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August 9, 2005

『震度０』横山秀夫

(2)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91837)

カテゴリ： ♪本の覚え書き♪

阪神大震災のさなか、700キロも離れたN県警本部の警務課長の不破義人が失踪した。県警の事情に精通し、人望も厚い不破がなぜ姿を消したのか？　本部長の椎野勝巳をはじめ、椎野と敵対するキャリア組の冬木警務部長、準キャリアの堀川警備部長、叩き上げの藤巻刑事部長など、県警幹部の利害と思惑が錯綜する。

情報は、

時として魔物と化す。

この小説の主人公は

“情報”かもしれない。

　　　　　　　　横山秀夫

『心にＧのかかる小説を書きたい』という横山さんのコメントが「ルパンの消息」載っていたのですが、まさしくこの小説はそれです。

Ｎ県警内部の心理劇。それも本部庁舎と幹部が家族とともに住んで寝起きする公舎だけが舞台となっています。
本部長他それぞれの幹部とその妻達の確執に思惑、この辺のドロドロ感は横山さんのお得意中のお得意という感じで、スピード感もあるしとても楽しめました。

しかし誰をとっても利己的で自分のこと第一で、事件を二の次とする彼らに辟易し、これが警察の実態ではありませんようにと思わずにはいられませんでした。

「そんな投資に大金を払うなんて…」「そんなウソがばれないと思っていたのだろうか…」「最初の失敗を隠すからあとでこんな大事になってしまう…」など、元をただせばどれも似たり寄ったりな事件ばかりが新聞に載っているのだから、本当なのかもしれないなぁと恐ろしくなるのでした。

現実は小説よりも奇なり…。そんなことを感じる小説でした。

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