会長の独り言

会長の独り言

最高のおひなさま



以下、投書です。



私は4人姉妹の長女として育ちました。

私が小学校3年生の時、友だちが、
「うちは大きなおひなさまの人形を買ったんだ」と、
教室で自慢をしました。


そして、その子が私に問いかけてきたのです。
「あたなの家は、女の子が4人もいるから、
 さぞかし立派なおひなさまが家にはあるんでしょうね」

私の家は貧しくて、人形を買うお金などありませんでしたが、
「うちの家にはない」と素直に言えずに、
情けない思いをしながら、家に帰りました。


そして泣きながら、そのことを母に打ち明けたのです。

すると母は、
「うちには、かわいいおひなさまが4人もいるから、
 お母さんは人形なんてなくてもいいよ」と言ってくれました。


私はとても嬉しかったです。

そしてお風呂あがりに、出窓のところにふろしきを敷いて、
それをひな壇に見立てた母が、お風呂あがりの湯気の立つ娘たちを、
一人ずつ並べて人形代わりに座らせました。


母は離れて眺めたり、近くによって髪の形や寝巻きを整えてくれたりしました。


母が、「どの子が一番かわいい人形かな?」と言うので、
私たちはみんな精一杯のすまし顔で母を見つめました。


母は腕組みをしてうなっていましたが、
「みんなかわいいね。うちのおひなさまは、どこの家の人形よりも一番かわいい」
と言ってくれました。


私たち姉妹は、そのひと言でとても満足でした。


そして母の提案で、折り紙でおひなさまを作って大きなダンボール箱に段々に貼り付けました。


これがわが家のひな人形となって、何年もの間、桃の節句を祝ってくれました。


高価な人形よりも、この不ぞろいなおひなさまの方が、私たち姉妹には素晴らしく思えました。


母は私たちに、お金では買えないものをたくさん与えてくれました。


子どもの心をいつも明るく受けとめてくれました。

感謝の思いを込めて、今ここに投書します。





いかがでしたか?


心豊かなお母さんですよね。

子どもたちに、お金では買えない幸せをたくさんプレゼントされたんでしょうね。


もし、このお母さんが、
「よしわかった!頑張って稼いで、よその家に負けないような、
 立派なひな人形を買ってやろう」というように、

物(=人形)やお金によって解決しようとしていたら、

(もちろんそれも愛情だと思いますが、)

子どもたちに、お金では買えない豊かさを味わわせてあげることは、
できなかったかもしれませんね。


今ここにある幸せを見出し、それを喜ぶ。

そんな心豊かなお母さんに感動しました。



次は、町の住人





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