誕生




ひとりでも私は生きられるけど

でもだれかとならば人生ははるかに違う

強気で強気で生きてる人ほど

些細な寂しさでつまずくものよ

呼んでも呼んでもとどかぬ恋でも

むなしい恋なんてある筈がないと言ってよ

待っても待っても戻らぬ恋でも

無駄な月日なんてないと言ってよ 


めぐり来る季節をかぞえながら

めぐり逢う命をかぞえながら

畏れながら憎みながら いつか愛を知ってゆく

泣きながら生まれる子供のように

もいちど生きるため泣いて来たのね


Remember 生まれた時だれでも言われた筈

耳をすまして思い出して最初に聞いた Welcome

Remember 生まれたこと 

Remember 出逢ったこと

Remember 一緒に生きてたこと

そして覚えていること



ふりかえるひまもなく時は流れて

帰りたい場所がまたひとつずつ消えてゆく

すがりたいだれかを失うたびに

だれかを守りたい私になるの

わかれゆく季節をかぞえながら

わかれゆく命をかぞえながら

祈りながら嘆きながら とうに愛を知っている

忘れない言葉はだれでもひとつ

たとえサヨナラでも愛してる意味


Remember 生まれた時だれでも言われた筈

耳をすまして思い出して最初に聞いた Welcome

Remember けれどもしも思い出せないなら

わたしいつでもあなたに言う

生まれてくれて Welcome


Remember 生まれたこと 

Remember 出逢ったこと

Remember 一緒に生きてたこと

そして覚えていること





『 誕生 』  中島みゆき   




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