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the Fourth Avenue Cafё
EP4:自由への招待,1
痺れを切らしたミドナカ議長は彼の探索を中止させ、各地で生き残っている共和国軍の回収を命じた。彼は見捨てられたのだった――クロスは。
そしてそんな折り、帝国は再び動き始めた。
一、
帝国ギマール収容所にて、元共和国ソロ国王フルサーバス・ハルリドナが消灯した廊下を音を立てず、忍び足で走っていた。長く伸びた彼の髪が闇の中で微かな光に反射する。悪臭が漂い、湿って凸凹した壁を頼りに彼は先へ急いだ。
ハルリドナ――捕虜に与えられる汚名の一つで、王族を引き落とされた彼ら一族はその名に改名されていた。
息を切らして、廊下の突き当たりまで来たフルサーバスは暗証番号の内蔵された格子戸を見渡した。その向こうには階段が続いていた。今の彼の形相は言葉では説明できないほどであった。目は恐怖に震え、飛び出す勢いで、頬骨はげっそりと痩せてしまったかのようにくっきり陰影をつけていた。目の隈もそれまでの彼とは思わせないものがあった。
そのとき、後ろから駆けてくる足音が聞こえてきた。その瞬間、フルサーバスは逃げ場のないこの場所でも逃げるように、隠れるように壁にぴったりと身体を張り付け、息を潜めた。足音が次第に大きくなってくる。そしてある瞬間、それが2人であることに気付いた。これでは取っ組み合いになっても勝てない。彼の顔はみるみる酷い物へと変わっていった。
フルサーバスは歯を食いしばり、構えた。その時、2人が姿を現した。金髪の青年と長い黒髪の少女だった。「エド、マリエ――」不意に肩の力が抜けた。
「お父さん、危ないよ!こんな所に来ちゃ」マリエが小声で言った。「そうだ、今すぐ戻ろう」兄も加わった。
フルサーバスは怒りに震えた口調で言った。「お前達は来るな、と言ったはずだ!全て父さんに任せて牢屋の中で隠れてろって言っただろ!何とかして逃がしてやるからって!危ないから、さあ早く帰れ」「でも!」マリエが反対しようとした言葉を父が遮った。「でも何て関係ない!さっさと戻れ。誰か来たら、どうする!」父の形相に圧倒された娘は一歩下がった。
フルサーバスは頷き、暗証番号を入力し始めた。
その時、張りつめた空気の中、エドワードが辛辣な面もちで言った。尤もこの暗闇の中では互いの表情を読みとるなど至難の業だったが。「父さんは逃げるつもりだろ、それも1人で」その言葉を聞いたフルサーバスの手が止まった。マリエは兄の方へ顔を向けた。
「隔週で深夜にあそこを抜けだし、いつもここまで来ていた。始めは信用していたが、段々怪しくなってきた」エドワードは抑揚のない口調で言った。「怪しいって何だ?お前達のために私は――」「違う!お前は次第にここへ来るとき、俺達の様子を伺い、絶対来るなと念までおしていった。そして今日は――」
「今日は、何だというのだ。私はお前達の身を案じて」フルサーバスは体中の毛穴から嫌な汗が噴き出るのを感じた。2人に向けた笑顔も引きつっている。「――俺達を脅してまで来ないように注意した。いや、警告した」マリエは父を睨んだ。
闇の中、親子の中で異様な空気が流れた。「はは、何て事を言うんだ。私はそんな意味で言ったんじゃない」フルサーバスはエドワードから暗証番号が見えないように身体で隠し、後ろ手に入力していった。
「そりゃ、こんな危ないこと、大勢居てはすぐにばれてしまうからな」フルサーバスが真剣な顔つきになった。そして微かに口元が緩み、微笑んだ。
次の瞬間、彼は格子戸を開け、即座に外へ飛び出し、扉を閉めた。あの歳では考えられないほど迅速な無駄のない動きに2人は手も出せなかった。そして扉は自動ロックがかかって開くなってしまった。
それを確認したフルサーバスは腹を抱えながら、高笑いをした。階段に座り込み、それを殴って笑った。「その通りだよ。お前等みたいな馬鹿がいると私もなかなか逃げられなくてな」彼は腹を抱えたまま立ち上がり、階段を一段上って、振り返った。「急がなくては」不気味な笑みで投げかけた――そこには父としての面影など蚤ほどもなかった。フルサーバスは階段を駆け上がっていった。
取り残されたエドワードはマリエを見た。「ばっちりか」「うん。暗証番号は覚えた」フルサーバスが身体で隠しながら入力していたのもマリエの位置からは全て丸見えだったのだ。それを確認した2人は牢屋で戻ろうと来た道を振り返った、その瞬間だった。
金切り声にも似た父の悲鳴が聞こえてきた。廊下全体が震動したように思えた。マリエは咄嗟の判断で牢屋へ逃げた。しかし兄は足がすくんで動けなくなっていた。誰か来る!そう確信したマリエは壁を殴って、エドワードを我に返らせた。我に返ったエドワードはマリエの後を追った。
2人の目から涙が零れ始めた。言葉すら出なかった。今はこの場から逃げたい一心で走っていた。
二、
階段を駆け上ったフルサーバスの前に広がっていた世界は移動ジェットの収納庫だった。彼から不意に笑みが零れた。「何たる幸運。神は私を救ってくださる」フルサーバスは確信し、ひとまず目の前にある小さなジェットに駆け寄った。
扉の開閉ボタンを押したものの、変化がない。「くそ!故障してやがる」フルサーバスは隣の機体へ移って、またボタンを押した。しかしこれも動かない。「何でだ!ここは故障している飛行ジェットを置いている場所なのか!違うはずだ」
フルサーバスは次第に苛つき始めた。そして次に移り、同じようにボタンを押した。すると機体内で音がして、扉が開き始めた。歓喜に溢れた表情で彼は手を擦った。
その瞬間、倉庫内が一気に点灯され、フルサーバスの姿ははっきりと照らされた。驚いたフルサーバスは周りを見渡した。心臓が張り裂ける勢いで激動した。彼は先程来た方向と逆の方向に目が自然と向けられた。
視線の先、一つの扉から黒衣の男がゆっくりと歩いてきた。フードで顔が隠れて見えない。その歪んだ瞳とフルサーバスの目が合った。「ギャ―――」フルサーバスは掠れた声で叫んだ。さながら悲鳴にも聞こえる。
彼は恐怖におののき、開いた機体に逃げようとしたその時、黒衣の男の銃が火を噴いた。そして機体が爆発し、風圧におされたフルサーバスが高々と飛ばされた。それでも黒衣の男は全く怯まず、同じ速度で歩いてくる。
フルサーバスはもと来た道へ走った。だが、黒衣の男が先程のように銃撃し、それによって階段へ繋がる扉が閉められたため、フルサーバスの足が止まった。「くそっ」彼は歯を食いしばり、黒衣の男に突進した。しかし、しなやかな動きに避けられ、黒衣の陰から銃が再び火を噴き、彼の足を撃たれた。
激しく倒れたフルサーバスのもとへ黒衣の男は歩み寄り、蹴って身体を仰向けにさせた。恐怖に目を瞑っていたフルサーバスは微かに目を開き、黒衣の男の顔を見た。その瞬間、衝撃に胸を打たれた。「お前は、お前は――」黒衣の男は氷のような瞳で彼を見下した。「傷だらけだが、お前は間違いなく、間違いなく――メサド・カタルだ」黒衣の男は微笑み、赤いライトセイバーを伸ばした。
「やめろ!やめるんだ!私がわからないのか!私はフルサーバス・ハイル王だぞ!」「いや、お前は捕虜番号758・ハルリドナだ」必死の問いかけも虚しく彼の赤い<光の刃>がフルサーバスの喉を貫いた。
「そして私はメサド・カタルではない」黒衣の男は先程来た扉の方を見た。そこから2人の男が姿を現した。1人は紅色の貴族服で白髪の男、そしてもう1人は黒衣に身を包んだ老人。
黒衣の男は2人の前に跪き、一礼した。
三、
「まったく。シリウス卿、あなたは意地悪なことをする」紅色の服を着た男が老人の横に並んで言った。「彼が必死に船を探しているのを弄ぶかのように扉に小細工をしかけるなど」だが、老人はただ鼻で笑うだけだった。
2人は跪く黒衣の男の前に来、老人が彼の肩に手を置いて立たせた。「<レヴー>メサドよ、よくやった」と老人。「お褒めに預かります、シリウス卿」
「それとジーバス、この死体を片付けるよう後程、手配しろ」半歩下がって紅色の服の男が一礼した後、硬直し微かに震えるフルサーバスの死体を一瞥した。
シリウスは倉庫の奥にある閉められた扉を見てにやけた――その先に隠れるマリエとエドワードのハルリドナ兄妹を見透かしているかのように。
「メサド・ローブ、彼を殺したことを高く評価する」メサドは深くお辞儀した。「これは反撃の狼煙(のろし)だ。帝国逆襲のな」シリウスは掠れた声で高々と笑った。倉庫内に木霊し、異常な空気となった。
四、
帝国ギマール定例議会室。そこに先程の面々とサルファードが在席した。円形の大きなテーブルに宇宙系の星々が照らし出されていた。
そして帝国領土、共和国領土がはっきりと示され、それに属さない国々も別の色で照らされていた。尤も現状が不明なソロ国やクルタウロン国なども深紅に異様な輝きを放っていた。
「今の状況から言えば、クルタウロン国を抑えることが出来る」シリウスが手元のボタンを操作してクルタウロン国の座標を帝国色に点滅させた。「しかしシリウス卿。今のその国は人間の入られたものではないですぞ」サルファードが身を乗り出して言った。
「承知している。だから3年前から既に手を打ちはじめている」サルファードは言葉に詰まった。「ジーバス」「はい」ジーバスが手元のパネルで操作し、テーブルに映された画面をクルタウロン国の拡大図に変えた。
「今のクルタウロンでは、猿国モンドーと鳥国ザスーガの2国対立状態にあるとは、以前話した通りです。それから3年前にあたる頃、猿国モンドーへ帝国支援をして、戦争を終わらせるよう要請しています」ジーバスが説明するとシリウスは微笑した。サルファードは納得したように深く腰を下ろした。
「そこでピサラルドへドロイド製作をしに行き、今では――予想通りでは――完成していることだろう」サルファードがほくそ笑んだ。だが今までの会話の中でメサドは表情を全く変えなかった。
「今こそ共和国を全滅させるのだよ」シリウスは手元のパネルを再び操作し、宇宙全体画面に戻した。「計画を説明しよう」ジーバス、サルファードは身を乗り出したものの、メサドは一向に姿勢を変えようとはしなかった。
「まずジーバス将軍補佐、お主はピサラルドへ行き、ドロイド軍を整列させよ。そして完了次第、ハズホーへ攻撃をしかけろ。サルファード司令隊長、お前は共和国カルカウへ攻撃をしかけろ」両者ともに頷いた。
「そして<レヴー>メサド、お主はクルタウロンのモンドー国へ行け。戦争の状況を把握し、報告しよ」メサドの返事はなかった。沈黙が返事の代わりのようにも見える。「終わっていないようなら、ジーバスのドロイド軍を要請する。何としても終わらせろ」顔に傷を負った彼は唇を舐め、微笑した。「了解」
サルファード、メサド、ジーバスの順に立ち上がり、最後にシリウスが立ち上がった。テーブルに映された宇宙系図が中央から真っ赤に染まり、そして電源が落とされ、黒くなった。
五、
偉大なる2人の八方議員は<救世の孤児>の探索を引きやめ、生き残った共和国軍の回収へクルタウロン国へ向かうこととなった。尤も今の2人にとってそれが大儀から外れているという感覚であるのは表情を見て取れた。無論、2人のエージェントを立ち止まらせたミドナカ議長も不本意だと自負していた。
しかし、彼の身体の現状からして、一刻の猶予もなかったことにも間違いはなかった。彼の生命はもうそこにまで来ていたのだ。例え彼が共和国復活を見ることなく命を絶つことになっても、彼自身共和国へ身を捧げてきたことにかわりはなく、また命を絶つそのときまで諦めるつもりはなかった。
2人の八方議員も同じ思いだった。彼を尊ぶ心からではなく、共和国信念を貫き通すことに意義があると自覚していた。だからこそ彼ら2人は<救世の孤児>を信じて、止めたのだ。見捨てたのではなく、彼の生存を信じ、共和国軍救出に方針を一時、変更したというのである。<救世の孤児>クロス・カタルを信じて。
まず彼らが向かった先はクルタウロン国だった。<忘れられし要>。
多くの戦友を、師匠を、そして親友を失った土地へ彼らは向かった。例え信じたくもないような光景がそこに広がっていようと目を背けることは、現実から逃げることは戦死した仲間を裏切ることにも繋がった。狂暴な生物によって一瞬にして荒れ地へと成り果てた仲間の墓場へまず始めに赴くことを選んだ理由は彼らから一生語られることはないだろう。ただ歯車を狂わせたあの大事件を重く受け止めた彼らなりの選択には違いなかった。
フィルスティーヌ・コールとルサーズ・ハイラの両議員はゴールデンシップの子機Bゴールドでその土地へ渡った。
六、
共和国クルタウロン、Bゴールドが緑の広がる森の上を飛んでいた。尤もここに広がる緑など爽やかとは程遠い、息苦しい心持ちにさせるものだった。それに今まで観測されたことのない珍奇な鳥獣の群れまでも2人の船の前を横断していった。彼らにとって人間のあみ出した技術など暖房器具の前にある保温具に過ぎなかった。左右に取り付けられた今にも落ちそうな目玉が機体を捕らえたものの、それきりで避けもしなかった。
暗雲が立ち込めた森を過ぎた頃、大きな一枚岩が姿を現した。それと同時に雲も晴れはじめ、日光が差し込んできた。船内で操縦席の窓から空を見上げたフィルスティーヌが異変に気付いた。「おい、ルーシー!」奥で内部操作をしていたルサーズが顔だけ出し、言った。「その呼び方やめろって」
だが、いつもなら言葉を返すフィルスティーヌもその時は違った。空を見上げたまま、動かなくなっていた。「いや、それどころじゃない」そして彼の目はそれに釘付けにされていた。眉間に皺を寄せ、しばらくルサーズは黙っていたが、ようやく彼の違和感に気付いた。
「どうした?フィル」その問いにフィルスティーヌは口ごもった声で返した。しかし、その声があまりにも小さかったため、ルサーズには全く耳に入らなかった。それでもフィルスティーヌはその言葉を何度も言った。そしてようやくルサーズの耳に微かに聞こえ始めてきたとき、彼は目を大きく見開いた。
「危ない――逃げろ!」そして今、はっきりとルサーズの耳に聞こえた。大きな羽音とともに。「早く船を出せ!」フィルスティーヌの怒声に目を覚ましたルサーズは直ぐさま自らの席に着き、ハンドルを握って、進行方向を左へ反らした。
だが、遅かった。その巨大で鋭利なかぎ爪がBゴールドの中央を貫いた。
七、
Bゴールドを巨大なコンドルが鷲掴みにし、涎を垂らした馬鹿面で吠え、顔を振り回していた。その衝撃で中に居た2人は船内を転がり周り、幾度と無く壁に叩き付けられた。コンドルの鳴き声が船内にまで震動してきたため、2人は耳を抑える羽目になった。
「おい!ルーシー!船を操縦しろ」2人とも煩い鳴き声に耳を抑えているため、会話が聞き取れずにいたが、口元の動きを何とか読みとり、どうにか言わんとしている意図が掴めた。「だが、この爪の力じゃ動かない!」「だから、俺が今からそれを取る」
照明が壊れ、火花を散らしながら、何度も点滅していた。「わかった」まず始めに走り出したのはルサーズだった。ふらつく足下を宙に浮いた気分で跳び、操縦席へ辿り着いた。フィルスティーヌは腰に提げていた柄を手に取り、<光の刃>を伸ばした。ライトセイバーである。
ルサーズは窓から入る光を頼りに操作し始めた。だが彼自身言った通り、船は一向に思うように動かない。一方フィルスティーヌは揺れる足下に重心をしっかりと保ち、爪に目掛けて跳んだ。そして彼の刃が見事図太い爪を切り落とした。
その瞬間、コンドルは悲鳴を上げ、船を掴む力を強めた。船の胴体が得も言えない惨めな音を立て、萎んだ。「くそっ、ちゃんとやれよ」ルサーズがヤジを飛ばした。「うるさい」フィルスティーヌは天井を見上げ、歩き始めた。
「こっちも手伝えよ、何してる!」ルサーズが叫んだ。尤も2人には自分が何を言っているのかさえ、ほとんどわからないでいたが。「おい、早くしろ!岩にぶつかる!」先程姿を現した一枚岩がもうそこまで接近していたのだ。
フィルスティーヌはある地点へ来ると、微笑し、ライトセイバーを天井へ突き刺した。その瞬間、コンドルは聞いたこともないような悲鳴を上げ、機体を放した。彼が狙った場所は足の付け根だった。
そして解放されたBゴールドは一気に速度を上げ、一枚岩に乗り上げた。
深く岩を掘り進み、轟音を上げて船は速度を落としていった。船内で何も捕まっていなかったフィルスティーヌは思いきり飛ばされ、壁に激突した。一方ルサーズの方は操縦席で歯を食いしばり、船を静止させた。
完全に静止すると船内は静まりかえり、照明が電気を走って点滅するパチパチという音がそこいらで聞こえた。フィルスティーヌは上下ひっくり返って壁にもたれ掛かっていた。「ふう、助かった」ルサーズが一息ついて席を立った瞬間、船が大きく傾いた。
そして船内に置かれていた物が徐々に下へ滑っていき、先程開けられた爪痕から遙か崖の下まで落ちていった。同時にフィルスティーヌも自然の流れに従い、滑り始めた。「お、お――うぉぉ!」フィルスティーヌはすぐに立ち上がった。だが、その所為で船が一気に傾き、フィルスティーヌは再び転げた。しかし今度はそれだけでは済まなかった。
有無を言わず、彼の身体が全てを飲み込む穴へ落ちていった。
八、
フィルスティーヌは抵抗できず、その穴へ吸い込まれるように落ちた。マントをはためかせ、彼は一瞬のうちに穴の底と自分の周囲を見渡した。全ての出来事が一時停止してしまったように思えた。だが、それも束の間、彼は急直下した。
「フィル!」全てを割き、ルサーズの声が耳に届くや否やフィルスティーヌの身体はルサーズによって制止させられた。フィルスティーヌの重たい体をルサーズは歯を食いしばって腕一本で引っ張り上げようとした。だが、下手に動けば、機体がそのまま崖の下まで落ちてしまうため、彼はひたすらこの辛い状況を堪えた。
宙ぶらんになったフィルスティーヌのマントが上昇気流によってはげしくはためいた。
「あぁ、すまん。助かった」いつもの彼らしくない声調で言った。「まだ危機的状況には変わりない。」「だが、貸しが出来てしまったな」フィルスティーヌは固い笑顔を見せた。「今はそんなことは言ってられない。これからどうする」ルサーズが汗を滲ませ、言った。
「俺に考えがある」フィルスティーヌが銃をとりだした。「何をするつもりだ」「この船を落とす」ルサーズは驚き、危うく彼の腕を放すところだった。「やめろ、早まるな。お前がしようとしていることは自殺行為だ。いや、俺がいるんだから心中だ」
フィルスティーヌは微笑し、「安心して、俺に任せな」と返した。
そして次の瞬間、彼の銃が火を噴き、船が一気に傾き、崖を滑るように落ち始めた。爪の傷痕の穴から吹き上げる風が2人を船内に戻した。「行くぞ、しっかり捕まってろ」フィルスティーヌはルサーズの手を取り、操縦室の窓を割り、外へ飛び出した。そして先程とは違う銃を構え、崖の上の方へ向け、発砲した。
すると銃口から強力なワイヤーが伸び、見事崖の側面に張り付いた。2人はそれに捕まり、崖の側面に立った。いきなりの事にルサーズも声が出なかった。ただ感心するばかりである。
九、
ワイヤーを伝い、2人は崖の上に戻ってきた。下を覗けば、大破した船が黒煙を上げている。空を見上げれば、薄暗い程度にまで晴れ出している。
「助かったよ」覗き終わり、近付いてくるフィルスティーヌにルサーズは言った。「いや、これで貸しはなしだ」そう言い、彼の横を通り過ぎ、反対方向に広がる森を見渡した。
深緑が広がる中、一際目立つ塔が3本建ち並んでいた。その周りにも木々で創造された家々が建ち並んでいた。全てが巨木に寄り添うように並んでいる。そしてその不格好な家々は地平線の先にまで続いていた。「あれ、15年前からあるものじゃないよな」ルサーズが後に続き、見渡し、言った。
遠くから見ても判るように、真新しい。それ以前に人間の手によって造られたにしては雑にも程がある。フィルスティーヌは髭を撫で言った。「人間が住んでいるということか」
「それはないだろ、こんな辺境の地に、まだ生き残りがいるというのか」「それもそうだ。共和国軍がいたとしても、ここまで大きく動物の目に留まりやすい街をつくるほど馬鹿じゃない」互いが互いに独り言のように言った。
「それはあそこに住民が居るからですよ」背後から声が聞こえた。2人は目を見開き、目に留まらぬ速さで銃を構え、もう一方にライトセイバーを握った。その動きに背後に立っていた青年は後ずさりし、身構えた。
2人ともしばらく構えて動かなかったが、彼が害でないと判断すると銃と刃を下ろした。「お前は誰だ。いつからそこにいた」ルサーズが怒気の混じった声を吐いた。
「僕の名前はエルドラ、エルドラ・クリンヌ。ここで1人生存する人間です。あなた方は誇り高き八方議員ですよね」身なりの汚い、飾らない格好が彼の言葉に真実性を持たせた。洗えば綺麗に輝くはずのボサボサの金髪に、生え揃わない無精髭、それに灰色の瞳が全てを物語っているようだった。
その彼が目を輝かせ、尋ねた。「あなた方は誇り高き八方議員ですよね」
十、
「あなた方は誇り高き八方議員ですよね」目の前に立つ青年が繰り返し、言った。2人は顔を見合わせ、目で意志疎通をした。互いの判断が一致した。「そうだ、何故わかった」ルサーズが先程とは異なった声質で尋ねた。
エルドラはしばらく返答に戸惑った後、答えた。「それは僕の家に資料があるからです」またもや2人は目を合わせた。「お主の家はあそこにあるのか」フィルスティーヌが森の向こうまで広がる都市を指差して言った。「ええ」エルドラは真剣な眼差しで答えた。
フィルスティーヌは顎に手をあて、考え込んだ。その間、3人の間に沈黙が流れた。しばらくしてフィルスティーヌが尋ねた。「あの場所には1人で?」「いえ、仲間もいます」
フィルスティーヌは糸を辿るように探り探りで聞いていった。「先程、ここにいる人間はお主だけだと――」「あ、その事なんですが」エルドラの顔が曇った。
「どうした」とルサーズ。だが、エルドラはなかなか答えようとしなかった。「わかった。お主の言っている資料も見てみたいし、何よりここで生存してきた話を聞かせて貰いたい」フィルスティーヌのその言葉にエルドラの顔が一瞬青ざめた。
「つまりお主の家にお邪魔になっても構わないか」「え、――」フィルスティーヌが一歩前へ踏み出して聞いた。「どのみち、あの地区も調べなければならないのだ。お主の協力があれば、一層すんなりと事が進むと思う」観念したエルドラは承諾した。
3人は造られた階段――エルドラに教えられるまで2人とも気付かなかった――で崖から下りていき、やがて森に入った。予想通り、その森は鬱蒼とし、湿気の多いジトジト肌に張り付く空気を帯びていた。空では大きな鳥が浮遊しているのが見える。
先頭を行くエルドラが恐縮に言った。「誇り高き八方議員さん――」フィルスティーヌは笑って遮った。「俺の名前はフィルスティーヌだ。そしてこいつがルサーズ。フィルとでも気軽に呼んでくれて構わない」「――では、フィルさん、ルサーズさん、行くにあたって一つ忠告があります」そこでエルドラが足を止めた。続いて2人も足を止めた。
「何だ」「先程、僕が言った仲間――彼らのことなんですが」2人は黙って続きを言うよう促した。
「彼らは人間じゃないんです」2人とも反応しなかった。むしろ先程聞いたことから大体の予想は立っていたらしい。
「大体予想はしていたそうですね。その方が彼らにとってもあなた方にとってもこれから遣り易いと思います。下手に警戒すると彼らも感づくでしょうから」フィルスティーヌは少し眉間に皺を寄せた。「警戒するなというのも無理なことだ。それに相手が人間でないとなれば、なおのこと」
「いえ、そういうことではなく、先に言っておけば、心構えができるでしょうからという意味で」エルドラは少し頬を赤らめ、顔を背けた。「ああ、すまない。そういうことなら感謝する」
「それで、彼らは言語を容易く使えるのです、まるで人間のように。しかし感性も違えば、習慣も違う。身なりなど人間から遠く離れた姿をしているのです」エルドラは遠い過去を見透かしているかのように目を細めた。「僕も始めは信じられませんでした。しかし、これが現実なのです。僕が彼らに育てられたことも、彼らが人間でないことも」
エルドラは改まって、2人に向き直った。「彼らは鳥人なんですよ」
十一、
鳥人。遠い昔、そのような夢物語は山ほど、耳にたこができるほど父に聞かされたことをフィルスティーヌは記憶の片隅に掠めた。それも全て結局、王子が伝説の剣を引き抜き、怪物を倒すだけの終わりを迎えるのだった。だがそれも今や遠い過去、それに言い聞かせてきた父こそ今では言葉も扱えないほど狼狽えていた。見舞いなど行ったこともないし、むしろもう顔も見たくないとまで思っていた。いつも母を困らせるだけの酔いつぶれで、彼が八方議員になる暁には殺してやろうかとまで考えたほどだ。奴は只のほら吹きだ。
一瞬気持ちを遠い場所へ運んでいた彼を現在に戻させたものはエルドラの話だった。「鳥人だからといって、人間に近いかと問えば、それは身なりでは程遠いことでしょう。しかし、彼らは羽を腕のように器用に使いこなし、言語も方言を含まない理想的な口調だと思います」
ルサーズは腕を組んで考えながら、言った。「君は彼らに囚われている存在か」「いえ」エルドラの強気な口調にルサーズは半歩後じさった。
だが、エルドラもその言いきった言葉に不安を抱き、頭を掻きながら言い訳のように続けた。「僕は家族だと思っています。彼らがどう思っているかはわかりません。異星人かも知れないし、いざというときの食糧かも知れない。しかし、少なくとも僕は彼らを家族と認識しています」
ふと彼は背伸びをして枝に付いていた房をもぎ取って見せた。豆粒ほどの大きさで紺色に光っている。ルサーズはそれを一粒ちぎり、指先で転がした。「固いな。これは――」
エルドラも一粒ちぎり、同じように指先で転がした。「これは彼らの食糧の一つですよ」一瞬エルドラの顔に笑みが伺えた。「随分と固いでしょう。人間にはかみ砕けなくても、彼らのくちばしでは容易く砕けるんです」彼は手でくちばしの形をつくって見せた。そして千切った一粒を口に含み、必死に砕こうとしたが、少し凹みを入れるに終わることを示した。そして地面に吐き飛ばした。
無邪気に笑った。しかし目の前にいるのが誇り高き八方議員だということを思い出し、焦って謝った。ルサーズもあまり気に留めていなかったらしく、笑顔で制止させた。
そしてエルドラと同じように口に含み、固さを実感し、吐き出した。
するとしばらく後ろで周りを見渡していたフィルスティーヌも近寄ってきて、その実を貰い、口に含んだ。しばらく2人に見つめられながら、舌の上で弄ばしていたが、一瞬笑ってみせ、勢いよくその実を噛み砕いた。2人ともそれに驚きを隠せずにいた。そして得意そうな笑顔で噛み砕いていたフィルスティーヌが顔をしかめ、焦って地面にそれを吐き出した。
「苦っ!」フィルスティーヌは唾も吐き出し、舌を鳴らした。「何だ!この味」「すいません!まさか噛み砕くとは思って無くて――」エルドラはすかさず彼のもとに駆け寄り、ハンカチを取り出して、そこに小瓶の液を数滴垂らし、渡した。
「これを口にくわえてください。数秒すればすぐに口の中は元に戻ります」フィルスティーヌは訳も聞かず、言われるがまま、それを口にくわえた。すると先程までの酸味の利いた何とも言えない味が瞬く間に消えていくのを感じた。
「ありがとう」フィルスティーヌはそのハンカチを自分のポケットに入れた。「これは洗って返すよ」「いえ、そんなことまでしてくださらなくても!元はといえば、僕がこんな物を食べたから」フィルスティーヌは手でそれを遮った。
「いや、構わない。彼らの生態を少しでも教えてくれたのだから、むしろ感謝すべき所存だ」エルドラもフィルスティーヌの上手い言葉に載せられ、納得した。
そして再び歩き出そうとしたとき、フィルスティーヌが口を開いた。
「彼らの中での重要人物、例えば、王や将軍を出来れば、教えてくれないか」先程までの談笑の口調とはうって変わって、重苦しいそれだった。「これは王子が剣を抜いて勝つだけの夢物語ではないのでな」
2人ともその意味をくみ取ることは到底出来ないだろう。ただ深い意味があるとも考えなかった。無論、フィルスティーヌも考え無しで言ったも同然だった。
「ええ、もちろん。僕は話そうとはずっと思っていました。多分、この中にモンドー国との問題解決の鍵があると思います」フィルスティーヌの言葉よりもエルドラのこの言葉の方が意味を持って聞こえた。
十二、
フィルスティーヌとルサーズの両人は首を傾げた。「モンドー国?」「何だ、それは」エルドラは少々驚き、改めて説明を始めた。
「そうですね、知らないですよね。というよりは知る術もなかったですね。では、そこから説明しましょう」エルドラは2人にその付近の座れる場所へ座るよう促した。2人は別々の場所に座り――それでもエルドラの声がはっきりと聞こえる範囲内で――、エルドラは2人の真向かいに腰を下ろした。
「まずこの星(クルタウロン)には、現在敵対する国が2つ存在します。一つは僕が属する鳥人の国ザスーガ、そしてもう一つが猿人が支配するモンドー国です」「猿人?」「ええ」フィルスティーヌは髭を撫で、言った。
「どちらかと言えば、お前は猿人に近いのではないか。人種からして」「それは見た感じだけですよね」フィルスティーヌは返事をしなかった。
「僕も端から見れば、猿人に近いのではないかと、思うかも知れませんが、僕が彼らに付かない決定的な理由の一つが考え方の相違です」ルサーズが組んでいた足を解き、前に乗り出した姿勢で話を聞き始めた。
「僕は元来、共和国出身、共和国の考え方をもつ人間です。それも今の今までずっとクルタウロンで生きてきましたから。そして僕のいるザスーガ国(鳥人の住む国)も似た考えを持っています。僕が言うのも何ですが、彼らは利口です。ただ賢いというのではなく、生きる術を知っている――尤も、それは僕が共和国主義の人間だからだと思いますが」2人とも無言で動かないで聞いていた。
「そしてモンドー国の奴等は――」ここでエルドラの口が止まった。先を続けて良いものだろうかと悩んだのだ。「構わん、続けろ」フィルスティーヌが抑揚のない声で言った。
「彼らは、帝国主義です。僕から言わせれば、彼らが国を造ってから、この星が急激に失われていっている気がします」「どういう意味だ」ルサーズが口を挟んだ。
エルドラは不安な面もちで彼を見つめ、言った。「彼らは互いに干渉しなくても良いこの国ザスーガを襲撃したのです。自らの手中に収めるために」
2人は顔を合わせた。だが、エルドラの話は続いた。「つい最近――日の20周期する前――も彼らがザスーガ国の西支部を襲撃しました。その街は全焼、住民達は酷い痛手を負って、半数ほど本部で隔離されています。そして今ではそこも奴等の領土です」エルドラの口調が強まっていくのが聞いていて伝わってきた。
2人が顔を合わせて、目で意志疎通した内容をルサーズが代役で尋ねた。「まず一つ聞きたい。そのモンドー国との通信手段はあるか」エルドラは即座に否定した。「では、奴等の本部、もしくは支部でも良い。状況を知る手段を持っているか、もしくは監視しているか」
エルドラはしばらく考えた後、答えた。「そういうものは近づけられない状況にあるとは思いますが、けど彼らの状況変化は大体掴めるそうです」2人の目の色が変わった。
「それはどういうことだ」「彼らには風を読む能力がある」「風を読む?風向きや風力から推測できるということか」
「多分、そういうことだと思いますが、存外正確です。その御陰で西支部も全滅を免れましたから」その証拠を聞いた瞬間、2人の間にある仮説が生まれた。
「その読んだ風をお主は教えて貰ったりは、しているか?」「重要なことは大体――」
そこで核心にせまることをルサーズが尋ねた。2人の仮説が証明できるか。「では、聞きたい。その西支部襲撃、もしくはそれよりも前に、モンドー国へ移動機が下りなかったか――ちょうど俺等が乗ってきたようなものだ」
仮説が正しければ、それは帝国機で、そこに奴等の指導者が乗っていたはずだ。
エルドラは黙った。前の2人の間にピンと張りつめた空気が流れた。一瞬目を合わせた後、フィルスティーヌがエルドラに言った。「大丈夫だ、焦らなくてもゆっくり思い出してくれれば良い」握り締めていた拳を解いた。
「だが、その前にもう一つ聞きたいことがある」ルサーズが再び口を挟んだ。それにフィルスティーヌが彼の方を見た。下手なことは尋ねない方が良い、と忠告でもするかのような目であった。
そしてルサーズもそれを承知して尋ねた。「その西支部が襲われるよりも以前に、何度か攻撃はあったか」エルドラは伏せていた目を上げ、彼を睨んだ。
「ありました」その形相と口調にルサーズは身をひいた。そこでフィルスティーヌが宥めるような口調で言った。「西支部の襲撃のことだが、思い出すのは辛いかも知れぬが答えてくれ」
エルドラは無言で頷いた。「それまでの襲撃と何処か異なったことはなかったか。例えば攻撃態勢が変わったなど――」
その質問にエルドラは顔を上げて、考え込んだ。そこで再び2人の目が合った。するとエルドラが口を開いた。「考えてみれば――そうなんですよ!そう」突然変わったエルドラの声調にフィルスティーヌは何か嗅ぎ取った。
「何か異なった点があったのか」「ええ。何処か腑に落ちないところがあったんですが、やっとわかりました」「お主の中でもしっくり来ない点があり、それと俺の質問が合致したということだな」エルドラは頷き、答えた。
「彼らの武器が激変したのです。前々では土器のような手製だったものが、その西支部襲撃時にはその武器が機械化されていたというか――即ち口では言い表せないものだったんです」
その瞬間、2人の目が合い、互いの仮説が証明、成立された。だが、それも喜ばれることではなかった。ルサーズが立ち上がり、髪を掻きむしった。腹の底から苛立ちが沸き起こってきた。フィルスティーヌも同じだった。
「ありがとう。そしてすまない、話をそらしてしまって」フィルスティーヌが気持ちと裏腹に平静を保ち、謝礼した。
だが、エルドラの方はまだしっくり来ていなかった。「あなた方が尋ねていることは何ですか」フィルスティーヌは視線を落とした後、エルドラの方を見て言った。「西支部襲撃時、もしくはそれ以前にモンドー国に何か堕ちなかったか、という質問の答えが出たら、教える」エルドラは俯いた。
「では、話を戻そう。ザスーガ国にいる王、将軍、その他諸々の名前だけでも良い、教えてくれ」
十三、
モンドー国、王朝室にて、<レヴー>メサド・ローブが帝国本国ギマールと通信を行っていた。その背後では将軍ドードが立ち、数人の部下を引き連れていた。
「シリウス卿、モンドー国への支援が完了しました」『承知した』立体映像の向こうでシリウスが黒衣に包まれ、微かにぶれた。
『して、支援が必要ということは戦争は終結していないようだな』メサドは少しお辞儀をして、謝罪した。「しかしシリウス卿、既に手をうっています。ザスーガ国の西支部を掌中に収めました」
シリウスは映像の中で微笑んだ。『よくやった。だが、それでは遅いな。共和国に勘付かれる前に全てを灰にせねば』「了解」メサドは拳を左胸に叩き、忠誠を誓う体勢になった。
『そちらにドロイド軍を送る。南支部の襲撃と同時刻に本部へ攻め込め。さすれば全て片が付く』
映像が切れ、メサド・ローブが後ろへ振り返った。「ここの軍も動くときだ」将軍ドードは怯えた風に顎を引き、一礼した。
「武器は揃えてあるし、ドロイド軍の支援もある。今度は西支部のように失敗は許されんぞ」メサドの白目がドードへ向けられた。その瞬間、ドードの身体は硬直したかのように全く動くことの出来ないものとなってしまった。
「わかるな、今度は光を奪ってみせよう」メサドはそう言い残し、彼の横を過ぎて、部屋を後にしようとしたとき、扉に立っていた男に呼び止められた。メサドはゆっくりとその方へ向いた。その男は扉いっぱいの巨体で寄りかかり、大木よりも太い腕で胸を掻いていた。
「何の用でしょう、国王」呼び止めた男はのっそりと重たい巨体を動かし、椅子へ寄っていき、そこに腰掛けた。「<黒き焔>よ、奴等の本部には我々の仲間がいることを忘れるな」
メサドは出口に視線を向け、言った。「たかが将軍補佐、捨てるほどいる存在だ」「彼は私が認めた補佐だ。カリル――陰で支える者だ。もし彼の身に何か起これば、部外者のお前を握り殺す」モルドフ国王の怒声が部屋全体に響き、微かに揺れた。
メサドは王に視線を向け、無言で部屋を後にした。
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