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2006.04.03
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カテゴリ: ファンタジー
この物語は、当初は 1話・2話を別サイトに載せておりました。
そこで正式にここに載せたいと思います。


<1・謎の洞窟>


 旅人はこの迷路を知った時、制覇すると決意していた。
それが複雑であればあるほど、闘志を燃やす男だった。
 旅人は、いつも一人ではなかった。
洞窟を照らす松明(たいまつ)が、真っ赤に燃えていた。
「そんなに燃えるな」とたしなめると
「俺は、太く短くだ」と答える松明だった。

 旅人はいつものように右手を壁につけたまま歩き、地形を把握し続けた。

 けれど時折、冷たい水滴が首すじに滴り落ちると、旅人は急に不安になった。
 地底湖に出くわす度に、祈った。
「神よ、どうか私に力をお与え下さい。私の進むべき道へ、お導き下さい」
 奥へ進むほどたいまつは湿り、灯は小さくなった。
ともすると消えてしまうたいまつに 再び火を点すのは、大変だった。


 宝物を守っているのは、一つ眼の巨人達だった。
遠くからうなり声が響き、異臭が鼻をついた。
 巨人達が怒り、たけり狂う前に、なだめなくてはならなかった。
どうすれば大人しくなるのか、その方法は、皆目見当がつかなかった。
 子守歌を唄うことなのだろうか。
 美味しい物をちらつかせることなのだろうか。


だが、たいまつは言った。
「あいつらは、元は人間だったのさ」
旅人は驚いた。
「もう 人間には戻れないと思うよ。宝物で人間をおびきよせ、喰らうようになってからはね」




<2・旅の道づれ>


松明(たいまつ)は、洞窟の入り口に立てかけてあったものだった。

「これはテレパシーさ。
そう、私ももとは人間だったのさ。
巨人の手助けをして、宝物のそばまで獲物の案内をする前はね」
「私を今まで騙していたんだなっ!」
 旅人は、松明を落として後ろへ飛びすさった。

「ああ、君は、正直でやさしい人間だ。僕にはわかるよ。
引き返すなら、今さ。あきらめて帰るかい?」
「私は、天涯孤独のみなしごだ。どこにも帰る場所など、ありはしない」
「命を、捨てに行くのかい?」
「いや、命がけで取りに行くのさ。愛の実のなる木をね」
「金を生むめんどりじゃないぜ?」
「わかってる。
…それが世界のためなのさ…。」


 巨人は吠えるようなうなり声をあげた。
「どんな時に巨人は、赤子に戻るっていうんだ?」
「そうだね、呪文があるのさ。
しかし同時に、恐ろしい目に遭う幻想が見えるのさ。
それでも君には、耐えられるのかい?」
「恐ろしい目って…?」
「まあ、幻想だけどね。けどたいていの人間は、それでまいっちまう。
それで呪文の最後の文字を忘れちまうのさ」




<3・幻と呪文>


松明(たいまつ)は言った。

「人間なんて、皆そんなもんさ。

あんたは天涯孤独だと言うけど、大抵の人間は、親のありがたみなんかわかっちゃいない。

死んだ親に会えるとしたら、どうだ?

『こっちへおいで。もう苦労しなくていいんだよ』

って。

両親は、あんたに一番優しかったころ、あんたが一番幸せだった頃の姿をして、現れる。

それが、第一の幻さ。

・・・誘惑に負けてみろ、

すぐさま死が待っている。

さあ、呪文を唱えてみろ。

『チモキ、ノャシンカ』

さあ、何度も。

・・・覚えたか?」




次の日の日記に続く







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最終更新日  2006.11.19 21:21:00
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