らして走っている。肉を求めて追いかける後ろに走る暴走した動物は彼のすぐ後ろにまで迫ってきた。タイミングを計らいながら、彼はライトセイバーを取り出し、電源を入れることで刃を伸ばし、そして高く跳び、前へ宙返りして上下逆さの体勢で先頭の首を刈った。マントをひるがえし、見事に着地し、先頭の仲間を踏み潰してまだ追ってくる暴走動物を彼はライトセイバーを両手持ちに切り替え、綺麗に弧を描くように回して次々と薙ぎ倒していく。彼が一歩もその場から動かず、彼らが勝手に斬られる為に走ってくる光景が続いた。脳のないそいつ等は止まることも知らず、全てカイトによって分裂されていった。そして彼の背に山積みの死体が出来た。
「醜いな」彼は死体の山に手榴弾を投げはなった。
大爆発が起こる頃には彼は大通りを離れて丘を下っていた。
灰色の空を背に彼はまた走っていた。広いこの都市が既に壊滅状態に陥っていた。彼ら狂暴化した動物の暴走は止まることを知らない。ただ彼は高層建造物に戯れていたであろう殺された動物の群を見た。ここへ来た軍によって排除されたのか。外的損傷がないことから、これは空軍が撒いた沼気によるものか。カイトは店の並ぶ道にまた入るところで横目にそれを見て考察した。今、彼が走っている道は随分と大きなウジ虫が通った後のような彫られた丸い型を残してあった。「有り得ないな。こんな巨大なウジ虫が存在するわけない。これは巨大化した蛇か、それとも肥大化した牛の通った跡か」
カイトが苦笑した、その時後ろから誰かが追っているのに気付いた。彼はブーツを踏ん張り、土埃を立てながら止まった。すると後ろの陰も止まった。そして砂利を踏み潰したときのようなジョリといった音が響いた。カイトは慎重になった。ここにいるということは軍の者、それに姿を現さないことからして帝国軍の者。
「姿を現せ!隠れても俺には勝てんぞ」彼はレーザー銃で陰のいる(と思われる)建物の残っていたガラスを粉砕した。それでも彼は出てこない。カイトは発砲し、陰の隠れている壁に黒い跡を残した。
それに観念したか、追っていた男が姿を現した。黒い長髪の髭の濃い不潔な男がヌッと姿を見せた。「ばれたてましたか」彼は似合わない敬語を使った。長髪の黒髪野郎はまた不慣れなお辞儀をし、微笑みかけた。不気味な笑みを浮かべたこの男をカイトは目を細めながら、記憶を辿った。5年、いや7年か前にピサラルドを襲い、リードに返り討ちにされたスターキーとかいう痴れ者だったはず。
「見たことのある顔だ。名は何と言ったかな、腐れチンコか」カイトは嘲笑うように彼にウインクし、ライトセイバーを構えた。当のスターキーは彼の挑発には乗らず、顔を片手の平で隠して笑っていた。そして蛇が蛙を食べる前に弄ぶかように彼は指の隙間から舐め回すように見つめた。「――なら、君は僕にへばり付くチンカスかね」
その言葉を合図にか、待機していた帝国軍がカイトの立つ道に建ち並ぶ灰色の店の中や隙間からゾロゾロと湧いて出てきた。カイトは落ち着いて、周りを取り囲む帝国軍の襲撃に備えた。ライトセイバーの握りを右手で、左手でレーザー銃を、そしてレーザー銃の白檀をライトセイバーの握りに付けた彼独得の構えだ。それを見たスターキーは高笑いし、勇敢な戦士に敬意を表した。
彼は拍手して雄叫びを上げた。「見事だ!そのまま逝け!さすれば英雄となれよう!」
カイトを取り巻く軍が渦を巻くように走って彼に接近していった。そして一斉発砲。真ん中の彼は独得な構えを生かして発砲されたレーザー弾を全て弾き返し、同時に足下を狙った弾は彼の素速い足の動きに泳がされるように、地面に埋もれ土埃を上げた。渦を巻くように走る完全装備の帝国軍(弾かれたレーザー弾が当たったとしてもダメージにはならない)が走って上げる土埃もあり、道は乾風が吹いた後のような土埃が全体に舞っていた。これでは外から見ているスターキーは中の様子が分からない。
土埃の中では、光る弾が飛び交い、所々見える隙間からライトセイバーが次々と帝国軍を斬り殺していくのが見えた。
圧倒的に不利な状況下にあったカイトは道全体に焦点を合わせて見ているような、帝国軍のそれぞれの位置と間隔を全て把握した余裕ぶりで、彼らを次々と薙ぎ倒していった。彼の光の刃が帝国軍の首を刈ったと同時に後ろからもう1人の帝国軍が襲いかかってきており、が、しかしそれもカイトに全て把握されているため、簡単に腰の回転をいかして斬られた。そして彼の肩に隠れて潜んでいた男をレーザー銃で射抜き、またライトセイバーを駆使して、3人で囲んで跳んできた軍を瞬間で斬殺した。
外からスターキーの憤怒の叫び声が聞こえた。そして新たに帝国軍が派遣されていった。中の様子が見えないのも彼が怒る原因の一つだろう。
切りがないと判断したカイトは攻撃を受け止めている無理な体勢から足の素速い動き、腰の回転を使って高く跳び上がり、土埃の渦から抜けだし、スターキーへ跳びかかった。彼は既に準備万端でうずうずしていたらしく、ライトセイバーを抜き、カイトのライトセイバーと交差させた。「鈍いぞ。そろそろ本気にならんと俺にへし折られることになるぞ」「さあね」カイトの息は大分上がっていた。
2人の剣は交差して火花を散らしていたが、スターキーが彼を押し飛ばし、カイトは店の天井から道に落とされたが、何とか着地した。今度はスターキーが彼に跳びかかってきた。
ところが簡単にカイトに避けられ、スターキーは地面に手を付くことになった。カイトは砂埃がまだ舞っている中、スターキーの位置を確認し、そこへライトセイバーを突き刺した。だが、それも失敗し、スターキーのマントに絡み取られ――但し、彼のマントは光の刃に焼き焦がされたが――、腹に蹴りを入れられた。砂埃を上げ、転げたカイトはすぐに立ち上がり、この期を逃すまいと周りから一斉に襲いかかってきた帝国軍をレーザー銃で撃ち殺し、体勢を立て直し、新たな奇襲に備えた。そして構えた方向からライトセイバーを突き立てたスターキーが走って煙の中から現れた。カイトは先程ライトセイバーを絡まれ落とし、今は持っていないため、レーザー銃で対抗し、スターキーへ走っていった。カイトは茶色のマントで身を隠すように羽織り、間から銃口を突き出し、連射した。もともとカイトの狙いは銃で彼を殺すことではなく、その先に転がるライトセイバーの握りを拾うこと。それもそのことをスターキーに気付かれる前に。
そして彼の連射したレーザー弾はスターキーに見事に弾かれ、方々へ散った。次に彼は銃をスターキーへ投げ、注意をそれに向けさせた。スターキーは銃を切り裂き、その隙にカイトは2人の間を舞う硝煙と砂埃とで、スターキーの目をくらませ、マントを放り投げ、それを身代わりにカイトはスターキーを横切った。スターキーは見事にマントに騙され、レーザー銃を撃ち続けた。しかし、カイトの顔が横切った瞬間、騙されたと直感した。
が、遅かった。カイトは滑り込み、ライトセイバーを手にし、すぐに構えた。スターキーはその場で立ち止まり、カイトに笑って見せた。そろそろ砂埃の嵐が収まってきていた。彼の笑みは、屈辱感の中に現れる皮肉なものよりは完全な敗北を認めたすっきりしたものに似ていた。カイトは彼に再びウインクしてみせた。
2人の息が妙に合い、走り出すタイミングが全く同じだった。
2人のセイバーが交差し、互いの色の火花が散り、漂う砂埃に引火した小さな火の玉が浮かぶような滑稽な状況となった。もちろん2人の闘いは滑稽なものではなく、死闘となっているのだが。
何度も刃が交差し、カイトがスターキーのライトセイバーを振り払おうとしたとき、彼の身体に鉄糸が力強く巻き付いた。腕と胴体が密着するように巻き付いた鉄糸が食い込むほど彼を締めつけ、ぐいと彼は後方へ引っ張られた。彼は何とか足で着地したものの、千鳥足で振り回され今にも転げそうになっていた。そのとき、スターキーが走ってきた。「ちっ、こんな時に」カイトは苛立ち、舌打ちをして、彼の攻撃に備えたが、また引っ張られ、足が絡まりずっこけた。スターキーは故意にライトセイバーを使わず、彼の鳩尾(みぞおち)に蹴りをくれてやった。カイトは吐き気を催すほど、激しい目眩と内臓の逆流する気持ち悪さで呻き声を上げて滑っていったが、すぐに立ち上がり、体勢を整えた。がまたスターキーに殴られ、頭の中が宇宙で星が爆発するような光が瞬くような衝撃を受け、腰を抜かして倒れた。頭を振ってすぐに焦点を合わせようとしたが、スターキーは間髪入れず、またカイトを蹴り上げられ、再び頭の中で星が爆発した。スターキーは全く彼に隙を与えず、攻撃し続けた。
「どうだ!ははっ!抵抗も出来ず、ただただ蹴られ殴られ続ける気分は!気持ちいいものだろう。新たな趣味を見つけられて良かったではないか!え!」スターキーは息を荒げるほど、カイトを殴る蹴るの暴力を行使し、彼を冒涜し続けた。「たかがリード爺に選ばれただけで、舞い上がりやがって!自分が選ばれた戦士だとでも思ったか!お前は両親を殺され、怒りにまかせて暴れるだけの乞食なんだよ!」
カイトは白い地面を赤い血で染め、見られないほどの崩れた顔を黒髪で隠していた。致命的な攻撃は受けなかったものの、もう虫の息にまで達していた。
スターキーは卑下な笑みを浮かべて、彼の髪を鷲掴み、引っ張って灰色の店へ運び、その硬い壁に顔をぶつけた。顔の骨が折れる音、何かが潰れるような不穏な音が聞こえ、カイトの顔がまた引っ張られ、血の糸を引いて壁から引きはがされた。カイトは口の中をうがいするように動かし、血と痰をまとめて吐き出した。彼の歯は何本か折れて抜けていた。
カイトは呼吸を整え、力を振り絞って自由な足を後ろへ蹴り上げ、スターキーの腹に蹴りをくれてやった。スターキーは後方へふっとび、カイトはまた鉄糸に引っ張られ道を横断した先の店の窓にぶつかり、ガラスを割って店内で転がった。カイトは踏ん張り、立ち上がって窓をくぐって外へ再び外へ出た。彼は転がったライトセイバーを取りに走ったが、また簡単に引っ張られ道を横断して店の壁にぶつかった。だが、その手にはライトセイバーが握られていた。「よし」カイトはライトセイバーを巧みに使い、身体に巻き付いた鉄糸を切断し、自由の身となった。
スターキーは目眩から抜け出し、我に返ってすぐにライトセイバーを構え、周りに潜む仲間に大声で命令した。「おい!鉄糸を繋げ!さっさと捕獲し、殺せ!」
カイトは顔の血を拭い、スターキーにその笑顔を向けた後、スターキーへ突進するように走っていき、ライトセイバーを交わらせ、俊敏に風を切るように走り抜け、身体を2人合わせて回転させ、また交わらせた。「久しぶりにやる気が出てきたよ。共和国八方議員君。」スターキーが顔を突き出し、ヤニだらけの歯を剥き出した。「俺の方こそ」カイトも対抗して笑って見せた。それを合図にライトセイバーを同時に振り払い、2人は距離を置き、また刃を交差させた。何度も交差させ、距離を置き。
陰からカイトに狙いを定めて発射させた鉄糸もカイトの敏感になった感覚によって容易く見切られ、ライトセイバーによって斬られた。カイトが避けたことによって地面や壁に突き刺さった鉄糸が根本で軸に巻き戻されていき、刺さった地面や壁がひび割れて崩れた。
その中でカイトとスターキーの持つ光の刃が交差し続けた。
十八、
議員棟を出て少し離れた丘を行くリードはマントを地面に擦らせながら、飛び交うレーザー弾をライトセイバーで優雅に弾き返していた。彼を半径20メートルで囲む帝国軍――崩れた建物の残骸に身を隠している――が弾き返されたレーザー弾やリードの左手に持たれたレーザー銃でどんどん倒れていった。この歳とは思わせない俊敏な動きで一瞬に周りの帝国軍は全滅した。
一段落付いたリードは空を駆ける帝国大型船を見上げた。彼の頭の中に悪い予感がした。
悪い予感ほど的中するものはない。そして議会棟へ飛んでいった帝国船から巨大な爆弾が投下され、議会棟へ直撃し、耳をつんざく爆音の響きと地面を上下する震動が同時に襲いかかり、地割れが丘まで続いてきた。議会棟は巨大な橙の茸雲を上げ、爆発、倒壊し、数秒遅れて爆風とそれに巻き上げられた土埃がリードの髪を吹き乱し過ぎていた。
リードは拳を力強く握り、それを空気にぶつけた。
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