NIJIの夢

NIJIの夢

消えた愛犬


消えた愛犬


かつて、私の家では犬を飼っていた。
種類は忘れたが、可愛い犬だった。名前は ”ロン”
餌の当番などを決めたりして、家族全員で可愛がっていた。

何回目の引越しの時だったろうか。私がまだ中学生の時だった。
引越しの打ち合わせの話の中でロンの話になった。
「今度はアパートだね、今度の所にはロンは連れて行けないね。」
「そうだね、連れて行きたいけどね~。誰かに貰ってもらおうか?」
その会話をロンはじっと傍で聞いていた。

〔悲しそうな目をした〕 と思ったのは私の気のせいか。

翌朝、餌をあげようと犬小屋に行くとロンがいない。
すぐに帰ってくるだろうと思い、私は学校に出かけた。
学校でのイジメを癒してくれたのは、このロンだったかも知れない。
夕方になっても帰ってこない。そして次の日も・・・・・。
ついにロンはそのまま帰ることはなかった。

・・・・・き・え・た・!・・・・・

あの時のショックは今でも覚えている。
私たちの言葉が解ったのだろうか。
自分(ロン)がいては引越しの邪魔になると・・・・・。
看取ったのならともかく、何処かに消えてしまったのだ・・・・・。

以来、我が家では、いわゆるペットは飼わないことにしている。
今でも動物は大好きである。機会があれば飼ってみたいとも思う。
しかしそれは、空想の中では出来ても、現実には出来ない相談である。
何故なら、肉親を亡くしたような、あの時の辛さを二度と味わいたくはないからだ。


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