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the Fourth Avenue Cafё
第2章 狼と魔女狩り
2人が出会った場所であり、物語の始まりの場所である。
一、ヤヌス
1
彼女の名前は本田美咲――身長が低く、ショートヘアに、似合わない大きな眼鏡をかけた時代遅れで流行りに疎い高校1年生。眼鏡を掛けず、髪も女性らしく伸ばせば、決して劣らない、むしろ優秀で端整な顔立ちが明らかになるにも関わらず、彼女は決してそうしなかった。
女を磨くことも化粧をすることも、全く興味のないことで、人から騒がれるのを最も嫌いとするタイプの女だった。
尤も彼女は恋愛をしたことがない、ということではなく、人を好きになったことは幾分あるが、遠く及ばないと踏み出そうとすることもなく、殻に籠もっていっただけなのだった。
中学生の頃など、それまで隔たり無く喋っていた男子生徒のことが気になり始めると自らひいていったほどだ。
本田美咲は今も学校で喋れる友達がいなく、学校帰りは皆の目に触れないようにそそくさとクラスを後にしていた。皆より一本早い電車に乗るため、誰よりも早く帰っていく。
だが、その日は違った。
気の強い短髪の男子が1人美咲に歩み寄ってきた。図体の大きい彼が近くにいることで彼女の小ささがより際だって見える。彼女はこの男を見た覚えはあるが、名前は知らなかった。「なぁ、本田。今日委員のことで残ってくれないか」彼がそう言った、その声は予想していたよりも優しく聞こえた。
親切に故意に優しく接してくれた、こんな時は、快く応対するのが普通なのだが、彼女にはそれが出来なかった。いつもながら愛想悪く答えてしまった。「あ、あの、私今日行くところあるから、無理」
美咲は俯いたまま答え、席を立とうとしたとき、彼がそれを抑え、無理矢理座らせた。「頼む!先生に今日しか無理って言われたから!」彼は両手を合わせ、必死に懇願した。
本田美咲はちらっと時計を見てから、渋々了解した。するとその男子生徒は表情に出さないように喜び――尤も彼女に気持ちは見え見えだった――、すぐに美咲の手をとって、教室の外に連れ出していった。
男子生徒は誇らしげに笑みを浮かべ、廊下をずんずん歩いていき、美咲は無理矢理ながらもついていった。
そして着いた先は屋上への扉の手前だった。誰の目にも触れない場所だが、そこは落書きだらけだった。美咲は大体予想はついていたが、その場でようやく予想が正解だと分かった。
「ごめん!こんなとこに呼び出して!しかも嘘ついてさ」本田美咲にとってみれば、その場所が新鮮に思え、逆に良い想い出になっていた。ただこの男が居る限りは、その気持ちも表に出すことなど許されるわけがなかったが。
「それで、急なんだが・・・好きだ。つきあってくれ!」男は深くお辞儀をして、言った。表情に出さないと決めていた美咲も、来て急な告白に戸惑い、目を見開いていた。そしてみるみる表情が強張っていき、男子生徒から後退っていった。
いつまでも返事のないことに不安になってきた男は顔を上げた。「やっぱ、無理?」彼は不安に顔を引きつらせていたが、何とか強がって見せていた。「駄目?」
それでも美咲は答えなかった。「今そんなに悩まなくて良いから」美咲は悩んでなどいない。好きでもない。心が揺れるなど以ての外。
ただ、答えたくなかっただけだった。自分が言って、この人が傷ついてでもしまったら。美咲は考えた挙げ句、咄嗟の判断で逃げることにした。階段を駆け下り、その場から逃げていった。「おい!」取り残された男子生徒の声が虚しく反響した。
美咲は不格好に走っていき、女子トイレの個室に入り、鍵をかけた。急に恐くなってきたのか、肩を抱き、震わせながらその場にしゃがみ込んでしまった。辺りは静かなはずなのに、煩く聞こえる。
彼は追いかけてこなかった。彼なりの優しさか、それとも。
2
美咲は曇った眼鏡を拭き、ふと時計を見た。下校時間はとうに過ぎていた。辺りも真っ暗で肌寒い。湿っぽい、いやむしろ冷たい?
彼女は水浸しになっていた。髪の先端から水の雫が落ちた。制服もぴったりと肌に密着している。彼女は一瞬理解不能になったが、すぐに思い出し、啜り泣いた。ここに逃げ込んだのを女子どもに見られて、上からバケツで水を掛けられたんだ。
たまにこうして学校に居れば、すぐにイジメにあう。だから学校が嫌いなんだ。
美咲は外に誰か居ないか、恐くなったが、勇気を出して扉を開けた。やはり外も暗かった。手洗い場に向かい、トイレの扉の取っ手に触れた。横の鏡が気になったが、見てもろくな事がないと踏み、トイレの外へ飛び出した。彼女から滴り落ちる水がトイレから廊下へ移った。
左右をきょろきょろし、警備員が来ないか、確かめた。耳も澄ましてみたが、別校舎まで静かに思えるほど、そこは沈黙だった。警備員に見つかると、また厄介なことになる。
美咲は足を進めた。向かった先は自分の教室だった。家に帰る気はなかった。母は彼女のことを見てもくれないし、父は帰らないくせに世間を気にして煩い。
窓の横を通るときは外から見られないようにしゃがんで行った。
そして難なく教室へ辿り着いた。着いてみると窓の鍵が閉まっていなかった。学校の適当さが痛いほど伝わってきた。先生のやる気の無さも。
窓を開け、中に忍び込んだ。確認することは一つだった。
自分の席を見てみると、予想通りそこに黒くて太い文字が書かれていた。『便所で泣いて煩い、トイレの花子さん♪』その周りにも罵詈雑言がわんさかと書き連ねられていた。どうせ明日、私が学校へ来たときにこれを見て、その反応を楽しむつもりなんでしょ。彼女は卑屈な笑みを浮かべて、机を殴った。良いことなんか無い。死んでやる。
彼女はグラウンドに臨む窓を開け、そこに立った。
そのとき、下に警備員を見た。彼も彼女に気付き、大声を上げ、慌てふためいた。それに彼女も驚き、すぐに中に引っ込み、教室から飛び出して逃げていった。
彼女はトイレの花子さんになった気分で廊下を発狂しながら、走っていった。
3
辺りが静かになった。警備員は今、どこを探索しているのだろう。そして私は今、どこに隠れたんだろう。美咲は段ボールの山から這い出てきた。一心不乱に逃げてきたため、彼女は自分が何処に逃げたのか、分からなかった。ただ辺りを見渡した瞬間、そこが何処か直感した。本がズラッと並んでいるだけでわかったが、その他にも独得な臭いや空気感でわかった。ここは図書室だ。
そして自分が隠れていた段ボールを見返すと、新しい本を入荷したときや荷物を片付けるときのための段ボールの山だった。本の貸し出しが行われる部屋の一郭の中にその山はあった。
彼女は溜め息をついた。何て私にそっくりな場所なんだろう。
美咲はその一郭から出てき、図書室を廻っていった。もう暗闇には目は慣れていることは慣れているのだが、文字一つ一つは読めるわけではなかった。だから、興味を引くような背表紙でも何て書いてあるのか、読めなかった。
その時には既に彼女の不安は消え失せていた。今の彼女は何か引きつけられるように歩いていた。そして本に目を奪われていて、足下が不注意になっていたらしく、椅子の脚に躓き、派手に転けた。何て不幸な女なの。
美咲は身悶え、ぶつけた脛を撫でていると不意に目がある方向へ向くのを感じた。直感的に目を奪われるような。
そして座ったまま、彼女が見た先には1枚の絵画が飾られていた。
4
教室内は闇に包まれているにもかかわらず、その画は神々しく光り輝いているように美咲には見えた。そこに映る人物の輪郭まではっきりと伺えるほどだった。名札は暗くて読めない。ただその絵画は痛いほど目に焼き付く。
黒髪の豊かな女性――聖母のようにも見える――が赤ん坊を抱き、その横で見守るように彼が立っている。前後双方に顔を持つ髭の貯えた御老人だ。
不気味だ――前の顔は聖母を見ているのに、後ろの顔は美咲を見下ろしているように見える。彼女は全身に鳥肌が立つのをおぼえ、言葉も出ない感情に震え上がった。永遠にも似た時間が過ぎていった。
美咲はようやく我に返り、自分の今の状況を再認識した。くしゃみも出始めた。
学校で寝るのはさすがに引けたため、彼女は学校を出ることにした。先程同様、野良猫のように目を光らせ、耳をぴんと立て、神経を集中させて警備員の気配を探った。
いない!確信すると彼女は走り出した。ただ校舎を出たところで、警備員が校門の前で待ち構えているのではないか、という不安が胸を掠めた。彼女は恐る恐る木陰に隠れながら、確認したが、そこにはいなかったため、彼女は文字通り逃げるように外へ飛び出していった。
行く当てなど無いが、ひとまず近くのコンビニにより空腹を満たすことにした。今は周りからどれだけ不審な目で見られようと構わない――あの絵画が私に何かを伝えようとしているに違いない。彼女はそう確信するだけで心の支えになった。
明日、学校に行ってもう一度確かめよう。美咲は人生で初めて学校に行きたいと思い描いていた。
5
翌朝、起きたところはコンビニ横の駐車場の脇だった。車の陰で隠れて周りからは全く見られないと高をくくって安心して眠っていたが、どうやら財布から札だけすられているようだ。レイプされていない理由は身体から悪臭が漂っているからだろうか、それとも私がそれ程までに魅力がないからだろうか。彼女は溜め息をついた。
「家に帰ろ」美咲は何とも言えない感情で家に帰り、風呂を沸かした。その音を聞きつけた父が寝室から怒り奮闘で飛び出してきた。「美咲!!今頃帰って何してた!!」
その声を聞いた瞬間、美咲は嫌な顔をして、着替えを持ち、風呂場に駆け込んだ。「おい!!何処へ行くんだ!!こっちへ来なさい」彼女の父も追いかけたが、風呂場に鍵がかけられ、中に入ることが出来なかった。地団駄を踏んで、怒った。「何度も言っているだろ!!こんなことして!!只でさえ、世間に白い目で見られているんだ!!あそこの娘さん毎日、毎日朝帰りしているなんて近所にでも知られたら――」
「うるさい!!黙ってろよ!!」今まで何度も何度も言われ、我慢しきれなくなった美咲は叫んで扉を蹴った。それには流石の父も心臓が飛び上がるほど驚き、口が開いて閉まらなくなった。
2人の間で沈黙が流れ、そして呆れた口調で付け加えた。「出てきたら、こっちに来なさい。良いね」父はそう言うと居間に歩いていった。その背中は重たく何か語っているように見えたが、全くもって説得力のない言葉にしか聞こえなかった。
美咲は風呂場に鞄が置いてあるのを見て、ほくそ笑んだ。そして嫌な汗を流すため、シャワーを浴びた。
居間で待っている父は指を鳴らし、足を貧乏揺すりして苛ついていた。時たま歯ぎしりもする。娘のことを全く見ない美咲の父は自分のことを、『精一杯働き、娘をきっちり仕付けている立派な父親』と勘違いしているのにも気付いていなかった。自分は立派な父親なんだと信じ込んでいた。
だからその分、娘が言うことを聞かないことに不満を抱き、苛つくのだ。全くもって自分勝手な男だった。一生気付くことはないだろう。自分の罪を認めようとしないのだから。
彼が辺りをきょろきょろし始めた。さすがに遅い。「美咲!!!」痺れを切らした父が風呂場へ駆けた。扉は未だ鍵を掛けられているため、父は何度も何度もノックしたが、返事がない。
父ははっとして、小銭を取り出し、それで鍵を開けて、中に入った。「くそ!!」風呂場はもぬけの殻となっていた。「絶対帰ってきたら、しばいてやる!!」だが、彼はその日にはまた家を出て、しばらく帰ってこないことは確実だった。
窓から外へ逃げ出し、学校へ向かった美咲の胸は高く躍っていた。早くあの場所に行きたい。
6
尤も全てが全て、上手くいくとは限らないものである。彼女が学校へついたのは2時間目の授業中だった。教室に入ることだけでも鬱陶しいのに、その上周りからの指摘がうるさいから嫌でしかなかった。しかし教室に入らないことには何も始まらない。
美咲は教室の後ろの扉の前で様子を伺い、丁度良いタイミングを見計らい、中に入っていった。入った直後の男子からの視線は冷たいもので女子からの視線は突き刺さるように睨み付けるものだった。美咲はお構いなしに席に着き、昨夜見た落書きと再会して微笑んだ。まったくもって周りから見れば、不気味以外の何ものでもなかった。
授業が終われば、先生の呼び出しが待っていった。それも難なく済ませば、やっと図書室だ。
本田美咲は図書室へ駆けた。解放感溢れる気持ちで走っていき、扉の前まで来るとその心持ちは頂点に達していた。そしていざ取っ手を握り、開けようという場面になると妙に緊張してくるものだった。一瞬だが間をおき、そして開けた。
するとそこに1人の男子生徒が座って本を読んでいた、それもあの絵画の前で。美咲は眉間に皺を寄せ、警戒心を強めた。この男子生徒も初めて見る顔だった。
彼が美咲を一瞥した。だが、すぐ本へ視線を戻した。美咲は部屋から出たい気持ちでいっぱいだったが、引き下がれず、ただ突っ立っているだけだった。「本、読みに来たの」彼がごく小さな声で言った。聞き取れるか、聞き取れないかの狭間の音量で。
美咲は彼を睨み、この前のように何も答えなかった。それをわかってか、彼が優しく言った。「俺と話したくないってか?わかった。出ていく」彼は席を立つとそそくさと荷物をまとめ、先程まで読んでいた本を持ち、図書室を出ていった。彼は彼女の横を通る際、軽く微笑んだように見えたが、彼女はそれを蔑まれた――嘲笑われた――と勘違いした。
それもそのはずだ。何故なら実際彼は彼女を見下ろす形になったのだから。
しばらく美咲は呼吸を整えていた。今は1人だ。何も心配することはない――はずなのに。
急に見られているような感覚に囚われた。ずっと舐め回すように監視されているような。彼女は恐くなって後ろを振り返り、扉のガラスを見て、次に窓の外を見た。やはり誰もいない。
「誰?!」彼女は不意に取り憑かれた気分になった。全神経が集中していくのが自分でも分かった。それにこの部屋に違和感を感じる。
何だろう。部屋全体が流れるような――。
「!」そして彼女は気付いた。椅子が微かだが、ある方向へ向いている。それに時計の針も3時15分を刻み、止まっている。
7
彼女は身体が自由に動かないことに気付いた。金縛りにあったような、異様なモヤが自分を包み込んでいるようにさえ、感じる。いや、正確に言えば、椅子の向いている方向へ、アリ地獄に吸い込まれるアリのように流されているようだ。
先程までこの図書室に行きたいと願っていたことが嘘のように、この部屋から早く逃げ出したいと思っている自分がそこにいた。
彼女は恐る恐る部屋中を見渡した。おかしい。どう考えても奇妙だ。
椅子が確実にその方向へ向いている。そして時計の短針、長針がその方向――3時15分――に向いている。そして窓が開かれていないはずのカーテンがその方向に流れている。
「いや!」彼女は自分の声とは思えない甲高い奇声をあげた。自分のスカートも微かに揺れている。
本田美咲は唇を噛み締め、目を閉じて堪えた。いつかは終わる!いつかはこの苦痛から逃れられる筈!そう信じ、両手を握って、祈るようにその時を待った。
だが――それは終わらなかった。
それどころか、声まで聞こえてくる。呼ばれているような、いや、それとも、「逃げろ」と叫んでいるような、声だ。美咲は小刻みに震える膝を何とか静止させ、勇気を振り絞って目を開けた。
彼女の目に飛び込んできたものは、絵だった。
8
あの時、あの深夜の学校で見た絵画だった。
そしてまたしても、あの御老人と目があった――睨み付けられた。それも後頭部の顔についている方の目で。
彼女の全身の毛が逆立った。だが、その御陰で今までの苦痛から解放された気分になった。周りを見渡しても、いつも通りの景色が広がっていた。椅子はきちんと机に収まり、時計も1分進んでいた。カーテンも微動だにしていない。
美咲は図書室の鍵を閉め、誰も入れないようにした後、その絵の前まで駆けた。そして食い入るように絵を見た。穴が開くほど見るという言葉は、ここから生まれたのではないかと言わんばかりの形相だ。
しかし結果、この絵から何も分からなかった。彼女は絵に一番近い椅子に腰掛け、肘をついて考えた。このまま自分の思い違いで済ましたくなかった。
「おっ」美咲は今まで絵ばかりを見ていて、気付かなかったところにようやく目が行った。絵の紹介文だった。
彼女はそこに書かれてあったことを何度も読み返した。「ヤヌス・・・」美咲は書かれてあった文の中から、この単語だけを口に出した。どうも引っ掛かる言葉だった。絵の名前や美術館名など頭に全く入らなかった。唯一頭に瞬時に飛び込んできたのは、この言葉だけだった。
美咲は思い立ち、図書室中を探し回り、ありとあらゆるヤヌスと付く本を引っ張り出すつもりだった。
9
しかし、何一つ見つからなかった。本田美咲は机にへばり付くようにぐったりと俯せになった。疲れたことにも理由はあったが、それ以外にも、自分が初めて興味を抱いたものが結局思い違いだったんだという失望からもあった。
美咲は不満に満ちた顔を上げた。しかし諦めきれるはずがなかった。このまま終わってたまるか!反骨精神。
彼女は立ち上がるとまたしても絵と向き合った。御老人の正面の顔が向く先には聖母、そしてその女性に抱き上げられている赤ん坊。赤ん坊――。
美咲は今度、赤ん坊に注目してみた。するとその赤ん坊の手が開きかけていたように見えていたものが、実は人差し指をある方向へ向けていることに気付いた。美咲は歓喜に溢れる気持ちで、飛びはね、足が震えてくるのを感じた。腹の底から声が湧き出てきさえしそうだった。だが、そこは本田美咲、本能からそれをグッと堪えた。
しかし、表情は今までにないほど歓びに満ちていた。そしてすぐにその指が差す方向を見た。
本棚――。
彼女は机を飛び越え、本棚にまっしぐらで走っていた。正確に指の差す方向を辿った。辿ったものの、本棚なんて誰かが弄れば、しまってある本の順番も、角度も変わる。彼女は指の差す方向に『新訂版ギネスブック』があったことで、そう気付いた。彼女は落胆し、溜め息付いて、近くの椅子に倒れ込んだ。
1人唸りながら、頭を回していると、『大辞林』が目に入った。何も考えず、それを取り出し、机に放り投げた。辞書は大きな音を立て、床に開かれ、落ちた。同じように本棚から、『数学辞典』を取り出し、今度は高々と放り投げ、それもまた床に落ちた。
美咲は考え無しに次から次へ、その本棚にある本を投げ飛ばした。
「あっ」美咲は『ことわざ辞典』を取り出す直前で思いついたように床に散らばれた本をあさった。そしてそこから『大辞林』を取り出し、ページを次々へ捲っていき、あるページで手は止まった。
――ヤヌス。
彼女はそこに書かれてある字を辿って読んでいった。
――ヤヌスは、ローマ神話の出入り口と扉の神、前後2つの顔を持つのが特徴である。表現上、左右に別々の顔を持つように描く場合もある。一年の終わりと始まりの境界に位置し、1月を司る神である。入り口の神でもあるため、物事の始まりの神でもあった。1月の守護神であるのは、1月が入り口であり、年の始まりでもあったためである――
美咲はなかなか理解することが出来なかった。ただわかったことは、顔が前後双方に持つあの御老人をヤヌスと呼び、そしてこれがまだ『物事の始まり』でしかないということだった。
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