360度讃岐うどん

360度讃岐うどん

くちづけ

あなたとのくちづけはいつも切ない

涙が混ざってるワケでも

哀しみが混ざってるワケでもないのに

なぜか切ない




夕立の降る公園で

あなたは私を抱き締める

オレンジ色の夕日が

高層ビルの間をすり抜けて

私たちを照らす

そのせいで

あなたの顔がよく見えない

あなたは何も言わずに

そっと目を閉じ

私のリップクリームを塗った唇に

優しくくちづけをした



帰りの駅のホーム

電車に乗ろうとする私の腕をあなたが引っ張る

私はバランスを崩して

あなたの広い胸の中に飛び込む

もう電車は来ない

「オレの家に来いよ」と言う

あなたの言葉に期待と不安の抱え

あなたの後についていく

たわいもない話をしているのに

あなたの顔は緊張してた

気づけば長い沈黙の中で

ぎこちない

まだ大人のキスを知らないくちづけが

何度も繰り返されていた




涙混じりのくちづけは

少ししょっぱく

愛の深さを教えてくれる

帰り際のくちづけは

次のくちづけを期待させるものなのか

それとも

もう二度とすることがないことを暗示するものなのか

あなたは教えてくれません

あなたに触れるその一瞬が

永遠に感じられたらいいのに

あなたからのくちづけを

私だけのものにできたらいいのに

あなたをすぐそこに感じられるハズのくちづけは

もう二度とすることができなかった













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