やっぱり本が好き♪

< 新しい記事

新着記事一覧(全1221件)

過去の記事 >

November 19, 2003

『デッドエンドの思い出』よしもとばなな

(2)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91837)

カテゴリ：カテゴリ未分類

「私はどうして自分のいちばん苦手でつらいことを書いているのだろう…」「このお話が書けたので小説家になってほんとによかったと思える」そう語るこの本は
『幽霊の家』『おかあさ～ん！』『あったかくなんかない』『ともちゃんの幸せ』『デッドエンドの思い出』という５つのお話からなります。
個人的には幽霊の家とおかあさ～ん！がとても心に残りました。運とか運命、生きるということなど大変なことだけどわりとさらっと、でも細かな部分まで霧か何かがしみこむように私の心や体に入ってくるような物語でした。

幽霊の家とは仲のよい老夫婦が二酸化炭素中毒であっけなく亡くなってしまうのですが、死んだことに気づかずその家で普通に生活をしているのです。これだけ書くとちょっとぶきみですが、前後の内容からそれが自然でとても当たり前に受け入れられてしまうような話なんです。
その様子を垣間見てしまう主人公の二人は今どきめずらしいくらい純粋で、家や自分の立場と自分の性格や思いをちゃんと考慮して生きているという、私には本当にうらやましいくらい整理された生き方をしています。そのためにこのお話にはいつもさわやかな風が通っていて、そんな二人の未来を天から見ているような気分になるのでした。

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう