[Lucky Day?]~その4~


そのまま、うとうとしながら朝を待つ。5時過ぎにもそもそと起きだし美しい朝焼けを写真に収めた。あまり高層の経験のない僕はなんだかこのホテルからの眺めが気に入っていた。3Fなのだが、ロビーやレストラン、ジムなどがある上に1Fなので3Fといっても実質7Fぐらいだろうか。他のメンバーはもっと上の階の部屋だが、僕にはここで十分満足だ。Sさんは1Fだったが「眺めが悪い」とフロントに言って7Fに変えてもらったらしい。
6:20に朝食に向かう。まだ早いかなあ、と思っていたらもうすでにFさんとHさんはレストラン前で待っていた。
オムレツとクロワッサン、ソーセージとレタスを選んだ。するとレタスの上で、小さな尺取虫のような物が動いている。僕は昆虫嫌いだが、なぜだか田舎ではそんなに驚かない。ここでも冷静につまんで皿の外に出せた。新鮮な証拠だと思ったが、裏表をしっかり確認して食べた。さらに少し物足りなくてカリーを取りに席を立った。

仕事が終わり、ACに向かう車中でジュリアスに「歯ブラシが欲しい」と言った。当然ホテルでは毎日新しい歯ブラシがもらえる物だと思っていたのだが、海外ではそうではないらしい。一応洗面台には「歯ブラシやカミソリが欲しいときはフロントまで連絡を」と書いてあるのだが、3週間ともなると毎日連絡するのは面倒だ。それにスリッパも欲しかった。部屋のじゅうたんの上を工場を歩き回った安全靴で歩くのは少し抵抗がある。ジュリアスは「OK!スーパーマーケットにいこう!」と親指を立てた。
スーパーマーケットは比較的すいていた。僕にとって初めて『安全なところ』ではないエリアだ。駐車場ではやや緊張したが、店内の雰囲気は日本のそれと変わらず、まるで近所の『えぷろん』で買い物している気分だった。吟味した結果、R8.95の歯ブラシ付き歯磨き粉を買った。スリッパは無かった。
途中でジュリアスの携帯にメールが入った。「Beer?」簡潔で明確なそのメールの送信者はトレンスという飲み友達らしい。
ACに着くとジュリアスにトレンスが話しかけてきた。『これからバーでビアを飲まないか?』 僕はもちろん「OK!」と親指を立てた。トレンスはかなりいい男で、面白い。そして当然のようにスケベ~だ。
他のメンバーに今夜は別行動することを伝え、ジュリアスにホテルに迎えに来てもらうように頼んだ。なんとかシャワーを浴びる時間はあるだろう。

ホテルから20分ぐらいのバーに着くと、ミニスカへそだしのチアガールみたいなコスチュームの店員が入り口に立っていた。ハローとあいさつをして入る。客はすべて白人だが50代くらいのグループも見受けられる。『あのコ、セクシーだな』と小声でトレンスがささやく。視線の先には少し厚化粧でグラマーな同じコスチュームをきた女の子がいた。「ノーコメント」と僕が返事をすると、二人は笑った。
結局、その後二件のバーに行き、ビアを何種類か飲んだ。が、つまみは一度も食べていない。『腹減ったんだけど・・・』というと『これから行こうと思ってたんだ』とジュリアスが笑う。
そこから数百mはなれた、ハンバーガー屋に入ると、トレンスが『これにするんだろ?』とハンバーガーが二つあるポスターを指差した。考えるのも面倒なので、OKと親指を立てた。日本にいるときは年に数回しか食べないハンバーガーと5年くらいは飲んでいないコーラを手にしている自分が不思議だった。
トレンスはうちで食べるらしい。バーイといって出て行った。ジュリアスと席に着くと、『今日はラッキーだったな』と言う。『何で?』と聞くと『水曜日だからさ』と得意げな顔をして先ほどのポスターを指差した。『いつもは1個でR12.5だけど水曜は2個でR18.5!!』みたいな事が書いてある。なるほど、と納得したフリをして食べた。1個でよかったんだけどなあ。

ダーバンの夜明け


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