橋が開いてテートモダン?<製作中>



Tower Hill駅を出ると、すぐ目の前にロンドン塔が見えた。ココはつまらなそうならば外だけ見てパスしようと考えていた。でも、なかなかいいじゃない!城好きの僕は興味が湧いてきた。£13.5は少々高い気がしたが(\3000弱)突入した。まず初めに混みそうな所に行くのが観光地の鉄則だ。なんでもココには世界最大のダイヤ「アフリカの星」があるという。多分、後から団体が押し寄せたらゆっくり観られないだろう。中に入ってみるとまだすいてる館内にエリザベス女王の載冠式の様子が放映されていた。冠や杖などそれに使用される道具の説明を観た後、いよいよ王冠の展示してある部屋へ。「おおっ!こ、これは!」・・・と、うなるのも一瞬。よく考えたら僕は宝石に興味がなかった。「へぇ~」で通り過ぎた。
ロンドン塔のメイン、ホワイトタワーへ。ここは面白かった。鎧や剣といった当時の武具がなかなかいい。・・・しかし\3000は高過ぎやしないかい?名古屋城だって\500、僕の大好きな岡崎城にいたっては\200であんなに楽しめるんだぜ!と、東海地方のお城を引き合いに出したところで始まらない。せっかくなので、観光客のカワイイこを写真にとって早々と退散し、ロンドン塔からも見えていたタワーブリッジに向かう。

これは、かなり荘厳だ。遠くから見ても美しいが、近くだとかなりの迫力だ。僕は橋の近くで記念撮影を試みた。しかし、何度やってもうまく撮れない。ココでとるのはあきらめて、タワーの見学に行こうとした瞬間、なんと跳ね橋がゆっくりと静かに上がったのだ。驚きと感動であっけにとられている僕の前を巨大なヨットが悠々と通過していった。一日1~2回しか上がらない貴重な瞬間を目の前で見られたのだ。見学コースに入っていたら跳ね橋の動きは見えない。写真がヘタクソで良かったなあ。一緒に写真を撮っていた少年と目が合った。『うまく撮れた?』『うん』笑顔で会話が成り立ったような気がした。
入場券を買い、列に並ぶ。タワーに上るエレベーターの乗るとすぐにブラックのエレベーターボーイがこういった。『OK!みんな英語はわかるかい?』10人ぐらいの乗客は、僕以外グループだったりカップルだったり。口々に『当り前じゃないの』『もちろん』などと答える。この狭い空間で外人だらけ(正確には僕が外人なんだけど)の状況で『僕、英語できません』などといえる雰囲気ではない。ボーイは続けた。『OK!この入場券は、エンジン室を見学するのにも必要だ。タワーを降りてもなくさないようにな!さあ、頂上に着いたぜ。それじゃあ、楽しんできてくれ!』と言ったかどうか定かではないが、僕はそのように理解した。タワー内部は建設中の写真や跳ね橋の仕掛けなど、大満足である。ここはお勧めである!(いろんな旅本が勧めてるのでいまさら僕が言うことでもないのだけれど・・・)しかも後で聞いた話だが夜はライトアップでとてもきれいだそうだ。見ておく価値があるだろう・・・夏は日が暮れるのが21時過ぎでですけど。

そのまま川沿いに歩く。タワーブリッジの少し上流に船艦が見えていた。近くによって見るとかなりデカイ。ついでと思い、乗船してみる。ベルファスト号、£7。ココにはあまり観光客も来ないらしくすいていた。のんびり見ようと2Fに上がった時、小学生の大群が押し寄せてくるのが見えた。そしてあっという間にベルファスト号はコドモに乗っ取られた。もともと通路や部屋など狭い船内、ドコに行ってもコドモがいる。司令室や機銃台に僕も乗りたかったのだがワイワイがやがやでゆっくり出来ない。仕方無しに船尾のベンチでタワーブリッジを見ていたのだが、いつのまにか寝てしまった。目が覚めると、横にはフランス人のカップルが座っていた。何か話しているがよくわからない。彼らは、僕が写真をセルフで撮ったり、「地球の歩き方」を読んだりしてるのが気になるらしい。日本から持ってきたガムを「You want?」といい差し出すと、うれしそうに笑った。

ロンドンブリッジ駅の近くのレストランで昼食をいただく。「LUNCH £8」と書かれた黒板を確認して入った。外からは数人の客が見えたが、中はガラガラだった。やばいかも、と思ったが雰囲気は悪くないので座った。「Lunch and beer,pleae」と言ったら、少し不機嫌そうになった気がした。よく見たら、他の客はほとんどワインを飲んでいる。もしかしたらワインが売りの店だったかも、ビールも銘柄を聞かれなかったし。まあ、いまさら遅い。じたばたせずにビールを飲んだ。カレー風味のスープは少し薄い気がしたので、店員の見てない瞬間にコショウを振ったが、食事は意外にもおいしかった。

午後は本日のメイン、テートモダンを目指す。ロンドンにはたくさん美術館がある。たくさん見るつもりで勇んできたのに、結局はメジャーどこしか見て回れない。その中でテートモダンは、新しい美術館だ。観光客だけでなく地元ロンドンっこも多い気がする。入口の奥には巨大なクモがあった。すごい迫力!絵画や彫刻といった物だけでなく、現代アートを色々展示してある。まさか、ロンドンでアンディウォホールの作品が見られるとは思わなかった。ピカソやモネといった大物も十分楽しめる。照明の変化する小部屋(これもアートのひとつ)で瞑想にふけった。新しいだけあって、カフェやショップも充実してるし、眺めはいいし、かなり面白い。ココは次にロンドンに来たときも来ようと思う。窓からセントポール大聖堂が見える。そこに向かってテムズ川をまたぐ美しい橋、ミレニアムブリッジを渡って帰る予定だ。歩行者専用のこの橋、高所恐怖症にはちょっと怖いが、気分がいい。渡った先にバラの咲く花壇があり、いい時期に来たと改めて思う。天気にも恵まれたし。でもセントポール大聖堂は通りからちょっと見ただけ。多分閉まっているだろう。まだ午後の日差しだが時刻は19時を過ぎていた。

通りでバスを拾おうとバス停に行ったら『工事中でこのバス停は閉鎖』と張り紙がしてある。でも待っている人もいる。聞こうか迷ったけど、バス停ひとつ分歩くことにした。なんとなく来たバスに乗る。途中で回転寿司らしき店を見かけた。なんだか疲れていたが最後にビッグベンを見に行くことにした。だんだんと時計台が近づいてくる。ああ、これがビッグベンかあ、と思った瞬間バスは右に曲がった。あらら、と思ってる間に時計台は後ろになった。降りるところを過ぎたらしい。まあいい、ビッグベンは逃げないだろう。二つほど先の停留所で降り、道路を渡った。
今度はちゃんと行き先を確認し、バスに乗る。

ところで市内のバス停には時刻表はない。『10~15分間隔で運行中』と書いてあるだけ。実に合理的だ。学生の頃、住んでいた習志野でバスを待っているとたまに、3台連続で来る事があった。どれが何分のバスかはわからないが渋滞だらけの都会ではハッキリ言ってバスの時刻表に意味はないと思う。
どうせすぐ降りるのだからと、出口付近に立っていると、初老の男性がゆったりとした英語で声をかけてきた。
『君はイスラムかい?』『いや、違いますよ』『では、どこの宗教かね?』『すいません、英語ではよくわからないのですが、日本のです』『君のスタイルは・・・』
後半はよく聞き取れなかったが、バスが目的地に着いた。
老人に軽く会釈して降りた。彼も軽く手を上げた。
その時、あっ!と思った。僕の被っていた帽子は彼の被っていた帽子にそっくりだったのだ。それでイスラムかと聞かれたのだろう。ロンドンでよかった。もしイスラム諸国なら『君はラマダンを破るのか?!』と怒鳴られるところだった。

ビックベンの真下で時計台を見上げる。なるほど、コレは大したものだ。
「対岸からの姿は壮麗」と地球の歩き方に書いてあるので、対岸まで橋を渡る事にした。橋の上もすごい人だ。トルコ系らしいおっさんに呼び止められる。
『ヘイ!ブラザー!写真を撮ってくれよ!あの観覧車をバックに!』
と渡された日本製の一眼レフ。俺のデジカメより全然高そうだ。このおっさん、俺が写真が下手な事を知らないで頼んでいるのだろう・・・当り前か。エイヤっ!で撮ったが上手く撮れたかはもちろん知らない。にこやかな家族の思い出が美しいものであることを願う。
ビックベンを写真に撮った後、デジカメのバッテリーがなくなった。

もう一度橋を渡り、川岸のベンチに座った。目の前にはビッグ・アイと呼ばれる観覧車。何でも世界最大らしい。なんだか自転車のホイルみたいな観覧車の輪に一抹の不安を感じる。頼まれても乗りたくない。しかし一周回るのに何分かかるんだろう?じっと見ていたが、そのうちどれを見ていたのだかわからなくなってしまう。次こそ一周見てやろうって見てるんだけどまたわからなくなってしまう・・・そんなことを何度も繰り返し、缶ビール片手にずっとビッグ・アイを見ていた。

日が暮れてきた。気が付くと21時過ぎている。
しまった!今日はロンドン最後の夜ってことで、ひとりでもちゃんとしたディナーを食べようと思ってたんだった!

慌てて地下鉄に乗りBayswaterに戻った。
前から雰囲気がよさそうだなあって思ってたレストランはもう閉店準備をしていた。でももう一軒目星をつけていたレストランがあった。ホテルの近くで遅くまでやっていて、なんだかにぎやかで楽しそうなのだ。
行ってみるとやっぱり開いている。しかもわいわいがやがやにぎわっている。
「よし!」意を決して入ってみると、やっぱり店員の女の子に「一人ですか?」とけげんそうな顔をされた。でもそこはロンドンで初めて感じた盛り上がっているところだった。
でもメニューはワインなどの飲み物しかない。あれ?ヘンだなあと思っていると、そこはバイキングで食べ放題。しかもブラジル料理。なんでロンドンまで来てブラジル料理を選んでしまったんだ、俺は・・・とほほ。
サラダやパンを自分でとって、テーブルで待っていると串に刺さった焼きたてのお肉を目の前で切って皿に乗せてくれる。意外とうまい。それにまたすぐに別のウェイターが「チキンはどうだい?」と持ってくる。チキンをナイフで切っていると「ウィンナーが焼けたよ」って持ってくる。すると「ビーフは好きかい?」と、また次が来る。一人だから会話もなくしんみりコース料理を食べるよりは面白い。
しかし、閉店間際の時間帯、盛り上がっているとはいえ、あまり食べている人はいない。どうも『新入り』の僕ばかり狙われているみたいだ。「No thank you」って言っても「ポークは食べれるだろ?」「焼きたてだからうまいよ」「まだまだ食べられるだろ?」って言う。いくらなんでも食べられないよ!でもなんだかこの店を選んでよかった。ロンドンでブラジル料理を食べる日本人もそうはいないだろう。

部屋に戻るとシャワーも浴びずに寝てしまった。






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