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August 21, 2004

『私が語りはじめた彼は』三浦しをん

(4)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91785)

カテゴリ： ♪本の覚え書き♪

妻、教え子、実子、連れ子など村川にかかわりのある人物達から語られる６つの物語。そう、村上本人ではなく周りの人たちにより彼が語られてゆくという、川上弘美さんの「ニシノユキヒコ…」と手法が似ているなぁと気づくのですが内容はまったく別（当たり前か…笑）。主人公を巡る人たちの想いもどちらかというとサラッと語る川上さんに対し、重く深く語ってゆく三浦さん（これまた大ざっぱ過ぎか…笑）。

ただ主人公のどこまでも素直すぎる恋愛感とかはとても似ています。
そして川上さんの物語には、ちょっと前には使っていたのに今はあまり聞かなくなったなぁという「単語」がよく使われているのですが、三浦さんにはそんな「文章」が使われているような気がしました。

三浦さんの本は初めて手にした私ですが、彼女の日本語が好きだという方の話をよく耳にしていたので「なるほど」と思えましたね。

またまた内容に戻りますが、最初の２ページはちょっとたじろぐような皇帝の物語がつづられています。このままこんな話が続いたらどうしようかと思うようなむごい話でした。
そして尋問をされているかのような会話。その問題とされている手紙を描いた張本人を巡る探り合い。心理描写の推理小説!?というすごさです。
かと思うと息子の話では青春小説が語られ、また別のところでは夫婦の絆についてが語られたり、とても多種多様な物語たちによってこの１冊はできていました。

村川という人物により、どこかに陰を持つこととなってしまった人たちが作る複雑な人間関係の図。新しい物語に入るとその関係図をもう一度頭にめぐらして読み進む。

三浦さんの他の本も手にしてみようと調べてみたら、これまた私のよく行く『WEb本の雑誌』というページ（このHP右下に紹介中）で三浦さんのインタビューが載っておりました。

しかし読んでびっくり！う～ん作者のインタビューって意外性があってやっぱりやめられない～！と思わずにはいられないのでした。

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